東海大甲府vs甲府西
完封勝利の本多選手(東海大甲府)
目指すは山梨県制覇。甲府西 15人の軌跡
ベンチ上の応援席には部員の姿はない。今日対する東海大甲府高校のその場所は控え選手の応援団で埋まっている。
県立甲府西高校。 野球部員は総勢15人。試合途中のグラウンド整備は試合に出ていない控え選手が率先して実施している。そのチームを率いるのは長田成記監督。都留高校を選抜に導いた名将だ。
1年生エースで右腕の斎藤君と背番号10の2年生左腕の小椋君と堅守のチームカラーで投手を中心に少ない得失点差を勝ち上がってきた。
対戦相手も帝京第三、富士学苑、富士河口湖と県内でも強豪と言われるチームを相手に勝ち上がってきた。
この快進撃は決してフロックではないだろう。
対するのは東海大甲府高校。前日に甲府工業をコールドで破り波に乗る。打線も活発。投手は右腕の二枚看板に140km右腕の秋谷選手と投打に戦力が充実している。
この両校を試合前のシートノックで観察してみた。
堅守と言われている甲府西高校。一見すると見入る様な内野守備ではない。この日は緊張からかシートノックでのエラーが幾つか見受けられた。
しかし良く見てみると難しい打球も”俗に言う基本”と言われている動作で捕球しているので派手さが無いというのが適当な言葉だろうか。
逆に東海大甲府高校。ボール回しからしてテキパキしており、こちらはついつい見入ってしまう。 東海大甲府で目についたのは遊撃のシートに入る2人の選手。彼らはファーストへ全てワンバウンドで送球している。無理の無い正確な送球でノック中の送球エラーは皆無に近い。
実際の試合になるとノーバウンド送球をしているのでノックだけだと思われるが、何らかの目的意識を持って取り組んでいるのだろう。
関東大会の開催県1位はシード扱いになる。両校とも選抜出場に向け是が非でも1位で通過したい所。
先発は、東海大甲府が背番号10の本多将吾投手。夏のエース右腕だ。
甲府西の先発は1年生エースの斎藤投手。
昨日の準決勝では登板の無かった東海大甲府・本多君と7回までマウンドを守り連投となる甲府西・斎藤君。
この差が出なければ良いと思っていた中での試合開始。
試合は、両校無得点で迎えた3回表。東海大甲府が1死1、2塁から5番石井君、6番秋谷君の連続センター前適時打で3−0とする。尚もチャンスが続くが後続を甲府西 2塁手藤原君の好プレーでダブルプレーで乗り切る。
ライナー性の低い当たりをとっさにショートバウンドで捕球しダブルプレーに打ちとったのは流石と思わせてくれる。
HRを放った新海君(東海大甲府)
そして4回表 またもや東海大甲府打線が甲府西斉藤君に襲いかかる。
2死から1番松野君のセンター前ヒットで2死一塁から2番キャプテン新海君の打球はレフトスタンドへ突き刺さる2点ホームランで5-0。
続く3番斉藤君にセンター前に運ばれ甲府西斉藤君はここで無念の降板。
2死1塁からリリーフした左腕小椋君は、続く4番渡辺君にレフト前へ、5番石井君にレフト頭上を超える2塁適時打で2点を追加して7−0とする。
その後は得点圏にランナーが出るものの追加点を奪えない東海大甲府打線。抜群の制球力とキレを武器に危なげない投球を披露する東海大甲府本多君を打ち崩せない甲府西打線。甲府西は、9回裏に2死1,2塁と一矢報いるチャンスを迎えたが、ここも本多君の粘投に得点出来ず試合終了。
7-0で東海大甲府が勝利し山梨県一位での関東大会出場を決めた。
3回4回以外のピンチは好守で乗り切った甲府西。今日は本多君の前にあと1本を打つことが出来なかった。関東大会で勝利を納めるには、その辺りが一つの課題となるだろう。
一方、ここぞという場面で一気に打線が繋がった東海大甲府は流石。また本多君の完封勝利も関東大会に向けての好材料だ。昨日の殊勲者1番バッターの松野君のみならず2番キャプテンの新海君、5番石井君と長打力がある訳ではないが鋭い打球をセンター中心に打ち返されるのは投手としては嫌なものだろう。
91年山梨市川と東海大甲府がダブル出場した時以来、選抜から遠ざかっている東海大甲府。
なんとか21年振りの選抜出場を決めたい所。また2位の甲府西、3位決定戦に勝利した甲府工業と共に山梨県から、やはりその時以来のダブル出場を目指して頑張って欲しい。
(撮影・文=木内 慎治)