試合レポート

県立岐阜商vs可児

2011.09.20

県立岐阜商vs可児 | 高校野球ドットコム

西沢(可児)

可児、強豪相手に善戦も惜敗 県立岐阜商の落ち着き際立つ

 秋の高校野球岐阜大会は17日、[stadium]土岐市総合公園野球場[/stadium]で2試合を行った。第一試合では可児が7回まで県立岐阜商を相手にリードを奪ったが、終盤に力及ばず惜敗した。

球場に「ひょっとしたら」のムードが漂った。春夏通算53回の甲子園出場を数える名門・県立岐阜商を相手に、進学校・可児が3回表、4番西沢直輝のタイムリーや走塁妨害で2点を先制。8回表まで2対1とリードを保った。県立岐阜商の痛烈な打球が野手の正面に飛ぶなど、ツキも可児に味方していた。

だが、8回裏に力尽きた。県立岐阜商の先頭打者・松尾皐太がヒットで出塁すると、1番河村蓮志の送りバントを可児の投手・樋口忠司が一塁へ悪送球し、走者が還って同点に。直後、2番東泰斗に左翼へタイムリー二塁打を浴び逆転され、その後もスクイズやタイムリー、暴投が重なった。

「我慢強く抑えてくれた。よく投げてくれた」と、真船拡監督はエース・樋口をねぎらった。

毎回のように走者を出しながらも、左腕から繰り出す緩いカーブを駆使し、とらえどころのない投球でかわし続けた。大事な場面で、バッターに本来のバッティングをさせなかったのだ。それだけに、真船監督は「初戦の多治見戦では、控え投手・沢田圭世への継投で逃げ切ったので、試合後の今になって考えてみると、もう少し早く代えておけばという後悔はあります…。でも、あそこまで樋口が投げてくれたら、代えられないですよ」と、苦い胸中を明かしてくれた。「むしろ逆転されるまで毎回のように得点チャンスがありながら、生かしきれなかったのが悔やまれます」と、点差を広げられなかった拙攻を敗因に指摘した。


県立岐阜商vs可児 | 高校野球ドットコム

藤田(岐阜商)

 「楽なまま終わるはずがない。毎回が最終回のつもりで戦う」という心構えで、強豪相手に力を出し尽くした可児ナイン。可児は5年前の夏、県ベスト4に進出するなど、文武両道の風土がある学校だ。主将の西沢は「試合中は自分たちのほうが強いと思って立ち向かいましたが、相手の集中力が上で、自分たちはミスを止められなかった」と沈んだ表情だが、このまま意識を高く持って取り組めば、さらなる飛躍が期待できそうだ。

県立岐阜商は8回に逆転し、望みをつないだ。だが、周囲がヤキモキするほどには、当事者は心配していなかった様子だ。藤田明宏監督は「焦ったら負けだ」と選手に言い聞かせていたようで、「どこかでビックイニングを、とは思っていた。それが(土壇場の)9回裏じゃなくて8回裏だったので、まだ良かったです」と、始終腰を据えた対応を強調。捕手・田中宏樹も「準備と確認をしっかりしていたので、焦りはなかったです」と話し、打っても柔軟・強靭なリストを生かして右中間へ三塁打をマーク、5点目をたたき出した。

先発は藤田監督の長男・1年生左腕の藤田凌司が務めた。ボールの伸びや変化球、大崩れしないコントロールなど高い総合力が持ち味だが、

「今日は制球も全然だったし、変化球ももっと精度を上げないと…」と藤田監督は不満なよう。6回からは本格派の高橋快舟、安定感のある藤後彰太とつないだ。

藤田監督は「終盤に跳ね返す試合が今までなかったので、そういう展開を経験できたことはチームにとって成長でしょう」と締めくくった。少々のことには動じない、落ち着き払った県立岐阜商メンバーに、頼もしさが感じられた。

(文=尾関 雄一朗

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.06.06

大阪桐蔭が選抜ベスト8の阿南光ら4チームと対戦!<招待試合>

2024.06.06

大阪桐蔭&履正社撃破の原動力! 超高校級遊撃手・今坂 幸暉(大阪学院大高)のドラフト指名はあるのか!?<高校野球ドットコム注目選手ファイル・ コム注>

2024.06.06

【佐賀】敬徳は唐津東と唐津南の勝者と対戦<西北部地区大会>

2024.06.07

【夏の甲子園地方大会抽選日&開幕日一覧・近畿地区】近畿一番乗りの抽選は17日の大阪、4府県が7月6日に開幕

2024.06.07

【夏の甲子園地方大会抽選日&開幕日一覧・北信越地区】新潟で21日に抽選会、7月5日の富山で組み合わせが出揃う

2024.06.01

大阪桐蔭、山梨学院、慶應義塾…強豪校・名門校の昨年度卒業生はどの進路を歩んだのか?【卒業生進路一覧】

2024.06.04

神村、鹿実の壁を破れ! 国分中央は「全力疾走・最大発声・真剣勝負」で鹿児島の頂点を狙う

2024.06.01

【愛知】報徳学園は豊橋中央にサヨナラ勝ち、豊川には黒星<招待試合>

2024.06.01

【東京六大学】早稲田大が大勝で7季ぶり優勝に大手!プロ注目スラッガー・吉納が2発、エース伊藤は8回1失点の快投見せる!

2024.06.01

報徳学園の今朝丸がセンバツ決勝戦以来の先発!モイセエフは3番センターでスタメン出場!【招待試合スタメン】

2024.05.21

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?

2024.05.15

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.05.13

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在29地区が決定、愛媛の第1シードは松山商

2024.05.31

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在34地区が決定、佐賀では佐賀北、唐津商、有田工、龍谷がシードに

2024.05.21

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在33地区が決定、岩手では花巻東、秋田では横手清陵などがシードを獲得〈5月20日〉