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小学校のグランドで積み重ねた実績と伝統 福岡志免ボーイズ(福岡)が目指すのは人間としての成長

2020.01.26

 中学野球界では珍しい、小学校のグランドで練習を行うチームが福岡にある。福岡市近くの志免町にある志免東小学校のグランドで活動を行っている福岡志免ボーイズだ。創部以来、練習の拠点はずっと志免東小グラウンドに置いており、その歴史は41年になる。

 そんな福岡志免ボーイズの練習に伺い、チームの特徴や方針、そして今年のチームの状況についてお話を伺った。

選手たちが野球を好きなまま卒業してくれるように

小学校のグランドで積み重ねた実績と伝統 福岡志免ボーイズ(福岡)が目指すのは人間としての成長 | 高校野球ドットコム
トレーニングに励む選手たち(取材日はたまたま筑豊緑地球場での練習だった)

 「小学校で練習していて、全国大会にも出るチームはなかなか無いと思いますよ」

 そう語るのは福岡志免ボーイズを率いる近藤正之監督だ。
 近年は、第47回春季全国大会出場(2017年)、第48、50回選手権大会出場(2017、2019年)、ジャイアンツカップ2017出場(2017年)、2017ホークスカップ(2017年)優勝など、福岡県内でも指折りの実績を収めている福岡志免ボーイズ。

 「志免町の中学生を盛り上げていきたい」という町の協力もあり、創部以来チームの拠点は志免東小グラウンドに置いており、県内では2番目に長い41年の歴史を持つなど、自治体の協力と指導者の熱心な指導がこれまでの実績と伝統を作り上げてきた。

 チームを率いる近藤正之監督は、「選手たちが野球を好きなまま卒業して欲しい」とその指導方針を語る。

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福岡志免ボーイズの選手たちは練習中も笑顔が絶えない

 2年生18名、1年生22名(うち1名は女子選手)の計40名で活動している福岡志免ボーイズは、各学年に担当のコーチがついており、上手い下手に関係なく全員にチャンスを与えている。
 また平日は練習時間が限られていることから、練習以外の時間にも自主練習を大切にすることを選手たちには話しており、自主性を身に着けることにも繋げて欲しいと近藤監督は口にする。

 「ユニホームが脱いだ後の時間を大切にして欲しいと思っています。小学校の活動でグランドが十分に使えないこともありますが、凡事徹底を忘れず人間的にも成長して欲しいですね」

 そんなチームの方針に惹かれ、現在では志免町以外からも選手が集い、毎年九州各地の強豪校や地区の進学校へ選手が進学。1月24日に第92回選抜高等学校野球大会への出場が決まった創成館にはOBの近藤大地が在籍しており、また2019年にはOGの坂口英里(神村学園女子硬式野球部3年)が、男子選手に負けじとU-18マドンナジャパンに選出された。

 近藤監督が掲げる指導方針通り、多くの選手が高校でも野球を続け、強豪校に進学した選手も活躍を見せている。

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目標はジャイアンツカップの出場

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主将の岩﨑大弥(福岡志免ボーイズ)

 そんな福岡志免ボーイズだが、今年も「センスのある子は多くいます」と近藤監督が語るなど期待の持てるチームが出来つつある。一時は主将の岩﨑大弥などが怪我で戦線を離脱したが、現在は練習にも復帰して少しずつ戦力が整ってきた。

 「前チームは3年生が多く出場していたので、経験のある選手は少ないです。ただ、この冬のトレーニングは頑張ってくれているので期待はしています。主将の岩﨑がどこまでリーダーシップを発揮できるかですね」

 岩﨑は172センチ、76キロのがっちりした体格から放たれる鋭い打球が持ち味で、攻撃面でも精神面でもチームを引っ張る中心選手。
 近藤監督から大きな期待を受ける岩﨑は、夏に向けて強い気持ちを口にする。岩崎を頼もしかった3年生が引退して新チームが発足した時には、なかなかチームがまとまらなかったと振り返るが、ここにきてチームがまとまりつつあると語った。

 「今年のチームの目標はジャイアンツカップへの出場です。
 前の3年生よりも実力がないので、3年生以上に練習することを意識しています。ダッシュでも、10本やっていたところを12本に増やしたり、素振りも3年生以上にやったりと、まずは練習の量で勝てるようにしています」

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練習を終え、グランドに礼をする選手たち

 その言葉通り、練習では足腰を鍛えるトレーニングや素振り、ロングティーなど、基礎をじっくりと固めるメニューを時間をかけて行っていた。

 前チームは、大型右腕の刈谷信二郎や巧みなバットコントロールが魅力だった高山維月など潜在能力の高い選手が揃っており、日本少年野球選手権に2年ぶり6度目の出場を果たしたが、それでも中学野球最高峰の大会であるジャイアンツカップへの出場は果たせなった。

 前チームで果たせなかった大きな目標を達成すべく、基礎から地道に鍛錬を積む選手たち。これから夏に向けて、どんな成長を見せるのか注目だ。

(記事=栗崎 祐太朗

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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