尼崎西vs市立伊丹
3度目のスクイズ成功で逆転サヨナラ勝ち
6番・戸出(尼崎西)
ベンチ入りメンバーは15人。戦力的には劣勢となってもおかしくない市立伊丹だったが、0対0の展開が続く中、ペースは掴みつつあった。
初回は蔵野の安打から、2回にも中尾の安打から二死三塁と先制のチャンスを作る。前半5回終了時で先頭打者が安打を放ったのは実に4イニングあり、次打者は全て送りバントを成功させていた。一死二塁から送ったケースもあり犠打数は早くも5個。堅実な攻めでプレッシャーをかけ、先発の六田は序盤3回を無安打投球。4回に尼崎西の1番・橋本に安打を浴びるが、続く田口の送りバントで大きくオーバーランしたミスを逃さず併殺を奪う。田口は三塁ベースが一瞬だけ無人となった隙を突こうとしたが、痛い判断ミスとなってしまった。
両チーム無得点のまま迎えた6回、市立伊丹は生尾の安打と4番・中西のバントでこの試合5度目の一死二塁を作ると、中尾がレフト前に適時打を放ち待望の先制点を挙げる。尼崎西は背番号17の岩金が5回途中まで粘りの投球を見せ、センターを守っていた戸出のワンポイントを挟んでエース・岸良をマウンドに送っていたが先手を取られてしまった。
追う展開となった尼崎西はその裏、8番・沢崎の二塁打から一死三塁とし、打順はトップへ返る。橋本はスクイズで打球を転がすが市立伊丹のエース・六田が見事なグラブトスでこれを阻止。続く7回にも一死一、三塁から戸出が1ボールからスクイズを試みるがファール。3球目にも三走・岸良が投球と同時にスタートを切るが、打席の戸出はバントの構えからバットを引いてしまい、岸良はタッチアウト。痛恨のサインミスで同点機を逃し、8回には市立伊丹の中西の適時三塁打で貴重な1点を奪われてしまう。
2イニング続けてのスクイズ失敗が響き、追い詰められた尼崎西は9回、1番から始まる好打順の攻撃で無死満塁とすると、4番・橋本大がレフト前に運び1点差に迫る。なおも無死満塁で7回に代打で出場し安打を放っていた定岡の当たりはライト後方への大飛球。難しい打球だったがこの回から守備に就いていた青木が後ろ向きで捕球に成功する。犠牲フライとなり試合が振り出しに戻った。走者もそれぞれ進塁しており一死二、三塁。サヨナラの絶好機で打席には7回にスクイズを失敗した戸出が入る。1ボールからの2球目、尼崎西の選んだ作戦はまたしてもスクイズだった。今度はきっちり転がすと岸良が3点目のホームに生還。土壇場で試合をひっくり返し、逆転サヨナラ勝ち。尼崎西が県大会出場へ望みをつないだ。
(文=小中 翔太)
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