Interview

中日ドラゴンズ 浅尾拓也選手

2011.04.20

第64回 中日ドラゴンズ 浅尾拓也選手2011年04月20日


第64回独占インタビューは、中日ドラゴンズの浅尾拓也投手です。
愛知県の常滑高校(当時は常滑北)時代は、まさかプロ野球の世界でプレーできるようになるとは自分自身でも考えていなかったという浅尾。
はじめてプロを意識し始めたのは大学3年生から。
そして、大学4年秋のドラフトでは中日ドラゴンズから3位指名。一体、浅尾は何をきっかけに、考え方や練習メニューを変えていったのか。
さらにこの春、野球部の新入部員に向けても熱いメッセージをいただきました!

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【目次】
■高校時代を振り返って
■大学時代、球速を上げたトレーニングとは?
■プロに入ってからも日々反省、そして成長
■道具へのこだわり
■先輩から技を盗み、吸収する方法/細身の体でも成功する方法

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高校時代を振り返って

【今シーズンも活躍が期待される】

プロ4年目の昨シーズン。72試合に登板して、12勝3敗。
年間最多ホールドの47。
さらにシーズン最多ホールドポイント59をマークし、最優秀中継ぎ投手賞にも選ばれた浅尾拓也。
今年も、さらなる活躍が期待されている右腕だ。
そんな浅尾も、高校時代と大学下級生までは、プロ野球への意識はほとんど無かったという。

「浅尾選手」(以下「浅」) 高校時代は、そんなに上を目指して野球をやっていたわけではなかったんです。
愛知県の中でも地区大会では2回戦、3回戦負けの高校で、最後の夏も3回戦で敗退。僕は高校2年生まではキャッチャーで、途中からピッチャーが誰もいなくなったんで投げるようになりました。

その頃は、あまり野球のことを真剣に考えていなくて、高校1年生のときも基礎体力作りのメニューはやらされていたんですけど、意味も分からずに「何でやらないといかんのかな」って思いながらやってましたから。今振り返ると、そこが一番後悔している部分ですね。

――その頃、練習に対してどのような意識を持って取り組んでいれば、もっと力がついていたかなと今は思いますか?

「浅」 高校の1年目とか、入部した頃は練習がつまらないと思うんですよね。2年生、3年生の上級生がいて、まともに練習もやらせてもらえず、毎日走りこんだり、基礎体力作りをやったりとかで。
だけど今、僕が後悔してるのが、やっぱりやらされてるより、意識してやったほうが絶対に体にも身に付くと思うんです。
腹筋でもそうです。何も考えずにやるよりも、筋肉を意識してやったほうが身につきます。そういう練習をちゃんとやっていれば、今は試合に出られなくても、誰にでもいつか絶対チャンスがくるんで、そのときに力が出せるんです。だから、1年生のうちから努力することが大事だと思います。あとは負けない気持ち。どうせレギュラーじゃないからいいや!ってなっちゃったら選手として落ちてく一方。負けたら悔しいって心から思う気持ちがあれば、強い選手になれると思います。

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大学時代、球速を上げたトレーニングとは?

――学生時代、浅尾投手の野球に取り組む意識というのは、何をきっかけに変わっていったのですか?

「浅」 大学3年生の頃、大事な場面で投げさせてもらった時に、勝っていた試合だったのに僕が打たれて負けたんです。試合後、みんなが慰めてくれたんですよね。でも、その頃の僕は真面目に練習もやっていなくて、そういう姿勢って周りが一番分かるじゃないですか。それなのに、みんなは励ましてくれて、そんな自分が情けなかった。ちゃんと練習して打たれるんだったら後悔しなかったんですけど、その試合をきっかけに真剣に練習に取り組むようになりました。

――ちょうど、この時期から球速も上がり始めるのですよね。

「浅」 スピードには、拘っていましたね。最初は140キロ出すことを自分の中で目標にしていたんですけど、140キロ出た後は、どんどん球速が上がっていくのが楽しくて。僕の場合は、体は細かったし体重もずっと変わらなかったので、瞬発系のトレーニングを重ねていきました。

大学の近くに砂浜があったんで週1回走ったり、階段の駆け上がりや縄跳びをしていました。砂浜を走る時は、地面を蹴るイメージで走るんです。地面を強くピッと蹴れるように、わざと踵(かかと)を上げて走ったりしてましたね。砂浜を普通に走れば、踵から着地したら埋まっちゃうんで、踵を上げてでパンパンパンと走っていかないと早く走れない。それがピッチングでも右足を蹴るときに自然に出来るようになった動きだと思います。

――基礎体力をつけるのに学生時代に行っていたオススメのトレーニングはありますか?

「浅」 縄跳びはいいと思いますね。1回のトレーニングで二重跳びを100回連続で9セットやるんです。これをやると腕がすごく疲れてくる。インナーもすごく鍛えられるので、ピッチングでも、腕を速く強く振れるようになってきます。また縄跳びって踵から絶対に落ちないで、つま先をつけて、足の裏の中央の辺りで着地するので、筋肉もつきますし、体力をつけるためにもオススメです。

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プロに入ってからも日々反省、そして成長

――高校、大学を経て、06年に中日ドラゴンズに入団。プロ“1年目”はどんなシーズンでしたか?

