松陽vs与論
守備と吉田の好投が収穫・与論
松陽、9点目の打席
小刻みに得点を重ねた鹿児島松陽がコールド勝ちだった。
鹿児島松陽は初回、1番・脇啓介(2年)がセンターオーバー三塁打で出塁し、2番・吉峯陸の犠牲フライで先制した。2回にも1点を加え、3回は二死から3連打などで3点を挙げた。4回は3番・坂口慎之介(2年)のライトオーバー三塁打などで更に3点を加えた。6回は二死からチャンスを作り、暴投と6番・坂元佑太朗(2年)のレフト前タイムリーでコールド勝ちを決めた。
松陽を相手に無念の完封コールド負けだったが、与論・沖園洋一監督の声はサバサバと明るかった。「守備で大きく崩れず、2番手で吉田が好投した」と2つの大きな収穫があったからだ。
メンバーは9人ギリギリ。野球部員は1、2年生で8人しかいないため、8月の地区大会には出場できなかった。バスケットボール部だが、中学時代に野球経験のある2年生のセンター・叶和幸をレンタルして頭数をそろえて、県大会出場がかなった。
「打撃練習はほとんどせず、守備練習だけをやっていた」と沖園監督。得点こそ奪えなかったものの、初回から3回まで先頭打者を出し、5安打放った。2失策して失点に絡んだ痛いミスだったが、今のチームの実力を考えれば、沖園監督にとっては上出来の内容だった。
吉田昂史(与論)
野球部員唯一の2年生で前チームからマウンド経験のある有村一輝主将(2年)が不調。二死をとりながらもうひと踏ん張りできず、4回途中8失点で無念の途中降板だった。「夏の頃から直球が落ちてしまう。試合中も修正が利かなかった。後輩に迷惑をかけた」と悔やむ。
4回途中からリリーフした1年生・吉田昂史は「自分のできる精一杯の投球をする」ことを心掛けた。最初の打者に四球を出したが、捕手・瀧正太郎(1年)が盗塁を刺して援護射撃。「あれで一つアウトが取れて緊張がとれた」と感謝する。腰痛を抱えてベストコンディションではなかったが、フォームのバランスを考えながら、丁寧に打たせて取る投球で6回二死まで無得点に封じ、ゲームを立て直した。
1年生7人のチームで「まだまだ経験不足だけど、これから経験を積めば春以降面白いチームになる」と沖園監督は期待する。吉田は「周りに助けられるのではなく、自分の力でしっかり打たせて取れる投手になりたい」と今後の具体的な課題を挙げていた。
(文=政 純一郎)