日大三島vs大垣日大
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日大三島が中盤に2度のビッグイニングで大垣日大を突き放し決勝進出
日大三島・松永 陽登君
東海地区のセンバツ出場枠は実質2枠である。過去の例を見ても、ほとんどの場合で決勝進出した2校が選出されている。そのためには、決勝進出を目指して負けられない準決勝ということになる。
日大系列校対決となった準決勝第1試合。系列校対決とはいえ、日大三島は三島市にある国際関係学部の学部付属校という位置づけだ。大垣日大は、最初の学校法人が日大と提携して、準付属校という形からスタートしている。ということで、日大系列の親戚校同士と言ってもいいのかもしれない。
ユニフォームも、日大三島は「NIHON mishima」と2段重ねで「NIHON」の文字は、いわゆる日大ロゴで表記されており、ストッキングデザインなども含めて日大系列色は強い。これに対して大垣日大は白地にシンプルな2段重ね文字で「OGAKI NIHON」と表記されている。だから、系列校対決といっても、東海大系列校同士や、この夏の甲子園決勝の“智辯対決”のように見ている側の混乱はないとも言えよう。
大垣日大はこの大会は左腕五島と右腕山田 渓太の巧みな継投で、静岡と享栄という実力校を下して勝ち上がってきている。静岡県1位校で登場の日大三島は、先の準々決勝では、エースで4番の松永が投打に活躍して津商を下しての進出である。
大垣日大は初回、二つの四球と暴投などで二死一、三塁という場面を作る。ここで5番米津は、レフト頭上を破る二塁打を放って2者をかえして2点を先取する。しかし、日大三島も先頭の京井がいきなり左翼線へ二塁打して反撃。2つの死球もあって二死満塁となったところで、6番永野が投手の足元を抜いて中前へはじき返して2者をかえして同点。ここで、大垣日大・阪口 慶三監督は、早くもレフトの山田 渓太と五島を入れ替えた。この大会のパターンではあるのだが、思った以上に早いタイミングでの継投となった。なおも二死二、三塁という場面だったが、ここは山田が抑えた。
こうして初回の攻防から、ある程度は点の取り合いになっていくのかと予想される展開で始まった。
ただ、その後は試合が落ち着いていったのは、日大三島の相次ぐ好守備や、大垣日大・山田の制球よくコースを突く投球と、一死三塁で一塁手が好送球で本塁で刺すなど冷静な守りもあった。
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シートノックへ向かう日大三島
大垣日大は5回の守り、失策とボーク、松永に対して申告敬遠で二死一、二塁となったところで、再びレフトと投手を入れ替えた。ところが、ここで5番野口が代わり端を右前へ痛打して、送球がそれる間に一塁走者もかえって2点が入った。ここで、阪口監督は、再びレフトと投手を入れ替えて防戦しようとしたが、勢いづいた日大三島打線はなかなか止まらない。左に強い永野も左前打で続き再び山田がマウンドに戻ったが、7番吉川も左翼フェンス直撃の三塁打で、さらに2点を追加してこの回4点を挙げた。
なおも日大三島は6回にも、9番野田の安打と失策、四球で満塁とする。ここで、4番松永が右翼スタンドへ満塁本塁打を放って勝利を決定的にした。日大三島はこの日も、投打の軸となっている松永が試合を決定づけていく活躍だった。
粘る大垣日大は7回に2点以上取らなければコールド負けという場面だったが、代打高橋の三塁打などで2点を返して、その裏も0に抑えてコールドゲームを回避したのは立派だった。8回にも、前の回に代打で出てそのままセンターに入っていた森下が2本目の安打を放つなど気を吐いて、さらに1点を返した。敗れたとはいえ、大垣日大の粘り、諦めない姿勢は、阪口監督が常々口にしている「魂のこもった野球」を最後まで実践してきたと言っていいであろう。
「この1週間、この日の試合は大一番になるぞということはずっと言ってきた。そこへ向けてよく頑張ってくれたと思う。それにしても、高校生の力は凄い。まさか、ここまで来るとは思ってもいなかった」と、全国的強豪校の報徳学園から異動してきて2年、永田 裕治監督は驚きながらも、チームの成長、選手たちの伸びを喜んでいた。これで、日大三島は、1984年以来38年ぶりのセンバツ甲子園に大きく近づいたと言ってもいいであろう。