「浅」 まず、これまでの学生時代とは走る量も全然違いましたし、基礎的なトレーニングもこれまで結構やっていたんですけど、なかなかついていけなかった。また、沖縄キャンプでは毎日ブルペンに入って、みんなすごい球数を投げるんです。僕は大学の時は、4~5球くらい投げて試合に行ってたんで、こんなにブルペンでピッチングしたことない!って思ってました。それで、そのシーズンに肩を壊してしまったんですよね。もともと、1年目から試合に出られるとは思っていなくて、体も細かったのでみんなに早く追いつくような体作りをしっかりしようって考えていたくらいだったんです。今はあの頃と比べると、体重も10キロ増えて、体も大きくなってきました。

――入団してから今年で5年目。順調に結果を残してきていますね。

「浅」 それでも、反省はいっぱいあります。1試合1試合、打たれたゲームっていうのは忘れられないですね。だけど、失敗しないと経験できないことは、たくさんあると思うんです。それを多く経験させていただいて、谷繁さんからも「こういう場面はこういう球を投げたらいかんだろ」とかアドバイスを

いただいたりするので、同じような失敗を繰り返さないでおこうと常に気をつけているんで、それが結果につながってきていると思います。こうやって反省を次の登板に生かしていくのは1年目もそうですし、2年目も3年目も、そして今後もずっと変わらない考え方ですね。

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道具へのこだわり

【用具も拘りを持ち使う】

「浅」 今はミズノ(グローバルエリート)を使っています。
選んだときのポイントは、このグラブは小指と親指を入れるポケットの部分が、他のグラブよりも少し横幅が広くなっているんです。
僕は今、フォークを投げるので、このポケットの幅が狭いと握りが見えちゃうんですよね。だから、手が全部隠れるデザインがいいなと思って。
あと、ライナーバックもポイントでした。普通のグラブは裏側が空いているんですけど、これは穴が小さいから手の動きも見えない。最初この形をみたときに珍しいから「これにしよう!」と思い選びました。

 あとは、僕は柔らかめのグラブは好きです。基本的に力を入れなくてもグラブを閉じられるのが良くて、それがこのグラブだと軽くてパクっと(閉じる)なるのでそういう点がこのグラブの1番好きなところです。
これからさらに使い込んで、もっと柔らかくしていきます。僕はグラブの型を作るのがヘタで、本当はそういう型にもこだわりたいのですが。

だから柔らかいグラブを使って、自分の好きな型のグローブを作るために、めちゃめちゃ柔らかにしていきたいです。

色に関しては、グラブは青っていうのは変わらないです。プロに入ってから「青のグラブ使っているのは浅尾だな」って思われるようになりたいと思って、ずっと使っています。

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先輩から技を盗み、吸収する方法

「浅」 先輩に全部聞くんじゃなくて、まず考えることが大事だと思います。
「何で今、そういう練習やってるんですか?」ってすぐ聞くのは簡単だと思うんですけど、考えてみると「ああいう練習は、ああいうところを意識してるんだな」って分かってくるんです。
まず見て考えて、本当に分からなかったら聞けばいいと思う。
変化球の投げ方にしても、「何を意識してるんだろう」って考えたら、聞かなくても分かるはずなんですよ。調整の仕方もそうですし。じゃあ1回、真似してみようって思ってダメだったら、また変えていけばいいだけ。
何でもすぐに聞くよりも、見て覚えることが本当に自分のものとして吸収するためには大事なことです!

細身の体でも成功する方法

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「浅」 学生時代は細かったので、色々と考えました。
細い人は体が大きい人には出来ないことは出来ると思うんです。

腕の振りの速さだったり、瞬発性だったり、そういう面を伸ばしていけばいいんじゃないですか。
例えば、球を速くするためには何が必要かを考えたときに、縄跳びもそうですし、上半身を速く動かす練習とか、ネットをめちゃくちゃ近い距離に置いて、連続で投げて腕を速く振ろうとしたりとか。

あとは、遠投を多くやって、どういう投げ方をしたら一番遠くに飛ぶのか考えて、それを出来るだけピッチングフォームに近づけていく。そのフォームで試合で投げてみる。投げて次の日に筋肉痛になると、ここが筋肉痛になるということは、ここを鍛えたらもっと速くなるんじゃないかと繰り返しトレーニングしていったり。何もしなくて150キロ出たわけじゃないです。そうやって、考えてやっていましたね。

「何事に対しても負けず嫌いなんです」と話す浅尾。彼の野球熱が高まるにつれて、その拘り(こだわり)はどんどん強くなっていく。スピード、トレーニング、そしてグラブにいたるまで――。全ては負けない投手になるために。今シーズンも浅尾拓也は飛躍し続ける。

(文・インタビュー:安田 未由)

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