今年の甲子園ベスト16がほぼ順当だといえる理由
8月14日をもって、甲子園ベスト16が出揃った。今回は3回戦に進出したチームの特徴を紹介していく。
まずは地域別にチームを見ていこう。
【組み合わせ・応援メッセージ】
■第101回全国高等学校野球選手権大会
【東北】
八戸学院光星
仙台育英
鶴岡東
【関東】
作新学院
東海大相模
関東一
【東海】
中京学院大中京
【北信越】
高岡商
星稜
敦賀気比
【近畿】
履正社
明石商
智弁和歌山
【中国】
岡山学芸館
宇部鴻城
【九州】
長崎海星
順当に勝ち上がった16校
16校の特徴を紹介! 写真:共同通信
東北地区、北信越地区が3校残る結果となっている。
この顔ぶれを見ていくと、ほぼ順当に実力校が残った。この16校のほとんどは春の時点から、試合内容も、選手のパフォーマンスも別格のレベルを示していたチーム。
地方大会では本命のチームが多く敗れ、この夏は波乱を感じることが多々あった。その中でも、本命と呼ばれるプレッシャーの中で厳しい地方大会を勝ち抜き、甲子園でもそのまま地力の高さを発揮しているチームがベスト16まで残っている印象だ。
今年、春季地方大会のベスト4以上を経験しているのは、関東大会優勝の東海大相模、そして東北大会ベスト4の仙台育英に鶴岡東、北信越大会優勝の星稜、準優勝の敦賀気比の計5チーム。これほど春の地方大会上位チームが、そのまま全国の舞台でも実力を発揮する大会も珍しいだろう。
今、名前を挙げた学校は、春季大会の選手のレベルや野球の質を見ても、夏の甲子園上位に進むだろうと感じた。鶴岡東が習志野を破ったことで大きなインパクトを与えたが、鶴岡東は春の東北大会4強で、盛岡大附、青森山田に10点以上を挙げて大勝しており、総合力は全国クラスの評判であり、打力、野手の能力は習志野以上で、破ってもおかしくはなかった。
センバツベスト4の明石商、ベスト8の智辯和歌山も野球の質、選手の個々のレベルは全国レベルのものがあった。
履正社は秋の時点で、3番・小深田大地、4番・井上広大を中心とした打線は強力で、強打のチームとして君臨していたが、センバツで星稜の奥川恭伸として対戦したことで、ワンランク、ツーランクもレベルアップさせた。長打力、好投手の対応力という点では全国ナンバーワンだといえる。
中京学院大中京は秋の東海大会準決勝では9回まで東邦にリードしていて、実力は東邦とほぼ互角。秋の時点から岐阜県の本命とみられていたチームだった。関東一も、強豪揃う都大会でベスト4。準決勝では全国クラスの東海大菅生に接戦を演じるだけのチームの完成度の高さはあった。9年連続出場の作新学院は秋の関東大会出場したものの、春は県大会8強止まり。やはり夏にしっかりとチームを仕上げた。
八戸学院光星は秋の東北大会優勝チームで、打撃力だけではなく、守備力、きめ細かい試合運びも見逃せなかった。春季大会で序盤で敗退したが、仲井監督は調整がうまくいけば、強打を発揮できると手ごたえをつかんでおり、その言葉通り、2試合とも強打を発揮し、投手陣の顔ぶれも充実。久しぶりに優勝を狙えるチームだ。
逆に驚きの成果を残しているのは高岡商、岡山学芸館、長崎海星、宇部鴻城の4校だろう。高岡商、岡山学芸館は春の県大会で16強、長崎海星は直近のNHK杯ではベスト8止まり、宇部鴻城は県大会の決勝大会に進めず、ベスト16止まりで、県内でもダントツの優勝候補ではなかった。この4校については勝ち上がっていくごとに強さを発揮しているといっていいだろう。
トーナメント方式の高校野球だからこそ本命のチームが甲子園に勝ち上がるのは非常に難しい。
それでも勝ち上がれば、全国でも十分に活躍できることを示した甲子園となっている。
(記事=河嶋 宗一)
【組み合わせ・応援メッセージ】
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