千葉敬愛vs松戸国際
ランニングホームランなどで打点を稼いだ伊藤和樹(千葉敬愛)
両軍合わせて34安打の乱戦、松戸国際がサヨナラ勝ちで制す
壮絶な打ち合いという印象はなかったのだが、松戸国際が18本、千葉敬愛は16本の安打を記録。両軍合わせて34本が乱れ飛んだということになりスコアボードを見ても、3回を除くと最低どちらかには得点が入っているという賑やかなものになった。試合そのものも、10対10で迎えた9回の攻防で、最終的に結論が出るという形になった。
こういう展開になると、終盤のワンプレーが大きなポイントになってくるというケースが多いのだが、6回に1番伊藤 和樹君の右中間への2点ランニング本塁打で追いついた千葉敬愛。その後、再び2点を追いかけることになったが8回、二死二、三塁からまたも伊藤君が、今度は左前に巧みに運んだ2点適時打で追いついた。さらに、続く山崎君が二塁へ進んでいた伊藤君を帰してこの試合はじめて千葉敬愛がリードした。
松戸国際ベンチでは石井忠道監督が、「この試合は10対9くらいで決まるぞ」ということを最初から言っていたというが、「実際に10対9になったけれども、こっちが負けている状態でそうなってしまって困ったなぁと思っていた」という。ところが、松戸国際の選手たちは、指揮官の思い以上に逞しかった。
その裏すぐに、松戸国際は四球とバントで二塁へ進んでいた野間口君を、5番西山君の左中間への二塁打で帰して追いついた。乱戦気味ながらも、追いつかれてもリードは許さずに来ていた松戸国際としては、終盤に初めてひっくり返されて、展開としては非常によくない形だったのだが、すぐに追いついたのは立派だった。
サヨナラ勝ちを決めた松戸国際
こうして、10対10で迎えた9回の攻防。千葉敬愛は二死から代打浦邊君が右前打するとすかさず代走川俣君を送り出すが、続く大澤君の右線打で二三塁となったのだが、打順を考えたら思い切って本塁へ突入してもよかったのかなと思われるシーンでもあった。後続を植谷君が抑えて、松戸国際は何とか凌いだ。
そしてその裏、松戸国際は一死で8番天野君が内野安打で出ると、バントと暴投で三塁まで進む。二死三塁で1番今井君は、石井監督から、「幸せな場面だぞ」と、背中をさすられながら送り出される。今井君は、それに応えて右中間を破った打球はそのままエンタイトル二塁打となってサヨナラを決めた。
松戸国際は送りバントが安打になったものも含めて、バント安打4本。一、三塁になると、何度も重盗を試みたり、二、三塁から2ランスクイズを試みるなどいろいろと仕掛けてきていた。石井監督は、失敗してもそれは意に介していない。「(2年生の多い)若いチームですから、いろんなことを試しながら、失敗しながら覚えて行くことも大事です」という考えでもある。
そして、16安打されながらも9回を植谷君が投げ切ったことに関しては、「こういう展開でしたから、選手たちもアイツで負けたら仕方がないと思っていますから、投げさせました」と、エースに託していた。
千葉敬愛は、長年務めていた部長から就任して2年目となる山﨑祐司監督が、負けはしたものの、「いきなりの4点のビハインドをリカバーすることができて逆転までしたことは、精神的には成長できたと思います」と、選手たちの粘りを称えていた。しかし、「先発(吉野君)で、5回くらいまでは行きたかったんですけれどもね…、本来はストレートを見せ球にして変化球で引っかけさせるという投球なんですけれども、高めに浮いていて、それができませんでした。櫻井は後半で行くぞということは伝えていたのですけれども、(初回か2回での交替は)早すぎて準備できていませんでした」と、序盤の失点を悔いていた。
(文=手束 仁)