Column

体重が減ったときのセルフチェック

2014.09.15

 こんにちは、アスレティックトレーナーの西村典子です。

 9月に入り新学期となりました。暑い夏の練習を乗り切っていざ秋の大会!といきたいところですが、体力面でのコンディションは万全でしょうか?毎日汗をかきながらプレーをしていると、自分でも気がつかないうちに体重が減り、思ったように力が発揮できない、体が動かないといったことが考えられます。夏ばてによる食欲不振なども直接体重に影響してくるので注意が必要ですね。

 今回は体重が減ったときのセルフチェックについて、お話をしたいと思います。

毎日体脂肪計に乗る習慣をつける

 体重が減っているかどうかということは、毎日測定をしていると自分でも把握することが出来ます。出来れば朝の起床時、夜の就寝前と時間を決めて体組成計(体重計)を使って測ることをオススメします。起床時の測定値は朝食前ということもあって比較的軽く、就寝前は食後ということもあって朝よりも若干増える傾向にあります。個人差はありますが、一日のうちでも体重はかなり変化すると思っていいでしょう。

 また最近の体組成計は体脂肪率も簡単にチェックできますので、(自分の体重)×(体脂肪率)=(脂肪量)を把握しておき、脂肪量を減らして除脂肪体重(脂肪を除いた体重のこと。筋肉量の増加が除脂肪体重に反映されるといわれている)が増えているかどうかを確認しておく必要があります。

 ただ単に体重を増やすのではなく、筋肉をつけて体重を増やすことが、プレーの力強さにも影響します。

どうして体重が減るのか

汗を大量にかくと体重の減少につながりやすい

 体重の増減は消費カロリーと摂取カロリーのバランスによって決定されます。食事による摂取カロリーよりも基礎代謝(何もしなくても消費するエネルギー量のこと)を含めた消費カロリーが多いと、体重は減ってしまうということです。

 特に筋肉の多い体は基礎代謝量が高いため、いつもの身体を維持するだけでもかなり多くのカロリーを必要とします。こうした状況に加えて、日頃の食事量が減ってしまうと、体重は自然と減少してしまうでしょう。

 体重が減ったときにまず一番はじめに確認することは、毎日三食キチンと食べているかどうかということ。

 特に朝食をしっかりと食べているかどうかは重要です。眠いからといって朝食を抜くような食生活では、朝からエネルギー不足となり、摂取カロリーの総量も減ってしまうことは明らか。アスリートである以上、体づくりのためには摂取カロリーを落とさないこと、朝食は必ずとる習慣をつけましょう。

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[page_break:何を食べていますか / 睡眠時間を確保していますか]

何を食べていますか

食事は量と質、内容をチェックすること

 朝食を必ず食べることとともにチェックしてほしいことが、食べている食事の内容です。朝食を食べたという内容がたとえば「菓子パンとコーヒー」だけでは不十分ですよね。

 せめてエネルギー源となる炭水化物(ご飯・パン・パスタ等)とタンパク質(鮭や卵、豆腐、もちろん肉類なども)にくわえてサラダなどの野菜類、果物(果糖が含まれるのでエネルギー源にもなり、朝食にはもってこい)、十分な水分補給も行いたいところです。

 プロテインは好んで飲むのに、朝食が物足りないものであれば、体づくりとしては不十分。

筋肉量が落ち、余分な糖質が体脂肪として身体にため込まれると、脂肪は力を発揮しないため、「重りを背負った」状態となってしまいます。

 体重を減らさないために、深夜にスナック菓子をつまんだり、間食代わりにファストフードを食べたりといったことも避けてほしい習慣です。体重そのものは変わらない、もしくは増えたとしても、アスリートの身体としては十分なパフォーマンスが見込めないことでしょう。

睡眠時間を確保していますか

 睡眠は体づくりの上で欠かせないものです(参考コラム:野球選手にとって睡眠が大切なワケ)。睡眠中に分泌される成長ホルモンは、骨や筋肉の成長に関与し、日中に食事などで摂取した栄養素(炭水化物、タンパク質、脂質等)の代謝を促進させるということが知られています。

 こうした成長ホルモンは十分な睡眠時間だけではなく、適切な時間帯に就寝することが望ましいとされています(22時~2時をピークに分泌される)。睡眠不足や不規則な睡眠習慣が続くと、栄養素の代謝がうまくいかず、筋力アップのためのトレーニングが逆に筋疲労をため込むばかりになってしまい、結果として体重が思ったように増えていかないといったことが考えられます。

 夏の時期は汗を多くかくため体重が減少しがちです。さらに暑さで水分ばかりをたくさん摂取すると、今度は食欲にまで影響を及ぼします。食欲不振になると当然、摂取カロリーは少なくなって体重が減ることになりますよね。こうした悪循環を断ち切るためには、暑い時期であってもいつもと変わらない生活を送ることが大切です。この夏で体重が減ってしまったという選手には、今一度普段の生活習慣を見直し、食事面のチェックを行ってほしいと思います。

 【体重が減ったときのセルフチェック】

●毎日体重・体脂肪率を測定し、除脂肪体重が減らないようにする

●筋肉量が多い選手は基礎代謝が高いため、摂取カロリーを落とさない

●毎日の食事内容を把握すること。特に朝食抜きはNG

●スナック菓子やファストフードでキープする体重は「重りを背負ってしまうようなもの」

●睡眠不足や不規則な就寝時間は筋疲労をため込んでしまうことに

●暑い時期は大量の汗や食欲不振などで体重が減りがち。普段と変わらない生活習慣を心がける

(文=西村 典子

次回コラム公開は9月30日を予定しております。

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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