151キロ右腕・森木大智(高知)「波瀾万丈」の2020から「限界突破」の2021へ
高知中で日本人中学史上初となる150キロをマークした森木 大智(高知2年)。そんな彼にとって2020年は「波瀾万丈」だった。県独自大会が3年生のみの登録となったため、公式戦初登板は8月の県新人戦。センバツを目指した秋は最速151キロを連発する豪腕化に成功するも、県2位で進んだ四国大会初戦では高松商(香川)の前に膝を折ることに。いよいよ甲子園出場のチャンスは最後の夏だけとなった。
では現在、森木投手は2020年をどう分析し、2021年に臨もうとしているのか?「限界突破」への意気込みを聞いた。
「大変な年だった」2020年
森木大智(高知)
――まず、様々なこと。時に難しいことがあった森木投手にとっての2020年を振り返って頂けますでしょうか?
森木 大智投手(以下、森木):一言で言えば「大変な年」でした。年明けから新型コロナウイルス感染拡大の影響でなかなか野球ができずしんどかったし、みんなと野球ができない辛さを通じ、「仲間の大切さ」「野球ができる幸せ」を改めて感じました。
その後に野球ができるようになり、夏に3年生チームが県独自大会を優勝したことで「僕らも続こう」とはなったんですが、うまく結果が出ず。もう一度自分たちの取り組みを見直さなければいけないことに気付けた年だったと思います。
――個人的な部分ではどうでしょうか?秋には151キロが出るなど収穫の部分もあったと思います。
森木:昨年8月頭くらいから自分の投球フォームについて、より真剣に、細かく取り組んだことが秋の151キロにつながったと思っています。球速について結果が出たことで、「取り組みをしっかりすれば結果が出る」が解った収穫がありました。
「左脚股関節に重心を乗せる」で「151キロ」へ
――投球フォームの改善についてもう少し具体的に教えて頂いていいですか?
森木:8月から秋の大会までは「左脚の股関節に重心を乗せること」をテーマにして練習やトレーニングに取り組んでいました。そこかしっかりできた時の収穫があった一方で、股関節に乗せる感覚がうまくいかなかった時の修正力には課題が残ったので、その修正法を見つけていくことが今後、大事だと思っています。
――修正力の部分で森木投手本人にとって一番悔いの残ったのは秋季四国大会初戦の高松商戦(8回147球7奪三振完投も11安打・四死球5・暴投3の5失点・自責点4で敗戦)ではないかと思いますが……。
森木:そうですね。左脚の股関節に乗せる意識が高すぎたことが裏目に出た試合でしたし、「自分の状態が悪い中でもチームが勝つために抑えないといけない」と試合中に思っていても、思いこみ過ぎて空回りして、周りが見えていなかった。そこは反省点だと感じています。
冬に課題を克服し2021年は「結果を出す」
森木大智(高知)
――そういった2020年を踏まえて、この冬にチームとして、個人として取り組んでいることは何ですか?
森木:チームとしては1つ1つのプレーを丁寧に「何としても成功させる」という気持ちを持って取り組むこと。秋にあんな悔しい思いをしたので「絶対に負けたくない。二度と悔しい思いをしたくない」ということをミーティングをしながら確認しています。そこを実現できるように一日一日を大切にして、最後に甲子園に行って優勝する気持ちでいきたいと思っています。
個人としては秋は制球の部分で高めに浮いたり、右打者・左打者共にインコースを突けない自分の甘さが出たので、修正への道筋が見えている中でそこを取り組んでいきたいです。
――先ほど、森木投手からも話が合ったように、来年の夏が甲子園へのラストチャンスになります。そこに到達するためにまずは春、どのような姿になりたいと思っていますか?
森木:まず周囲から見られるのは制球力の部分だと思うので、そこをよくすることを常に考えていきたいですね。そこで結果が出れば間違いなくチームの勝ちにつながると思うので、春の練習試合・県大会から圧倒的な力を見せていきたいです。
あの悔しさを忘れる選手は誰もいないので「自分たちはまだまだできる」。そう思ってやっていくのみですね。
――では最後に、夏も見据えての2021年の意気込みをお願いします。
森木:高校最終学年・高校野球最後の年なので今まで支えてくれた皆さんのためにも恩返ししたいと思っていますし、甲子園に出て優勝することが一番の恩返しになると思うので、その目標を絶対に忘れず、「負けたくない」という気持ちを持って1つ1つ丁寧に、慢心せずにやっていきたいです。
思い切り全力でプレーして「やっぱり森木大智はすごいな」と言われるようになりたいですね。
(記事=寺下 友徳)