試合レポート

東海大市原望洋vs石橋

2016.10.23

金久保苦心の投球も、東海大市原望洋が初戦突破

東海大市原望洋vs石橋 | 高校野球ドットコム

金久保(東海大市原望洋)

  MAX147km、関東屈指の好投手・金久保 優斗(2年)擁する千葉県1位校の東海大市原望洋対、作新学院佐野日大青藍泰斗など強豪ひしめく栃木県でノーシードながら文星芸大付、白鴎大足利など強豪を連破し準優勝を飾った公立校・石橋との一戦は予想外の展開となる。

 東海大市原望洋・金久保、石橋竹内 海斗(2年)と両エースが先発し試合が始まる。金久保はテイクバックの小さいフォームから、この日はMAX140kmに止まったが、切れの良い直球と大きなスライダーが武器だ。一方の、石橋・竹内の右スリークウォーターから投ずる直球はMAX130km前半ほどだが、スライダーの制球が良く、スライダー中心の投手だ。

 まず初回、石橋は金久保の立ち上がりを攻め、1,2番が初球攻撃に打って出る。結果、一死から2番・渡邉 彬仁(2年)がライト線へ二塁打を放ち僅か2球で一死二塁のチャンスを作るが後続が倒れ無得点に終わる。

 するとその裏、東海大市原望洋も竹内の立ち上がりを攻めたて、一死から2番・藤本 誠啓(2年)が四球で出塁すると、続く荒川 太一(2年)がセンター前ヒットを放ち一死一、三塁とする。4番・金久保が四球を選び一死満塁とチャンスを広げると、続く大野 太一(2年)がレフト前へタイムリーを放ち2点を先制する。さらに、6番・塚本 翼(2年)もレフト前ヒットを放ち再度一死満塁とするが、続く樋口 圭輔(2年)が併殺に倒れ2点で攻撃を終了する。

 2回以降は両投手が立ち直りゲームは2対0のまま中盤へと進む。

 迎えた4回表、ゲームが動き始める。石橋はこの回先頭の入江 太一(2年)がレフト前ヒットを放ち出塁すると、4番・前原 正義(2年)に対し石橋ベンチは送りバントのサインを出す。打球はライン上に転がり一旦ファールとなる。ファーストはすぐ打球を取れば良かったのだが、やや緩慢なプレーをする間に打球が再びフェアゾーンに転がる。結果内野安打となり無死一、二塁とチャンスが広がる。続く竹内がきっちりと送り一死二、三塁とすると、二死後、7番・森岡 真朗(1年)が四球を選び二死満塁とさらにチャンスが広がる。ここで続く遠藤 薫(1年)がライト前タイムリーを放ち1点を返すと、さらに、9番・佐藤 仙道(2年)が押し出しの四球を選び2対2の同点とする。


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竹内(石橋)

一方の東海大市原望洋もその裏、この回先頭の大野がショートへの内野安打を放ち出塁すると、続く塚本が死球を選び無死一、二塁とする。だが、ここで二走・大野がピッチャーからの二塁牽制に引っかかり挟殺されると、後続も打ち取られ無得点に終わる。

 このピンチを乗り切りやや流れを掴んだ石橋は、5回表、この回先頭の渡邉がセンター前ヒットを放ち出塁すると、続く入江もレフト前ヒットを放ち無死一、二塁とする。だが、4番・前原のカウントが良くなったこともあり、ベンチは犠打から強攻に切り替えるが、前原は期待に応えられずセンターフライに倒れると後続も倒れ無得点に終わる。

 するとその裏、東海大市原望洋はこの回先頭の鯨井 祥敬(2年)が四球で出塁すると、続く宍倉 貫太(2年)がきっちりと送り一死二塁とする。ここで、2番・藤本がライト越えのタイムリー三塁打を放つと、続く荒川もセンター前タイムリーを放ち再び2点を勝ち越す。

 8回裏には、東海大市原望洋は、この回先頭の瀬川 高志(1年)がレフト前ヒットを皮切りに二死二塁のチャンスを作ると、9番・鯨井がライト前タイムリーを放ち3点差を付け大勢は決した。

 一方、東海大市原望洋・金久保は、自分の投球に相手打線が合ってきたと感じたか、6回以降、やや投球のスタイルを変える。前半はやや力みが見られた直球を130km中盤ほどに抑え、制球重視で石橋打線に臨む。それが功を奏し毎回のように走者こそ出すが、後続を抑え無得点に抑え東海大市原望洋が5対2で石橋を下し、初戦を突破した。

 まず、石橋だが、好投手・金久保に対し臆することなく7安打を放つなど打線は活発であった。竹内も11安打を浴びながらも、初回のピンチを最少失点で凌ぐと、その後はスライダーを内外角に投げ分けるなど、粘りのピッチングを見せた。悔やむべくは、計6回も先頭打者を出しながら、4回表以外はスムーズに走者を進められなかったことだ。簡単には送らないことがチームカラーのようだが、この日はそれがやや裏目に出たようだ。無死一塁など走者を置いた場面で、打者が打球方向に対する意識や精度などが上がれば、自ずと得点力も上がってくるであろう。

 また、東海大市原望洋もこの日は金久保が苦しんだ。気温が低かった影響もあったかもしれないが、MAX140kmも一球のみとスピードが出ず、かといってその分制球が良かったわけでもなかった。それでも、中盤以降は割り切ったのか制球重視のピッチングで6回以降は相手打線を1安打に抑えるあたりはさすがだ。また、走塁ミスなどは反省材料であるが、打線は11安打を放つなど好調を維持している。とはいえ、初回にあと一押しが出来ればもっと楽な展開になっただけに、今後は金久保のピッチングはもちろんだが、集中打が出るかが上位進出への鍵となるであろう。

(文・写真=南英博

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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