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シンスプリントを起こしやすい選手の特徴

2017.11.30

シンスプリントを起こしやすい選手の特徴 | 高校野球ドットコム

 こんにちは、アスレティックトレーナーの西村典子です。

 オフシーズンは技術練習と並行して体力づくりに力を入れる時期でもあります。筋肉そのものの持久性を高めるため、またスタミナ強化のためにランニングを行うことも多くなりますが、それに伴ってランニングによるケガに悩む選手も増えてくる傾向にあります。今回はランニング量が増えてくるとよく見られるすねの痛み=シンスプリントについて、シンスプリントになりやすい選手の特徴とその対応についてお話をしたいと思います。

シンスプリントは骨膜の炎症

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同じ練習内容でもシンスプリントになる選手とならない選手の違いはなんだろう?

 すねの特に内側、下1/3の部位にみられることが多いシンスプリントですが、これは骨を覆っている骨膜に炎症が起きることで痛みが現れます。運動をしていない安静時にはあまり痛みを感じませんが、運動時に痛みが強くなることがその特徴として挙げられます。軽度のものであれば痛みがある状態でも我慢して練習やランニングを続けることができますが、このような状態で毎回骨膜に物理的なストレスが加わると、次第に疲労骨折へと進行してしまうこともあるので注意が必要です。

 ところで同じ練習を行っていてもシンスプリントを起こす選手と、起こさない選手がいますが、シンスプリントを起こす選手には何か原因があるのでしょうか。ここでは考えられる原因とその対応について紹介したいと思います。

特徴その1〜偏平足〜

 足裏をチェックしてみましょう。足裏には親指側と小指側に縦アーチ、親指側から小指側にかけて横断する横アーチという3つのアーチが存在し、いわゆる土踏まずを構成しています。土踏まずは着地などによって地面から受ける衝撃を和らげるクッションの役割を果たしていますが、筋疲労や骨格の状態から足裏アーチが落ちてしまっているものを偏平足と呼びます。偏平足の選手は、地面からの反力がダイレクトに足首や膝などの下肢にかかりやすく、その間をつなぐすねの部分がバランスを取ろうと、たわんだり、ひねられたりして、シンスプリントになりやすいと言われています。

 足裏のアーチを改善させるためには、テニスボールを使って足裏をマッサージしたり、裸足での青竹踏みを行ったりするようにしましょう。また足指を独立させて動かすことも効果的ですので、5本指ソックスなどを着用して足底の筋力が低下しないようにすることが大切です。

[page_break:特徴その2〜負担のかかりやすいランニングフォーム〜]

特徴その2〜負担のかかりやすいランニングフォーム〜

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負担のかかるランニングフォームはシンスプリントを起こしやすい

 着地したときにつま先と膝の方向にズレが生じていると、そのズレを矯正しようとして足首がムリに正しい姿勢に戻そうとします。そのときにその間をつなぐすねの部分に大きな負担がかかりやすくなって痛みを生じやすくなります。また足首は踵にある骨とその上にのっている骨との間にある関節でもバランスをとろうとするため、こうした足首の動きが大きくなるとやはりすねの部分が痛くなります。

 膝とつま先の方向を同じようにして、力の分散を防ぐことや足首の動きを筋力強化によって改善させることでシンスプリントを軽減させる効果が期待できます。また片足着地でバランスを崩すようであれば、自重を支えるための下肢筋力をつけること、また足裏全体で着地するタイプやドスドスと音を立てて走るタイプ、走っている時に足が後ろに流れてしまうタイプなどもシンスプリントを引き起こしやすいため、ランニングフォームを改善する必要があるといえるでしょう。

[page_break:特徴その3〜ふくらはぎの筋肉、すねの筋肉が硬い〜]

特徴その3〜ふくらはぎの筋肉、すねの筋肉が硬い〜

 ランニングを行う時にふくらはぎの筋肉(下腿後面)、すねの筋肉(下腿前面)の柔軟性が低下していると筋肉は骨に付着しているため、動きの制限がかかってしまい、すねの部分に大きなストレスを加える要因となります。特にシンスプリントになりやすい選手は、ふくらはぎとすねの前面部のストレッチを入念に行うようにしましょう。また足裏を地面につけたときに足指が浮いてしまう「浮き指」についても、足の甲やすねの筋肉が硬くなっていることが考えられます。足指が浮いた状態でランニングを行うと荷重時のストレスが大きくなりやすいので、足指を一本一本独立させてほぐすようにしましょう。

特徴その4〜急激に身体が重くなった選手〜

 体重が重いというだけではなく、その体重を支えるだけの筋力が伴っていないとやはりシンスプリントを起こしやすいと考えられます。特に身体を大きくしたいあまり急激に体重を増やしてしまうと、やはりすねの部分に負担がかかって痛みを起こしやすくなります。体重を増やすときのウエイトコントロールは月1〜2kg増を目安とし、並行して下肢の筋力トレーニングをしっかり行うようにしましょう。

 毎年、この時期になるとすねの部分に痛みがある選手は特にこうした特徴が自分に当てはまっていないかを確認してみましょう。またランニングフォームなどは自分では確認しづらいので、他の選手にみてもらったり、スマホで動画をとってみたりして、自分の姿を外からの目線でみることも大切です。体力レベルを上げるためのランニングがケガにつながらないように、ぜひチェックしてみてくださいね。

【シンスプリントを起こしやすい選手の特徴】
●ランニング量や強度が増えることによってすねの部分に痛み=シンスプリントを起こしやすい選手の特徴になる選手がいる
●特徴その1)足裏のアーチが落ちて偏平足になっている
●特徴その2)負担のかかりやすいランニングフォームで走る
●特徴その3)下腿の筋肉(ふくらはぎ、すね)の柔軟性が落ちている
●特徴その4)急激に体重が増えたのに体重を支えるだけの下肢の筋力が伴っていない場合

(文=西村 典子

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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