第93回全国高校野球選手権高知大会展望
第93回全国高校野球選手権高知大会展望2011年07月19日
6月18日に開幕した沖縄大会を皮切りに各地で球音が響く「第93回全国高等学校野球選手権・地方大会」。四国4県でも7月9日開幕の徳島大会をスタートに、11日開幕の香川大会、14日開幕の愛媛大会、そして16日開幕の高知大会の計4大会において160試合の熱戦が繰り広げられることになっている。
そこで、「高校野球情報.com」では今回4県ごとの直前展望を紹介。このサイトでしか見られないマル秘チーム、選手情報も交えつつ、組み合わせ抽選によってはっきり見えてきた勢力図を提示していきたい。
【バックナンバー】
第93回全国高校野球選手権愛媛大会展望
第93回全国高校野球選手権香川大会展望
第93回全国高校野球選手権徳島大会展望
第93回全国高校野球選手権高知大会展望
高知県 成績データ
高知県
参加33校 7月16日(土)~7月24日(木)
[stadium]高知県立春野運動公園野球場[/stadium]、[stadium]高知市営球場[/stadium]
成績データ
<昨年大会優勝校>
明徳義塾(6年ぶり12度目)甲子園2回戦敗退
<センバツ出場校>
明徳義塾(3年ぶり14度目)甲子園1回戦敗退
<昨夏新人大会成績>
優勝:高知(2年ぶり17度目)
準優勝:明徳義塾
<昨秋県大会>
優勝:高知(3年連続17度目)
準優勝:明徳義塾
3位:土佐
<昨秋四国大会成績>
高知(6年連続28度目):準決勝敗退 *センバツ補欠校
明徳義塾(5年連続22度目):優勝 *3年ぶり7度目
土佐(6年ぶり14度目):1回戦敗退
<明治神宮大会成績>
明徳義塾(4年ぶり5度目):2回戦敗退
<今春県大会>
優勝:高知(5年ぶり17度目)
準優勝:追手前
<今春四国大会成績>
高知(3年連続21度目):1回戦敗退
明徳義塾(2年ぶり17度目):準優勝
<県高校総体優勝校>
明徳義塾(5年連続17度目)
高知(3年連続26度目)
高知商(3年連続20度目)
土佐(2年連続17度目)
*雨天のためベスト4で打ち切り
ブロック別展望
“明徳義塾のベスト4が濃厚”
一時は大量登録が見込まれた黄金ルーキーたちのメンバー入りこそ見送られたが、センバツ後にスローカーブを習得した左腕・尾松義生(3年)に、福永智之、福丈幸の2年生右腕コンビが控える投手陣は全国でも十分戦える面子。クレバーさにますます磨きがかかる杉原賢吾(2年)のリードにも注目が集まる。
打線は北川が勝負を避けられることを前提に、いかに前後がつなげるかがポイント。センバツ前から打撃のコツをつかみ、すっかり中軸の一員に定着した大西輝幸(2年)、勝負強さは健在の先田弦貴(3年)辺りが、起爆剤としての働きを見せたいところだ。
一方、その明徳義塾を倒すべくリベンジに燃えるサウスポーがこのブロックには2人存在している。
1人は昨夏2回戦で明徳義塾・前田克樹(現:神戸学院大)との投手戦に敗れた北川和矢(室戸3年)。強打戦を2点に抑えた自信を胸に、あの日の悔しさを晴らすべく剛球派から軟投派にスタイルを変えて初戦のマウンドに立つ彼の意地に期待したい。
もう1人は2年前の夏まで「明徳」のユニフォームをまとっていた石垣佑司(高知中央3年)。1年春・四国大会では徳島商(徳島)をほぼ完璧に押さえ込む衝撃公式戦デビューを果たしながら、その後は表舞台から姿を消した形になっている彼だが、長距離砲・田村仁(3年)を中心とする打線の援護を背に、最後の最後での恩返しを目論でいる。
その他、下司達也、川崎正喜の3年生バッテリーが安定している高知東、元気を前面に押し出す山﨑銀次(2年)がマスクをかぶる高知東工業などにも注目したい。
ブロック別展望
“土佐が本命。岡豊がこれを追う展開”
岡豊は最速145キロ右腕・田内亘(現:JR四国)を投打の大黒柱としていた旧チームから一転。クロスファイヤーを生命線とする左腕・壬生武稔、俊足捕手・岡村康平の3年生バッテリーと旧チームからの唯一ライトの定位置を確保している石川雄大(3年)の巧打をベースとしながらも、山中直人監督本来の形である豊富な練習量と多くの練習試合に立脚した「チーム力」でベスト4、そして悲願の初甲子園を狙う。その他、右腕・石田純也(3年)、4番・片岡朋也(3年)など投打にバランスの取れた須崎らも上位を狙えるチームだ。
なお、このブロックの要注目選手には窪川のキャッチャー武田欣士(3年)をあげておきたい。彼の持ち味は練習試合で対戦相手がことごとく驚く強肩。「伸びるような感じで2塁までいく」と、池川史監督も全幅の信頼をおいている。俊足ぞろいの土佐との初戦で彼がどんな2塁送球を披露してくれるか。そのパフォーマンス次第では一気に表舞台に飛び出す選手になりそうだ。
ブロック別展望
“高知が絶対本命視されるブロック。しかし……”
また、高知小津は投打に圧倒的存在感を示す山村光司、高知西は5月の県総体で土佐を2点に抑えた板垣宏正が最後の夏に挑む構え。この2人がガチでぶつかる可能性が高い大会2日目・春野球場第3試合の1回戦は、要注目の一戦である。
一方、それを迎え撃つ形の高知は「伸び」を身上し、栄光のエースナンバーを背負う左腕・宮本嘉生に、最速142キロの細川孝典、最速138キロの西川大地の右腕コンビを加えた3年生3本柱の起用法がポイント。
打線では172センチと小柄ながら鋭くスイングできる法兼駿(2年)が中心。ここ最近の練習試合では本塁打を連発するなど、春から座った「4番」に風格が備わってきた。あとは彼の前後を打つ強肩強打の捕手・松窪海斗(3年)、巧打と華麗な守備が持ち味のショートストップ・亀井雅人(3年)をはじめとする才覚あふれる選手たちが泥にまみれること。才覚が努力となり、チーム力に昇華できれば、2年ぶりの覇権奪還、同時に彼らにとっては昨年センバツ以来となる甲子園帰還は、自ずと目の前に迫ってくることだろう。
ブロック別展望
“名門復活も現実味を帯びてくるだろう”
高知商の対抗馬は県内屈指の進学校・追手前。放課後の練習時間が限られる同校だが、毎日実戦を想定した練習で築き上げた変幻自在のバント戦法は、決勝戦で高知に延長戦惜敗も春県大会準優勝をつかむ原動力となった。
吉門勇人(3年)から北添佑樹(2年)への継投が決まり、朝練習と基礎練習の反復で補った守備力を上昇できれば、1955年以来半世紀以上遠ざかる夢舞台が夢でなくなるチャンスはきっとあるはずだ。
(文=寺下 友徳 )