習志野vs智辯学園
投手・泉澤
前日の金沢戦でのリリーフ登板に続き、この日、先発のマウンドに立った背番号1の姿があった。習志野の泉澤涼太である。今夏、甲子園での泉澤は、初戦の静岡戦で先発し、8回を自責点0に抑えていた。しかし、それ以来、登板の機会がなく「投手・泉澤」の存在が薄まっていた感がある一方で、将来性を見込んだ「投手・泉澤」も根強く存在していたことだろう。果たしてこの国体でも、「投手・泉澤」がどれほどまでに存在感を示すのだろうかということを本人も感じていたのかもしれない。
2回戦の金沢戦、7回2/3を投げ、被安打8、四死球5、奪三振9、自責点5、投球数121球。
準決勝の智弁学園戦、9回を投げ、被安打10、四死球3、奪三振9、自責点2、投球数164球。
本人も「昨日よりも調子がよくなくて、リズムも悪かったですけど、その割には要所要所を締められたし、楽しんで投げることもできました」というように、国体という舞台の連投で何かを見出しているのではないか。試合後、泉澤について習志野の小林徹監督は「あの子なりのピッチングです」と意味深いコメントを残している。それはまさに泉澤らしさを表している奥深さであり、期待を込めた言葉でもある。全国の3年生の中で2校だけが続けられている高校野球。そんな決勝戦で泉澤は、肩肘張らず、いきがらず、マウンドで躍動することだろう。
「投手・泉澤」、今まさにワンランク上に駆け上がろうとしている。
(文=編集部:アストロ)