第4回 MLBから学ぶパワーヒッターの作り方!メジャー流の筋トレや考え方に迫る!2016年12月21日

印刷する この記事をYahoo!ブックマークに追加 このエントリーをはてなブックマークに追加   

マーク・トロンボ(オリオールズ)

【目次】
[1]アメリカン・リーグ本塁打王・トロンボのように打撃特化の選手が輝けるのがメジャー
[2]パワー重視のMLBでも、日本人がアメリカ的な考え方を踏襲する必要はない

 特別特集「パワーアップが上達の近道」では、ここまで、日本のプロ野球界で活躍している選手たちや、強豪チームの取り組みなどを紹介してきたが、ここでMLBの世界ものぞいてみよう。今回は、ニューヨーク在住のMLB記者の杉浦大介氏に、メジャーリーグの「パワーヒッターの作り方」事情を執筆いただいた。

 メジャーリーグとは投打ともにパワーが重視される世界だ。今では日本のプロ野球も世界のトップリーグと目されているが、パワー面では依然としてメジャーとの間に歴然とした差が存在する。現在メジャーで活躍する日本野球経験者に日米リーグの最大の違いを聴いても、たいていの場合、「やはり力強さではまだアメリカの方が上だろう」といった答えが返ってくる。

アメリカン・リーグ本塁打王・トロンボのように打撃特化の選手が輝けるのがメジャー

 打撃面では、例え打率は.220程度でも、30~40本塁打を打てばアメリカでは一定の評価はされる。それだけの数字を残せば、大型契約も獲得可能。今オフではアメリカン・リーグ本塁打王のマーク・トロンボ(2016年までオリオールズ所属)のケースが象徴的だろう。

  2010年にメジャーデヴュー以降、トロンボの打率は270を超えたことがない。ただ、レギュラー定着した6年中5年で22本塁打以上、4年で29本塁打以上というパワーは魅力。2016年も159試合で打率は.256、170三振を喫しながら、メジャー1位の47本塁打を放ったため、今オフは総額5000万ドル以上の大型契約を受け取ることが確実視される。

「トロンボにできないことはたくさんある。守備、走塁は低レベルだし、四球も少ないし、打率も低い。ただ、2016年には誰よりも多くのホームランを打ったおかげで、今オフには高給を得るだろう」
今オフのFA戦線開始前に、老舗スポーツ・イラストレイテッド誌のウェブサイトにはそんな寸評が寄せられていた。ここでのコメントは、並外れたパワーさえ持っていれば、いわゆる“1ツールプレーヤー”でも評価されるメジャーの通例をわかりやすく物語っていると言って良い。

「アメリカではかなり若い頃から、ドラフトで指名されるのはパワーヒッターだけだとコーチから吹き込まれる。だから打率を少なからず犠牲してでも、パワーを重視する考え方になるんだ」

 アメリカで大学までベースボールをプレーした日系人で、現在はニューヨークのテレビ局「NY1」でレポーターとして活躍するザック・タワタリ氏はそう証言する。その言葉通り、アメリカでは基本的にリトルリーグの時代からパワー重視の打ち方を叩き込まれることが多い。もちろん少なからず適正に応じはするだろうが、筋力をつけるための鍛錬は必須のようだ。

「特別な練習方法よりも、ウエイトトレーニングをかなり重点的にやる。子供の頃から毎日やるようにとコーチから強調されたものだった。その点は、技術と基本を重んじる日本とはかなり違うんじゃないかな」

 タワタリ氏がそう述べる通り、ベースボールを始めたばかりの時期には、日本ではまずは基礎練習が中心になる。無闇に筋肉をつけて打球を飛ばそうとするより、まずはレベルスイングでのコンタクトに主眼が置かれるはずだ。しかし、アメリカでは学生時代からウエイトは欠かせないメニューになっている。

【次のページ】 パワー重視のMLBでも、日本人がアメリカ的な考え方を踏襲する必要はない

この記事についてTwitterでつぶやく この記事についてFacebbokに投稿する
【関連記事】
第554回 ニューバランス・スパイク商品企画担当者が語る「今、プレーヤーが求めるのは履き心地抜群のスパイクだ!」 【2017年インタビュー】
第25回 青木 宣親選手(日向-ヒューストン・アストロズ)「高校時代からは想像もつかなかった選手に成長した」【後編】【恩師が語るヒーローの高校時代】
第24回 青木 宣親選手(日向-ヒューストン・アストロズ)「印象は『普通の高校生』『継続する大切さ』を教わる」【前編】【恩師が語るヒーローの高校時代】
第501回 ヒューストン・アストロズ 青木 宣親選手(日向出身)「失敗しなければ自分のことは分からない」 【2017年インタビュー】
第84回 出動!球児に聞き隊!【高校生100人に聞いた!好きなプロ野球選手(外野手編)】【野球総合研究所】
第27回 イチローから学べる「自分の役割」を見出し術【先輩から学べ】
第20回 愛工大名電(愛知)編「工藤 公康、山崎 武、イチローの3人を筆頭にプロ入り選手を輩出し続ける愛工大名電のつながり!」【先輩・後輩・同級生!つながりトリビア】

プロフィール

杉浦大介
杉浦 大介
  • ■ 東京都生まれ。
  • ■ 日本で大学卒業と同時に渡米し、ニューヨークでフリーライターに。現在はMLB、NBA、ボクシングなどを題材に執筆活動中。『スラッガー』『ダンクシュート』『アメリカンフットボール・マガジン』『ボクシングマガジン』『スポーツナビ』『日本経済新聞・電子版』など、雑誌やホームページに寄稿している。2014年10月20日に「日本人投手黄金時代 メジャーリーグにおける真の評価」(KKベストセラーズ)を上梓。Twitterは (http://twitter.com/daisukesugiura
コラムトップに戻る サイトトップに戻る

コラム