試合レポート

中京大中京vs津商

2019.10.28

中京大中京が攻守に圧倒した力を示して7回コールド完封でベスト4

中京大中京vs津商 | 高校野球ドットコム
力強い投球の中京大中京・高橋宏斗君

 来春の第92回センバツ大会の代表選考への重要な資料となる秋季地区大会。東海地区は基本的には2校枠しかないので、センバツを確定づけるには決勝進出が絶対条件となる。そこへ向けての大事なステップとなる準々決勝だ。そして各県1位校はこれが初戦となる。

 今大会優勝候補の1番手として本命視されている愛知1位の中京大中京も、この日が大会初戦となった。その中京大中京に挑む形となったのが、前日の1回戦で1イニング10点を奪うビッグイニングを作って好投手を擁する静岡商を下した三重2位の津商である。近年は県では上位に位置づけされる存在となっている。夏は出場実績があるが、春はまだないので、何とか悲願を果たしたいところでもあろう。

 そんな対決となった試合は、中京大中京が力の差を見せつけるような形となった。

 まずは初回、中京大中京失策で出た走者を内野ゴロで進めると、3番中山君の一二塁間をゴロで破るクリーンヒットであっさりと返して先制。

 さらに2回、四球とバント暴投で一死三塁とした後内野ゴロで2点目。なおも二死走者なしから村上君が会心の左前打で出ると、1番の西村君が続いて一二塁。中嶌君四球で満塁となった後、中山君が中前打してさらに2点を追加。そして4番印出君も左越二塁打してこの回5点が入った。

 津商の宮本健太朗監督は、先発として送り出した出口君をここで諦めてリリーフには左のやや変則気味のサイドスロー大西君を送り出した。大西君は、力のある中京大中京打線を上手にかわしていたが4回、西村君が左越へソロ本塁打を放って7点差とした。中京大中京としては、ちょっと大西君にハマりそうな様相になってきかかったところだっただけに、貴重な一発だったとも言える。

 そして、何より高橋宏斗投手が安定している中京大中京。前日は静岡商から1イニング10点を奪い爆発力を示した津商打線に対して、3回の大西君の二塁打一本のみに抑える好投で7回を完封した。ストレートは常時140キロは越えているというスピードで、制球もいいしスライダーの切れもよく、変化球も大きく曲がっていた。自身では、「そんなに調子は良くなかったので、そういう中でしっかりと投げられたのはよかった」と言うように、1安打完封でも満足はしていなかった。高橋源一郎監督も、「立ち上がりから序盤は、もう一つ切れ味がよくなかったけれども、4回5回くらいから、指の引っ掛かりもよくなってきて、やっといいボールが行くようになった」と見ていた。それでも、きっちりと完封したというあたりに高橋宏斗君の非凡さが感じられる。やはり、全国的にも注目の逸材の一人と言っていいであろう。そして、その高橋君をリードする印出君もしっかりと2打点となる二塁打を放って4番打者としての責任を果たした。

 これでベスト4に進出した中京大中京。しかし、高橋源一郎監督としては過去2度、センバツ切符目前の準決勝で悔しい負けを経験している。それだけに、「選手たちはフレッシュなので関係ないでしょうけれども、自分がそのプレッシャーをぬぐっていかないといけません。これから一週間あるのでじっくりと考えます」と、まずは快勝にも慎重に先を見据えていた。

 ほとんどやりたいことをやらせてもらえなかった津商は、完敗を認めざるを得ない試合であったかもしれない。それでも、一発こそ浴びたものの中盤は中京大中京の強力打線を抑えていた大西君は、それを一つの自信としていっていいであろう。

 

(取材・写真=手束 仁

■開催期間:2019年10月26日~11月3日(予定)
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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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