市立柏vs八千代
地元の声援に応えて市立柏、溌剌プレーで3回戦へ
地元柏市の実力校が相次いで登場する休日とあって、8:45プレーボールの30分以上も前から、スタンドには多くの人が集まっていた。こういう光景を見るにつけ、改めて高校野球は地場に根差した人気があるのだということを確認する思いだ。
その地元市立柏は前任の福島紀和監督が10年間指導してきたが、4月に市教委の方へ異動となったということで、3年前に市川東から異動して赴任し、部長として側面からサポートしていた森川貴之監督が引き継いだ。森川監督としても、地元の期待の大きい市立柏での初めての夏の采配となった。「地元の多くの方が見に来て下さって、応援してくれて、それがプレッシャーになったというと申し訳ないのですけれども、やはり緊張しました」と、その思いを素直に話してくれた。
そんな市立柏だったが、2回に死球の走者をバントで進めると、6番小林君の中前打で帰して先制した。さらに、4回にも四球と5番大畑君の中前打にバントで1死二三塁として、小川君が中前打して2者を帰した。これで3対0と試合の主導権を握った。このリードを佐藤洋輔君は5回まで初回の先頭に打たれた1安打のみで2四球無失点に抑えていた。ところが、6回からは森川監督は右サイドの黒田君を送り込んだ。
これが裏目に出て、安打とバントに暴投と四球で1死一三塁となり、4番竹尾君に左前タイムリー打が出て1点を返される。これで、急きょ3人目の菅谷君につなぐことになった。森川監督としては、「(佐藤は0に抑えていたが)本来のボールが来ていないような気がしたので、万全を期して右サイド(黒田投手)に代えたのですが…、それが上手くいかなくて、慌てました」と、反省しきりだった。このあたりも夏の大会の難しいところでもあろう。
それでも、市立柏は8回のピンチを逃れると、9回には1死一塁から3番梅澤君の左中間二塁打でダメ押しともいえる4点目を加えて、その裏も菅谷君が3人で抑えて逃げ切った。
スタンドから見守っていた福島前監督は、「やはり、ちょっと硬かったですかね。それでも、ラッキーもあって上手く勝てたんじゃないでしょうか。今年の子たちはちょっと小粒なんですが、よく練習する子たちですから、これから調子を上げていけると思います。私は、毎日朝からパソコンとにらめっこで、1日1000歩もあるいていないんじゃないかと思いますよ。まあ、今年は野球オヤジで追っかけますよ」と、かつて自分が育てたチームを頼もしく見つめつつ、4月からの生活のリズムの変化にいささか戸惑い気味のようでもあった。
八千代としては、悔やまれるのは8回だろう。先頭の1番細貝君が中前打で出るとバントで二進。代打文岡君の右前打で1死一三塁として、6回にもタイムリーを放っている4番竹尾君。絶好の追い上げの好機だったのだが、ここで一塁走者が牽制に挟まれて挟殺プレー、さらに飛び出した三塁走者も刺されてしまいダブルプレーとなって、一瞬にして好機が消えてしまった。真田正人監督としても、好機でもあり出来れば二三塁にしてみたかったところでもあったかもしれない。しかし、逆に一塁走者が誘い出されてしまい、三走もやや判断を誤った形になってしまった。
もちろん、ここで慌てなかった市立柏の守りも評価されていいであろう。
(文:手束仁)