試合レポート

習志野vs木更津総合

2019.07.25

名門同士の手に汗握る一戦は習志野が延長11回に終止符を打つ!

 選抜準優勝校・習志野。夏の千葉大会V4を狙う木更津総合。千葉を代表する全国クラスが準決勝で激突。この一戦を一目見ようと[stadium]ZOZOマリンスタジアム[/stadium]は外野席を早々に開放し、多くの観客が足を運んだ。

 先に守備に就いた習志野の先発マウンドはエース・飯塚脩人。これまでリリーフ登板が多かった男がここにきて先発に回ってきた。その立ち上がり、木更津総合1番・小池柊稀に144キロのストレートをはじき返され、いきなり無死二塁。続く2番・山中海斗のバントを処理するも、三塁への送球が微妙に逸れてオールセーフ。いきなり無死一、三塁とすると3番・太田翔梧には高めの142キロのストレートを左中間に運ばれ2失点。さらに4番・齋藤匠の犠牲フライで初回に3点を失う展開に。

 しかし打線も木更津総合先発・2年生エース・篠木健太郎を逃さない。1番の根本翔吾が146キロのストレートを逆方向へはじき返すと、2番・小澤拓海の打席でエンドランと3番・角田勇斗のヒットで一死一、三塁にすると、4番・櫻井亨佑の犠牲フライ。さらに6番・和田泰征の二塁打ですぐさま2点を取り返す。

 いきなり打ち合いとなったこの試合、そうなったのは両投手の力みがある。飯塚も篠木もストレートの球速は140キロ中盤をマーク。最初から飛ばしていたが、ボールは高い。両チームの打者のレベルが高い分、いくら速くてもボールが甘ければ痛打される。それが結果として初回の打ち合いに繋がった。甘いボールを逃さなかった両チームの打者が素晴らしかった。

 しかし2回以降は一変して投手戦へ。飯塚はストレート重視から変化球の割合を増やし、力ではなく、技術で木更津総合打線を抑える。一方の篠木はストレートの伸びや走りがまだ本調子ではないものの、低めを丁寧に投げるピッチング。しかし伝家の宝刀・高速スライダーは初回から見切られることが多く、この試合ではなかなか決め球に持ってこれなかった。おそらく習志野が膝元のボールを捨てに来ていたことが考えられるが、ストレートが本調子であればスライダーに手が出るはず。ストレートあっての変化球という言葉があるが、まさにその通りだった。

 習志野は5回に8番・飯塚の内野安打からチャンスを作って、2番・小澤のタイムリーで同点に追いついて前半を折り返す。そして後半に入ると、一進一退の攻防。7回に木更津総合の9番・篠木、8回に習志野8番・兼子将太朗のタイムリーで互いに点数を奪い4対4。試合は9回へ進む。

 習志野はエース・飯塚が9回も続投。しかし先頭の6番・岩井晃介に右中間を破られ無死二塁。7番・古川玲央の送りバントで一死三塁とすると、8番・大西智也をインコースのストレートで詰まらせるも、センター前。痛恨の勝ち越し点で4対5。直後の攻撃も二死ランナーなしと絶体絶命だったが、3番・角田が四球で後ろに繋ぐと、4番・櫻井がヒットで繋ぐ。一打同点で5番・高橋雅也がレフトへ起死回生の同点打。土壇場で習志野が追い付き延長へ。

 強豪同士の対決は手に汗握る大接戦へ。しかし結末は意外な形で訪れた。
 11回の習志野は二死から4番・櫻井がセンター前で出塁すると、5番・高橋も続き二死一、三塁。ここで途中出場の山内翔太がショートへはじき返す。難しい打球を処理し送球するも山内の足が勝りセーフ。内野安打で習志野がサヨナラ勝ちを収めた。

 名門同士の一戦は白熱の一戦となったが、習志野が紙一重で上回った。しかし9回二死になったときは崖っぷちだと思われた。しかし四球を選び連打から同点、そして逆転劇。その異様な落ち着きぶりは王者の風格すら感じ取れた。2季連続甲子園へ王手。明日の八千代松陰戦へ全力を注ぐ。

 一方敗れた木更津総合。あと一歩で選抜準優勝校を追い詰めた。春先は打撃に課題を抱えていながら今日の試合で5得点は立派だった。下級生が多くスタメンに名を連ねた中での善戦。秋以降のチームが楽しみだ。

 

(文=編集部)

 

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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