試合レポート

浦和実vs国際学院

2014.07.15

試合を決めに行った浦和実、躊躇無き攻めの姿勢で隙無くコールド!

 熱戦が続く埼玉大会6日目、[stadium]さいたま市営浦和球場[/stadium]では真夏の日差しの下3回戦2試合が行われた。
 1試合目は、越生を相手にコールド勝利を収め、勢いに乗る国際学院と、強豪・伝統校として名を馳せるお馴染み浦和実が対戦。

 1回表、国際学院が先手を取る。先頭の野々村 起比虎 がライト線へヒットを放ち出塁。いきなりの出塁に面喰ったか、ボール先行で、やや投げにくそうにする浦和実先発・太田 莞地を攻め、バントと四球で一死一、三塁のチャンスを作り出す。4番・山内 秀輝の放った打球はセカンドのグラブの先を越えライト前へ。浦和実ライト・五十嵐 皓洋から良いボールが返ってくるが、ホーム手前で走者・野々村と太田が交錯。太田が進路をふさいだとして守備妨害の判定で、ホームインが認められ、国際学院が1点を先制する。
 なおも一死一、三塁、国際学院のチャンス。続く5番・久保田 眞人はライトフライ。決して浅くない当たりに三塁ランナー・小森 巧巳は当然タッチアップを狙う。しかし、先ほどに輪をかけて良いボールがライト・五十嵐から送られてきて、本塁タッチアウト。この回の攻撃を1点で終える。

 その後の太田は、交錯とその後のバックの好プレーで目覚めたか、ストライク先行でサクサクとテンポよく投げ進め、2回、3回と危なげないピッチングで国際学院打線を抑えていく。4回からは背番号1・横溝 克典にスイッチ。横溝は4、5回を三者凡退に抑える危なげないピッチングを披露。盤石のリレーを見せる。

 浦和実は1回裏、1番・皆川 浩太が快足を飛ばすスリーベースヒットで出塁。2番・小暮 翔馬がレフト前へヒットを放ち、この回の表の失点をあっという間に帳消しにする。その後は抜け目のない攻撃で3回まで毎回得点、5点を挙げ、試合のペースを作っていく。


 そして5回裏一死から、浦和実7番・捕手を務める嶋田 知輝がしっかりとした選球眼でこの日3つ目の四球を獲得すると、ここから浦和実ナインの目の色ががらりと変わる。8番・金田 博樹がレフト前へのヒットで続き一死一、三塁。9番・4回からレフトの守備に入っている眞崎 航大がセンターへタイムリーツーベースを放ちまず1点。

 一死二、三塁から1番・皆川 浩太の当たりはセカンドへの強いゴロ。これを国際学院セカンドはホームへ送るも、三塁ランナー金田のスタートが良く、セーフ。さらに皆川は盗塁を決めまたも一死二、三塁を作り出す。2番・小暮 翔馬は、今度はショートへのゴロ。前進守備をとっていたショートがさらに前へ出て処理。バックホームも勢いが強く、キャッチャーが弾いた隙に眞崎がホームイン、3点目。

 続く3番・横溝 克典の打球はふわりと上がり、ゆっくりとレフト前へ落ちる。三塁ランナー皆川は余裕のホームイン。二塁ランナーの小暮も打球の行方をしっかり見ての好判断で、好走塁で還り、5点目。さらに、国際学院はあっという間の5失点に慌てたか、二塁に到達して、なおも次を狙おうと大きく飛び出した横溝をアウトにしようと内野に戻ってきたボールを無人の二塁ベース上に送球。エラーとなり、横溝を三塁まで進めてしまう。最後は4番・高橋 拓巳がキッチリとライトへ大きな犠牲フライを放ち、とどめの追加点。浦和実はこの回一挙6得点を挙げ、5回コールドゲームを成立させた。

 それまで粘り強く戦ってきた国際学院にとっては、まさに悪夢のような5回裏。試合後、茫然とする選手、泣き崩れる選手など様々であったが、皆悔しそうな思いに溢れていた。それなりに手ごたえも感じていたからであろう。それでも、最終的には「力負け」ともいえるスコアになってしまった。そうさせたのは、浦和実が試合を「決め」に行った圧力。強豪校の伝統に裏打ちされたプレッシャーとプライド。そういった圧力に気圧され、何が起こったかわからないというような状態に陥ってしまったようだった。そのプレッシャーに打ち勝ち、自分たちの形を貫くための戦い方を身に付けるために、この一戦を良い経験にしなければならない。

 一方の浦和実は試合を通じて躊躇ない走塁など、前へと進む姿勢が印象的だった。波乱の多い今年の埼玉大会の中で、様々な学校にチャンスが生まれてきた。そのチャンスをものにするために必要なのは、しっかりと勇気をもって、チームとして攻め続けられる力。そして、ここぞで決められる力だ。果たして、浦和実がこの試合で見せた力はどこまで届くのだろうか。続く4回戦の戦いぶりも、楽しみなチームの一つだ。

(文=青木有実子

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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