素晴らしいパフォーマンスを見せた宮崎県選抜 戸郷翔征・源隆馬・小幡竜平の3人に注目!
侍ジャパンU18代表と対戦した宮崎県選抜。4対2と接戦を演じ、敗れた宮崎県選抜のパフォーマンスに魅了された高校野球ファンは多く、詰めかけたファンは試合を通じて県のヒーローたちに温かい拍手を送っていた。今回はそんな宮崎県選抜から3人の逸材を振り返っていきたい。
この試合にかけていた戸郷翔征(聖心ウルスラ)
戸郷翔征(聖心ウルスラ)
藤原恭大(大阪桐蔭)のセンター前から俊足を飛ばしてからの二塁打。2番小園海斗(報徳学園)の一塁強襲安打。さらに野尻幸輝(木更津総合)の左中間を破る適時三塁打で早々と2点を先制。早くも侍ジャパンU18代表が魅せて、球場のファンを魅了。しかしこの男が球場の流れを変えた。2番手として登板した戸郷翔征(聖心ウルスラ)だ。今年の宮崎大会で最速148キロを計測。今年の宮崎県ナンバーワン右腕ともいっていい戸郷はこの試合へ向けて1か月前から燃えていた。
「夏負けた試合はとても悔しかったんですけど、そこから切り替えて、どう抑えられるのかを考えて、練習に取り組みました」と語る戸郷は休むことなく、練習に取り組んだ。
気合が入っていた戸郷は投球練習から140キロ中盤を計測。まず奈良間大己(常葉大菊川)は、「自分は右打者が得意なので、スライダーを中心にいきましたし、お客さんも喜んでもらえる」と139キロのカットボールで空振り三振に打ち取ると、2回表には自己最速の149キロを3球計測。
見せ場となったのは1番藤原の対決。藤原にはストレートで追い込み、最後は136キロのカットボールで空振り三振。だが2度目の対決には139キロのカットボールを捉え中前適時打。また、根尾との対決は3球三振。戸郷は日本代表の打者に対し、「本当に有名な選手ばかり。マークしていた藤原、中川、根尾らを三振に奪えればと思っていたので、嬉しかったです」と笑顔を見せた。
結果的に5.1回を投げて、2失点したものの、9奪三振の快投を見せた。とにかく球種の1つ1つが素晴らしかった。まず145キロ前後・最速149キロ(3球)を計測したストレート、そして130キロ後半のスプリット。130キロ後半のカットボール、130キロ前半のスライダー。日本代表の打者の多くが「カットが素晴らしかった。ストレートの勢い、変化球の精度は大学代表の投手と変わらないぐらいものがあった」と絶賛。
課題としていた左打者をどう抑えるかを考えていた戸郷は「カットボールがカギとなった」と語るように、カットボールとスライダーを軸に投球を組み立てていった。野尻に三塁打を打たれたものの、藤原、中川、根尾を三振に打ち取り、左打者に克服する姿勢は見せた。この日のピッチングについて、
「自己最速の149キロが出たのは、たくさんのお客さんがいたサンマリンの雰囲気から出たものだと思います。根尾君から三振を取れるとは思っていなかったので嬉しかったですし、今日は自分の力強い真っすぐで押していけと監督からもいわれていたので、それができてよかったです」
また、今後の進路でプロ志望を明かした戸郷。この日の快投に多くのスカウトに印象を与えたに違いない。
自慢の速球で2三振の源隆馬(宮崎学園)
源隆馬(宮崎学園)
そして負けじと自慢の速球を見せたのが速球派右腕・源 隆馬(宮崎学園)だ。戸郷に並ぶ最速148キロを武器にする源は「自信としていたストレートで押すことだけを考えた」と語ったようにストレート中心のピッチング。
まず小園に対して147キロを計測。最後はストレートで空振り三振。中川に安打をあびたものの、根尾を142キロのストレートで空振り三振。そして野尻も打ち取り、無失点のピッチング。小園、根尾から三振を奪ったことについて「まさか奪えると思っていなかったので嬉しかった」と笑顔を見せた源。
力強い腕の振りからくる真っすぐの勢いは非常に勢いがあった。大きく自信をつけた源は「関東の大学で勝負します」と進路を語った源。いつか表舞台でも源の名前が聞かれる日もそう遠くないだろう。
小園に負けない軽快な守備を見せた小幡竜平(延岡学園)
小幡竜平(延岡学園)
また、侍ジャパンU18代表一次候補に選出された小幡竜平(延岡学園)は自慢の好守備を見せる。2回表には正面へ転がったゴロを捌いてアウト。3回表には二死一、三塁のピンチから投手の後ろに転がったゴロをさばいてアウトにするなど、小園海斗に負けないプレーを見せた。
「とにかく必死でした。野尻君のゴロはとにかく前に出ないといけないと思って。あれは本当に間一髪のプレー。アウトにできてよかったです」と振り返った。相手の高校代表のレベルの高さを実感しながらも、良い経験だと捉えた小幡は高卒プロを志望している。
この日は無安打に終わったものの、右投手、左投手にも安打を連発できる打撃を木製バットでもできれば、守備は一級品なだけに脚光を浴びる可能性を持っている。
文=河嶋宗一