規格外ルーキー!万波中正(横浜)は春の課題を克服したのか?
7月19日、神奈川大会3回戦・松陽の試合で、公式戦初の本塁打を放った横浜のスーパー1年生・万波中正。
横浜が2点をリードして迎えた2回。万波は先頭打者で打席に入ると、カウント2-1から低めにきた球を捉える!
ライナー性で飛んだ打球は、なんと[stadium]横浜スタジアム[/stadium]の電光掲示板を直撃した。推定135メートル弾に観客も震撼したが、これはまだ万波の能力の一部に過ぎない。
夏を迎えるまでの万波の4か月間
横浜期待の大型1年生・万波中正は、コンゴ人の父を持つハーフ。さらに188センチ90キロ(入学当時)と高校1年生離れした体格を生かした長打力で注目が集まっている。
万波 中正(横浜)
万波は、多くの好選手を輩出してきた東練馬シニア出身だ。そのポテンシャルの高さはメディアを通してすぐに伝わった。
打てば本塁打連発、遠投100メートル以上、投手を務めれば最速138キロ。何もかも規格外の逸材として高校出の活躍が期待された。
その選んだ先が、数多くのプロ野球選手を輩出した横浜高校なのだから、期待せざるを得ない。その万波は、入学してすぐ、春季県大会でベンチ入りを果たし、ここまで2試合に出場をしていて、まだ安打がない。シード権も確定した4回戦で初スタメンを果たしたのであった。
その第1打席。初球、豪快なフルスイングを見せたが、これが高校生のスイングか?と驚愕だった。万波のスイングは日本に来る外国人助っ人のような豪快さがあった。結果は見逃し三振に倒れたが、しっかりと芯で捉えた時、どんな打球を飛ばすのかとワクワクさせるものだった。
そして第2打席。万波は低めの変化球を泳ぎながら打ち返した。凡打と思ったが、打球は想像以上に伸びて、右中間を破る二塁打となった。姿勢を崩されていても外野の間を抜くパワーは恐るべし。しかし高いレベルを目指す万波。今の形は、木製バットならば、ただの内野フライに終わるだろう。
第3打席は空振り三振。この打席を見て、完全に振り遅れが原因だ。まだまだ万波は高校生の投手のスピード、変化球に対応ができていない。だが第4打席で、万波は一工夫を行った。弥栄は140キロ左腕と呼ばれる篁将希がマウンドに登っていたが、万波はミートに徹し、振り幅が少ないスイングに。なんとか右前安打に持っていき、対応力の高さを披露した。この試合、4打数2安打とマルチヒットと活躍。
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[page_break:春の万波の課題は何だったのか?]春の万波の課題は何だったのか?
しかし、改めて課題を残した試合となった。万波の課題は始動の遅さ。万波は投手がリリースした瞬間に動きを始める。だがトップの形成が遅れ、タイミングを測ることができないまま振りだしてしまうので、空振りをしている。この始動の遅さはMLBの選手を参考にしているという。だが、MLBの選手は確かにステップした時はリリースの直前だが、予め、バットの動きを見ると、なるべく早く、トップの形成ができる準備ができている。
特に万波が憧れるジャンカルロ・スタントン(現・マリナーズ)はバットを寝かせた状態で待ち構えていて、トップの形成が立ち遅れていない。早くバットを振りだすのではなく、トップをしっかりと作って、そのため自分の間合いで打ち返すことができているのである。
打撃フォームは大きく変える必要はないものの、トップの形成で立ち遅れないにはどうすればいいのか?という視点で、スタントンを見直す必要があるのではないだろうか。
清宮幸太郎(早稲田実業<関連記事>)より飛ばす力は上といわれるが、体格そのもの、またスイングスピード、始動の仕掛けの遅さを見ると、清宮よりも長距離打者の素質があると感じた。清宮は稀有のコンタクト能力、対応力の高さがあるので、今は清宮の方が良く見えるだろう。だが万波も今の課題を乗り越えたとき、潜在能力の高さを発揮して、清宮に並ぶ活躍を見せてくれるに違いない。
またキレの良い先輩野手と比べるとまだキレが鈍い。自慢の強肩も、シートノック見る限り確かに強肩なのは伺えたが、もっとモーションは速くできるし、一つ一つの身こなしが素早くしないと刺せる外野手にはなれないだろう。野球選手として課題はまだ多い。
まとめると、
・トップの形成が遅れているので、自分の間合いで打てる準備を
・体のキレ、俊敏性が鈍い点
の2つが現在の課題。それを乗り越えたとき、この夏、大スターに相応しい活躍を見せてくれるに違いない。 【続く】
(文=河嶋宗一)
◆この記事は春の万波選手の活躍をもとにまとめた記事ですが、夏の活躍によって万波選手の成長をお伝えしていきます!
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