試合レポート

明徳義塾vs中央学院

2017.11.11

攻守に不満を残しつつも、明徳義塾が終始主導権を握る試合巧者ぶり

明徳義塾vs中央学院 | 高校野球ドットコム
先発・市川悠太(明徳義塾)

【写真ギャラリー追加!】

 2年連続で7回目の明治神宮大会出場を果たしている明徳義塾は甲子園の常連校でもある。これに対して中央学院は、県大会を制して、さらには関東大会も制覇しての全国大会進出となった。この日は、全校応援ということでスタンドを華やかに埋めていったが、応援体制も青春の発のセンバツ甲子園を見据えてのものと言ってもいいであろう。相馬幸樹監督も、「大学も全日本成績で好成績を残しましたから、学校法人全体で、野球で学校を盛り上げていこうという体制もあります。それに応えていきたいと思っています」という思いである。そのためには、「3回までにきちんとした試合をやれて行かれれば、何とかなるかな」と、考えていたという。

 それに対して明徳義塾は初回、一死後に田中 闘君と菰渕君の連続安打に捕逸などもあって二死二三塁とする。ここで5番安田君の打球は高く内野と外野の間に上がったが、それがポトリと落ちて結果としては二塁打となり2者が生還して明徳義塾が先制した。

 2回にも明徳義塾は、二死から9番藤森君が中前打すると眞鍋君が右前打でつなぎ、田中 闘君の一二塁間を破る安打で帰して3点目を奪った。こうして、試合巧者明徳義塾は序盤で自分たちのペースを作っていった。

 5回にも明徳義塾はまたしても田中 闘君のタイムリー打と4番渡部君の右前打で5対0とした。中央学院の大谷君のスライダーを上手に拾っていく上手さが光っていた。


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本塁打を打った大谷拓海(中央学院)

 5点のリードで明徳義塾の市川君は、スイスイと自分のリズムで投げていき、7回までは4安打散発で無失点に抑えていた。しかし、全校応援を受けて、このままでは終われない中央学院は8回に意地を見せる。

 この回先頭の2番田中 大暉君が右中間へ三塁打すると、続く長沼君も右前へはじき返して1点を返しなおも無死一塁。ここで大谷君は、外角に対して鋭く踏み込んで反対方向の左翼スタンドへ放り込む2ランを放った。これには、ほぼ満員となっていた内野スタンドの観客も、「おーーっ!」と唸るくらいに見事な一発だった。まさに‟千葉の二刀流・大谷”の面目躍如と言ってもいいものだった。

 しかし、この一発で、明徳義塾の市川君はもう一度気持ちを引き締め直した。後続をぴしゃりと押さえ、9回も3人で退けた。

 こうして明徳義塾は、序盤のリードを守り切った形で逃げ切った。しかし、馬淵史郎監督は開口一番、「しょぼい試合やったね」と、不満げだった。その要因は攻守に考えられないミスが続出していたことにあったようだ。「田舎もんやから、人工芝に慣れとらんと言っても、4失策なんちゅうのは記憶にないなぁ」と、呆れていた。攻撃面でも、「6点目を取りにいって、取れなかったのが痛かった。一死一三塁で足の速い打者なんだから、内野ゴロ転がしておいたらゲッツー崩れでも(点が)取れるんや、それを強引に打ちに行って三振しとる」と、5回の好機を逸したことを厳しく指摘していた。とは言え、結果的には相手にリードされることなく試合をまとめて行ったりはさすがだった。

 また、初めての全国大会を戦った中央学院は、「相手同校よりも、自分たちの今やれることをしっかりやっていこうという姿勢でした。序盤に乗り切れませんでしたが、これからまだ3~4カ月ありますから、メンタル面を含めて強化していきたい」と、相馬監督はセンバツを見据えていた。

(文=手束 仁
(撮影:img034… 佐藤純一

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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