Interview

目指すは甲子園で勝つこと。智辯学園エース左腕・西村王雅の武器は巧みな駆け引き

2020.11.13

 8年ぶりの近畿大会優勝を果たした智辯学園。その投手陣の柱としてチームを牽引したのが138キロ左腕・西村王雅だ。京都シニア時代から注目を浴び、1年夏にして甲子園のマウンドを踏んだ西村のこれまでの経緯に迫っていく。

1年生で全国のレベルの高さを知ることができた

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西村王雅(智辯学園) ※写真は秋季近畿大会より

 京都宇治市出身の西村。父・基治さんは平安高校(現・龍谷大平安)1990年夏の甲子園で2勝を挙げた左腕投手として活躍した。その父に憧れ、京都シニアから本格的に投手転向。中学1年の時は118キロぐらいだったがランメニューを中心に行い、気づいたら中学3年には最速138キロをマーク。

 智辯学園に進むきっかけとして西村は「智辯学園のユニフォームがきっかけです。あのカッコいいユニフォームをきて甲子園のマウンドに立ちたいと思いました」と入学を決意する。

 そして西村の出番はすぐに訪れる。1年春からベンチ入りし、そして近畿大会の智辯和歌山戦で中継ぎとして好投を見せ、勝利に貢献した。
「1年春からベンチ入りするとは全く思っていなくて、あの試合は気持ちでは負けないと思って投げて。うまく力が抜けて投げられたと思います」

 智辯和歌山戦の好投で評価を高め、大事な場面でも登板し、夏でも甲子園出場に貢献する力投。そして甲子園でも登板を経験した。

 夏の奈良大会、甲子園を終えて西村は「初めて全国のレベルを知ることができて、気持ち、コントロールにブレがありましたので、コントロールを良くするために修正を行いました。また、エラーが出てもいかに落ち着いて投球に切り替えることができるかと考えて投げていきました」と制球力、精神面を課題において日々の練習、投球に取り組んだ。

 秋の近畿大会では4強入りしたが、西村の中では満足行く出来ではなかった。そして冬の練習、自粛期間中でもテーマを掲げ、個人練習に取り組んできた。

 そして夏の大会では3年生中心だったため、登板がなく、久しぶりの登板は甲子園だった。

[page_break:二度目の甲子園で好投。今度はより多くの勝利を導ける投手に]

二度目の甲子園で好投。今度はより多くの勝利を導ける投手に

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西村王雅(智辯学園) ※写真は秋季近畿大会より

 甲子園交流試合は1試合限定。3年生とやれるのは最後になる。相手は甲子園が開催されていれば優勝候補として期待されていた中京大中京だ。いきなり初回に味方のエラーなどもあり3点を先制され、苦しい立ち上がりとなる。

 「相手は優勝候補といわれる中京大中京さんですし、たしかにエラーはありましたけど、『しゃあない』と思っていました。自分の気持ちが切れていたら、ずるずるいってしまうので、2回以降から気持ちを切り替えていきました」

 

 2回以降は落ち着きを取り戻し、無失点投球。そして4回裏には高橋から適時打を放ち、同点に持ち込む。
「3年生と一緒にプレーできる最後の甲子園でしたので、かなり緊張はしたんですけど、本当に速かった高橋さんからタイムリーを打つことができて落ち着くことはできたかなと思っています」

 試合は延長までもつれる試合となり、延長10回裏にサヨナラ負けを喫したが、巨人3位指名の中山礼都、早稲田大進学の印出太一を1安打ずつに抑え、終盤以降は完全に抑え込むなど実力はしっかりとアピールに成功した。

 甲子園後は制球力を高めることと伸びのあるストレートを投げることをテーマに練習に取り組んできた。

 そして秋から正捕手となった植垣洸とコミュニケーションをとりながら、勝てるための投球術を考えてきた。打者の動きを見て投球ができる西村は捕手のサインに首を振りながら最善の投球を心がけてきた。

 大会前の決意として、「近畿を勝ち抜いて、選抜を目指していきたい」と意気込んだ西村は粘り強い投球を続け、近畿大会に出場。1回戦、準々決勝では完投勝利を収め、そして決勝の大阪桐蔭戦では3失点完投勝利を挙げた。

 開催されれば、来春の選抜で3度目の甲子園のマウンドとなる。この舞台で2年生のときよりも成長した姿を見せるつもりだ。

(記事=河嶋宗一

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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