2020年は「スラッガー世代」だ。来田、西川など高校野球をけん引する12人のスラッガーたち
2020年の高校生野手は、黄金世代と呼ばれるぐらい人材が揃っている。そんな野手の顔ぶれを今回は、編集部のドラフト部長こと河嶋宗一がこれまでに見てきた選手を中心に、シリーズ別で紹介したい。まずは『スラッガ―編』。この世代は、清宮幸太郎、村上宗隆などがいた2017年に匹敵するぐらいの人材が揃っている。
投手編はこちらから!
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2020年世代を牽引する4選手
来田涼斗(明石商)※写真=共同通信社
世代のトップを走るのが、来田涼斗(明石商)だ。今春のセンバツでは2本塁打、さらに夏の甲子園準決勝でも本塁打を放った。ここぞという場面で、本塁打を打てる勝負強さが魅力。それが来田の評価を高めているといっても過言ではないだろう。ただ、来田は走塁のレベルは高いが、守備はまだ打球勘などで課題を残す。それでも、来田の能力があれば、一冬で力を伸ばしてくるだろう。最上級生となる来田のパフォーマンスに注目したい。
続いて、長打力・スケール感では来田に負けていないのが、西川 僚祐(東海大相模)だ。捉えた時の打球の速さはピカイチだ。
現在、高校通算50本塁打とこのペースでいけば、2020年夏には高校通算100本塁打に到達していてもおかしくない。そのためにも、テクニックに長けた本格派や技巧派を打ち崩せるかが、今後の評価を挙げるポイントとなる。
また、西川ともに注目したいのが山村 崇嘉(東海大相模)だ。対応力が高く、多少崩されてもヒットにできて、甘く入れば簡単に本塁打にできる。投手もやっているように肩も強い。最近は一塁手でも、スラッガーの需要が高まり指名されるケースもあるので、夏に向けて圧倒的なパフォーマンスを見せていきたい。
東海系列では、杉崎 成(東海大菅生)も、今年8月下旬の時点で高校通算44本塁打を記録しているスラッガー。オープンスタンス気味の構えから高速スイングで左方向だけではなく、右中間にも本塁打が打てる。ここぞという場面で打てる勝負強さは必見。若林監督も杉崎のメンタルの強さ、取り組みの良さを高く評価している。この1年、どれだけのパフォーマンスを見せてくれるか注目したい。
まだまだいる!全国に潜むスラッガーたち
井上朋也(花咲徳栄)
そして現在、高校通算43本塁打の井上朋也(花咲徳栄)も、世代を代表するスラッガーとして注目したい一人。1年春からレギュラーの座を掴んだ井上は、早くもクリーンナップとして活躍。また、井上は打撃だけではなく、強肩が光る三塁守備と外野守備も見逃せない。
同じ埼玉県の渡邉翔大(昌平)は、秋の県大会前で35本塁打を放っている左のスラッガーで、打球の飛距離、速さともにずば抜けている。
習志野の櫻井 亨佑、和田 泰征のスラッガーコンビにも注目だ。櫻井は飛距離だけではなく、粘り強さも出てきた左の大型スラッガー。和田は長打力に加えて、安定感のあるグラブ捌きも見逃せない。
内山壮真(星稜)もスラッガーの1人に入るだろう。9月の時点で高校通算26本塁打を記録している。172センチ72キロと小柄ではあるが、体の使い方が上手く、技術で飛ばせるタイプだ。俊敏な遊撃守備も光るが、この秋から捕手に転向。何においてもそつなくこなす野球センスの高さは素晴らしく、ドラフト指名を受けた奥川恭伸、山瀬慎之助に続く、高卒プロ入りも十分に狙える選手である。
大阪は履正社のスラッガー・小深田大地も期待のスラッガー。フォロースルーまでしっかりと振り切った豪快なスイング、コンタクト力、打球の速さは同世代でもずば抜けており、三塁守備も非常にレベルが高い。履正社の三塁手といえば、安田尚憲(千葉ロッテ)がいるが、小深田もパフォーマンス面では負けていない。
また、履正社のライバル・大阪桐蔭は、西野力矢に注目だ。がっしり体型の西野はパワーよりも対応力の高さが光る。簡単にはアウトにはならないしぶとさがあり、それでいて、豪快なスイングで本塁打も量産する。
1年夏から注目を浴びてきた18152(京都外大西)も、高校通算20本塁打以上を超えるスラッガーで独特のスイング軌道は注目すべきものがある。現在は捕手に転向し、攻守ともにチームを牽引する存在へ成長している。
四国地区を代表するスラッガー・山田響(済美)にも注目だ。1年生から公式戦に出場し、たびたび愛媛のメイン会場である坊っちゃんスタジアムで特大アーチをかけてきたが、10月12日行われた秋季県大会決勝で左中間へ3ラン。この本塁打は内角低めに食い込んでくるチェンジアップを振り抜き、打ち込んだ技ありの本塁打だった。パワーだけではなく、技術も高まっている山田は春の選抜出場を目指し、勝利に貢献する豪打を打ち続ける。
最後に、ドラフト部長こと河嶋宗一が選んだ「2020年の注目選手スラッガー」をおさらいしよう。
【注目スラッガーリスト】
来田涼斗(明石商)
西川 僚祐(東海大相模)
山村 崇嘉(東海大相模)
杉崎成(東海大菅生)
井上 朋也(花咲徳栄)
18152(京都外大西)
渡邉翔大(昌平)
櫻井 亨佑(習志野)
和田 泰征(習志野)
西野力矢(大阪桐蔭)
小深田大地(履正社)
山田響(済美)
次回は、世代を代表する「内野手・捕手」を紹介していきたい。
(記事=河嶋 宗一)