郡山vs奈良大附
郡山が逆転勝利
【レポート01:郡山逆転でベスト8進出!】
野球の面白さが凝縮された試合だ。
近年、常に上位に進出している同士の対決は、郡山が8-7で奈良大附に逆転勝ちした。
試合は予想外の展開から始まった。
1回表、奈良大附は、郡山の先発・大江の立ち上がりを攻め、無死・一三塁の好機を作ると、3番・上村が中堅に犠牲フライを打ち上げて1点を先制。4番・竹村四球のあと、5番・吉田が右翼前安打を放ち、北が生還。6番・木野が適時二塁打、8番・松田も続き、この回、一気に5点を奪った。
さらに、3回表には、6番・木野が左翼席に飛び込む本塁打を放ち1点を追加。僅差のゲーム展開が予想された試合は、序盤、6-0と奈良大附が大きくリードした。
ただ、この6失点は、受け止め方さえ間違えなければ、反撃は可能だ。序盤たった2イニングの大量失点は、意外と点差ほど重くないものだ。これが6イニング、毎回失点の0-6なら重くのしかかるが、序盤でなら、挽回は可能なのだ、つまり、郡山ができることは、なるべく早く奈良大附の攻撃を止め、反撃に移ることだ。
そして、1回途中から登板の郡山二番手・上西が流れを呼び込むピッチングを見せる。4回はピンチを招いたものの、無失点。5回は三鞘凡退で奈良大附打線をぴしゃりと抑え、流れを呼び込んだのだ。
5回裏、郡山が反撃にうつる。先頭の7番・上西が中前安打で出塁、8番・福岡の三塁ゴロを奈良大付がミス。好機が広がった。一死を取られるも、1番・廣長が右翼線に落ちる適時二塁打、染川が中前安打を放ち2点を返した。3番・大杉が四球で歩くと、4番・桑原が中堅を超える適時二塁打を放ち3人が生還。一気に5点を奪って、その差を1点としたのだ。
上西の好投から、流れを呼び込んでの一気の5得点はチームを勢いづかせる。6回表、奈良大附は先頭の佐田が左翼前安打を放つが、2番・北のところで、佐田が飛びだしてしまうと捕手・藤井が刺すというビッグプレーが生まれた。こうなっては完全に郡山のペースである。
6回裏、9番・福本、1番・廣長、2番・染川の3連打で満塁のチャンスをつかむ。3番・大杉の遊撃ゴロの間に同点とすると、2死から5番・大江が中堅を破る適時三塁打を放ち、2点を勝ち越し。郡山が試合をひっくり返した。
奈良大附の反撃も期待されたが、郡山・上西が粘り強く投げ抜き、9回の1失点に留めてゲームセット。序盤に大量点を奪った奈良大附に大きく動いた試合は、中盤から試合の流れをものにした郡山が逆転で制した。試合の流れの大切さを感じる実に興味深いゲームだった。
(文=氏原英明)
【レポート02:奈良大附】
初戦で天理に快勝した奈良大附。しかし郡山の強打に踏ん張りきれなかった。
郡山・森本達幸監督が「見事だった」と舌をまいた初回の攻撃。1番の佐田寛樹(3年)が四球で出塁すると、すかさずエンドランを仕掛ける。さらに三盗と犠飛であっさりと1点を先制。さらに5番吉田大貴(3年)、6番木野弘紀(3年)の連続適時打で、郡山のエース・大江健太(3年)をあっという間にKOした。4回にも木野の本塁打で1点を追加するなど、完全に試合を支配したかに見えた奈良大附。しかし、大量得点がわずかな心のスキを生んだ。
5回、エース・松田浩幸(2年)の球が高くなる。4安打に失策なども絡み1点差まで詰め寄られる。松田対策をしてきた郡山打線が、これで勢いづいた。6回には2つのイレギュラー安打など、松田にとっては不運な打球が相次ぎ逆転を許した。
「野球は生き物なんだなと実感した」と話した奈良大附の田中一訓監督。9回に1点を返す意地を見せたが、一度失った流れを取り戻すことはできなかった。
まだ優勝経験のない奈良大附にとって、天理を破ったこの大会は大きなチャンスだった。「優勝させてやりたかった。まだまだです」と田中監督は肩を落とした。
(文=松倉雄太)
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奈良大附 | 5 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 7 | ||||||
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郡山 | 0 | 0 | 0 | 0 | 5 | 3 | 0 | 0 | 0 | 8 |
奈良大附 松田,木野 ― 河口 郡山 大江,上西 ― 藤井
本塁打=木野(奈) 三塁打=大江(郡) 二塁打=木野、松田(奈)廣長2、桑原、大江(郡)