試合レポート

北部農林vs辺土名

2012.09.19

北部農林vs辺土名 | 高校野球ドットコム

キャプテンとして、2番手の投手としてナインを引っ張った辺土名・平良

9人だけで挑んだ秋。敗れはしたが辺土名ナインの健闘に拍手を送りたい

第62回沖縄県高校野球秋季大会抽選会。映えある選手宣誓のクジを引いたのが辺土名高校キャプテン平良俊。3年生が一人も居なかったため2年生の平良俊がキャプテンを務めた夏は、二人の他部活部員を借りて11人登録で出場。そして今秋はギリギリの9人登録で挑まざるを得なかった辺土名に、まるで宣誓の大役を神様が与えてくれたようにも映った瞬間だった。

ここ最近の部員不足は深刻で、宮古工伊良部が連合チームとして何とか出場することが出来たが、特に子供たちの過疎化が進む離島や本島北部ではこれから先も大変だろうと推測する。

対する北部農林高校も登録は15人。かつて宜野座高校を率いて春のセンバツでベスト4入りを果たした奥濱正監督は「 辺土名も大変だがウチも2人はインフルエンザなどで出場不可。実質13人だよ 」と苦笑いを浮かべるしかなかった。

チャンスも作ったしファインプレーもあった

辺土名は初回と2回に一死二塁を、3回には先頭打者がヒットを放つなど健闘を見せる。凡飛や盗塁失敗などで得点に結びつけるまでには至らなかったが、走者を進める犠打で失敗を繰り返すチームも多い中、キッチリと進めるなど”自分たちが出来ること”をしっかりと練習し、それを試合で出せているのだなと感じた。

一方3回を終了して僅か1点差のリードであった北部農だが、4回に一死二塁からセンター前へ、ニ死二塁の後はライト前へ、ニ死一・二塁としてレフト前へしぶとく落とすタイムリーと、三方向へ適時打を決め試合を優位にすると、5回には無死一・二塁から5番知念が走者一掃のセンターの頭上を越えるタイムリー三塁打を放つなど計4点をスコアボードに刻み試合を決定付けた。

コールドの雰囲気が流れた7回の裏。だが辺土名は、5番宮城がチーム唯一の長打となる左中間突破の二塁打を打つなど最後まで意地を見せてくれた。

かつて1974年春のセンバツに出場した徳島県徳島池田高校が僅か11人だけで快進撃を続け、さわやかイレブンという愛称を与えられ準優勝を果たし全国から注目を浴びた。

頑張っていれば何かが起こることもある。努力しておりそれを体現することが出来れば、周りが感動してくれる。辺土名ナインも北部農ナインもそれを信じて、高校野球のステージを全うして欲しいと切に願う。

(文=當山雅通

辺土名   TEAM   北部農
守備位置 氏名 打順 守備位置 氏名
遊撃 平良俊 1番 投手 比嘉水輝
一塁 知花拓磨 2番 中堅 池原行豊
投手 比嘉勇介 3番 左翼 座間味真央
三塁 崎原龍巳 4番 一塁 松川慎之介
中堅 宮城和磨 5番 右翼 知念孝明
捕手 米須貴章 6番 三塁 許田祥司
左翼 比嘉維織 7番 二塁 宮里 龍
二塁 泉川滝輝 8番 右翼 崎浜秀哉
右翼 平良尚道 9番 捕手 真栄城侑樹

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.05.18

【秋田】明桜がサヨナラ、鹿角は逆転勝ちで8強進出、夏のシードを獲得<春季大会>

2024.05.19

【東海】中京大中京がコールド勝ちで17年ぶり、菰野は激戦を制して23年ぶりの決勝進出<春季地区大会>

2024.05.18

【岩手】一関二、盛岡誠桜などが初戦を突破<春季大会>

2024.05.18

【関東】昌平・山根が2発5打点、東海大相模・4番金本が2ランなどで初戦を快勝、東海大菅生は山梨学院を完封<春季地区大会>

2024.05.18

【長崎】長崎西、島原中央などが初戦を突破<NHK杯地区予選>

2024.05.15

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.05.13

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在29地区が決定、愛媛の第1シードは松山商

2024.05.17

「野球部や高校部活動で、”民主主義”を実践するには?」――教育者・工藤勇一さん【『新しい高校野球のかたち』を考えるvol.5】

2024.05.14

大阪体育大の新入生に兵庫大会8強の145キロ右腕、金光大阪の1番センター、近大附の4番打者など関西地区の主力が入部!

2024.05.16

【宮城】仙台一、東北、柴田、東陵がコールド発進<春季県大会>

2024.04.21

【愛知】愛工大名電が東邦に敗れ、夏ノーシードに!シード校が決定<春季大会>

2024.04.29

【福島】東日本国際大昌平、磐城、会津北嶺、会津学鳳が県大会切符<春季県大会支部予選>

2024.04.22

【春季愛知県大会】中部大春日丘がビッグイニングで流れを引き寄せ、豊橋中央を退ける

2024.04.22

【鳥取】昨年秋と同じく、米子松蔭と鳥取城北が決勝へ<春季県大会>

2024.04.23

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?