試合レポート

関商工vs土岐商

2011.09.20

関商工vs土岐商 | 高校野球ドットコム

東駿也(関商工)

隙を突き、先の塁を狙う姿勢が見事 勢いそのまま関商工

 秋の高校野球岐阜大会は18日、雨で順延となった残りの2回戦を行った。土岐市総合公園野球場では、この夏の優勝校(関商工)と前年夏の優勝校(土岐商)が顔を合わせた。試合は直近の甲子園出場の勢いそのままに、関商工が序盤で主導権を握った。

相手の隙を突いて先の塁を狙う姿勢、足攻が鮮やかだった。関商工は初回、先頭の東駿也が遊撃内野安打を放つと、二塁ベースに誰もカバーが入っていないのを見逃さず、そのまま二塁を陥れた。2番堤勇樹の犠打で三進し、3番長田龍也の右翼タイムリーで早速1点を先制した。

2回裏には二死一塁の場面で、亀山秀平の内野安打で二進した一塁走者・金森大貴が、守備隊形が乱れて空いた三塁ベースへ猛進。ボールが三塁へ送られる間に、今度は打者走者が二進を試みると、それを刺そうとした二塁送球が乱れ、三塁に到達したばかりの金森が一気にホームを駆け抜けた。すべてインプレーの中で続いた、一連の足攻。

空いたキャンバスを見逃さない状況判断、送球の間に先の塁を狙う積極性が、得点に直結した。

甲子園に出場した自信と、アグレッシブに押す姿勢が関商工から伝わってきた。同時に、新チームが本格的に始動してまだ1ヶ月あまりだというのに、相手の隙を突ける野球が出来るのは、普段の練習から細部にこだわり、判断力・視野の広さを磨いてきた証拠なのだろうと感じた。


関商工vs土岐商 | 高校野球ドットコム

新エース・亀山(関商工)

守っては、今夏背番号10で甲子園のベンチに入っていた新エース・亀山が、長身から角度をつけたピッチングを展開した。三者凡退に抑えたイニングは7回表のみだったが、荒れた印象は無く、力まずにしなやかに腕を振った。スピードはそれほどなくても、肝心な場面ではピシャリとストレートが決まる。また旧チームからレギュラーの遊撃手・大野嵐は、高い守備力でたくさんの打球を確実にさばき切った。

関商工の次戦は大垣商と決まった。夏の県大会決勝戦と同じカードが、直後の秋に再現となった。

敗れた土岐商は、亀井祐海、今井雄太の投手リレーで3失点とこらえたが、打線が3併殺など走者を生かせず、内野ゴロで挙げた1点止まりで終わった。序盤に関商工に足でかき回されたことについて工藤昌義監督は、「足でかき回されたというより、ウチのカバーリングのミス。キャリアの無い選手も多いから…」と、スタメンのうち6人が1年生という若さによる「力不足、練習不足、経験不足」を指摘。指揮官は「強打者がいきなり出現するわけでもないので、チームとして細かいところまできっちり気が回る野球を目指したい」と冬の間の強化を誓った。

主将の伊藤豪啓はメンバーで唯一、昨夏の甲子園を経験している。この日は投手強襲ヒットを放つ一方、2三振を喫したのは不本意だったが、冬に一回り体を大きくできればさらに怖い存在になるはずだ。1番永江竜清は初回に先頭打者安打を放つなど、4打席で3回の出塁を果たした。

(文=尾関 雄一朗

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.05.19

【東海】中京大中京がコールド勝ちで17年ぶり、菰野は激戦を制して23年ぶりの決勝進出<春季地区大会>

2024.05.20

【春季京都府大会】センバツ出場の京都国際が春連覇!あえてベンチ外だった2年生左腕が14奪三振公式戦初完投

2024.05.19

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在30地区が決定、青森では青森山田、八戸学院光星がシード獲得

2024.05.20

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在31地区が決定、宮城では古川学園、仙台南、岩手では盛岡大附、秋田では秋田商などがシードを獲得

2024.05.19

【宮崎】日章学園、富島、小林西などが初戦を突破<県選手権大会地区予選>

2024.05.15

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.05.17

「野球部や高校部活動で、”民主主義”を実践するには?」――教育者・工藤勇一さん【『新しい高校野球のかたち』を考えるvol.5】

2024.05.14

大阪体育大の新入生に兵庫大会8強の145キロ右腕、金光大阪の1番センター、近大附の4番打者など関西地区の主力が入部!

2024.05.16

【宮城】仙台一、東北、柴田、東陵がコールド発進<春季県大会>

2024.05.19

【東海】中京大中京がコールド勝ちで17年ぶり、菰野は激戦を制して23年ぶりの決勝進出<春季地区大会>

2024.04.21

【愛知】愛工大名電が東邦に敗れ、夏ノーシードに!シード校が決定<春季大会>

2024.04.29

【福島】東日本国際大昌平、磐城、会津北嶺、会津学鳳が県大会切符<春季県大会支部予選>

2024.04.22

【春季愛知県大会】中部大春日丘がビッグイニングで流れを引き寄せ、豊橋中央を退ける

2024.04.22

【鳥取】昨年秋と同じく、米子松蔭と鳥取城北が決勝へ<春季県大会>

2024.04.23

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?