試合レポート

泉vs東北

2015.07.15

泉が実力の16強入り

 東北を4対1で破り、16強入りした。
vs東北。このカードは、この春の中部地区大会でもあった。は、本線トーナメントの準々決勝で東北学院に延長14回の末、3対4で敗れ、敗者復活戦にまわった。東北は、本線トーナメントの初戦(2回戦)で仙台東に3対10で敗戦。敗者復活戦から県大会出場を目指すことになった。

 敗者復活戦では、東北仙台工に勝利してと対戦することに。試合はが先制。東北は追いすがるが、得点しては離される展開だった。結果は7対4でが勝利。東北は地区予選敗退となり、県大会出場を逃した。一方のは、聖和学園との敗者復活戦決勝を制し、2001年以来の県大会出場を決めたのだ。

 そんな“因縁”のあった東北。組み合わせ抽選で、互いに1つずつ勝つと再戦となるヤマになった。しかし、この抽選にはもう1つ、“因縁”があった。

 は、聖和学園亘理の勝者と初戦(2回戦)を戦うことになったのだ。聖和学園は先述の通り、中部地区予選で県大会出場ラストキップを懸けて戦っていた。結果は10対6でが勝利。聖和学園東北同様、に県大会出場の道を閉ざされていた。

 そんな3校が組み合わせ抽選により、すぐに対戦する可能性があるヤマに入るとは・・・。
 まずは7月8日、聖和学園が1回戦で亘理に8対0の7回コールド勝ち。vs聖和学園の対戦が決まった。東北は初戦(2回戦)で気仙沼向洋と戦うことになっていたが、宮城大会直前に気仙沼向洋に不祥事があった。当初は不祥事に関わった部員と同学年の部員全員をベンチ入りさせずに出場することになっていたが、その後、さらに不祥事が発覚。大会前日に出場を辞退した。これにより、東北は不戦勝となった。が勝ち上がってくるのか、聖和学園がリベンジして勝ち上がってくるのか―—。いずれにせよ、東北にとっては、夏の公式戦を戦ってくる相手との対戦になる。

 さて、vs聖和学園は、2回にが1点を先制。その裏、聖和学園がすぐに追いついた。さらに3回裏、聖和学園は一挙、6点を入れて流れをつかんだ。ところが、7回に2点を入れて4点差に追い上げた。なんと、9回に5点を入れて逆転。9回裏をゼロに抑え、8対7で勝利したのだ。
 こうした流れがあって、劇勝したと初戦の東北という戦いになった。


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第97回全国高等学校野球選手権大会

 は1回表、1番・南生一樹が四球で出塁すると、1死1塁から3番・佐々木魁人が遊撃手の横を抜けるヒットを放つ。4番・畑中誓太の打球は遊撃手の頭上を越え、二走・南生がホームインし、先制した。その裏、東北は相手のミスで1点を返した。
 東北のエース・福田恭平はバックにも助けられながらゼロに抑えていく。春から好投を見せる大塚康平も譲らない。

 1対1で試合は進み、5回表。の8番・伊藤光希が相手のエラーで出塁すると、9番・末川就一の犠打で二塁に進んだ。1死2塁。1番・南生はショートゴロを打ったが、東北の遊撃手が一瞬、サードに投げようとするも一塁に送球。南生はセーフとなり、1死1、3塁とした。ここで2番・森廣大成がスクイズを成功させ、が勝ち越した。

 9回にはダメを押す2点を奪った。投げては、聖和学園戦も完投し、中1日での登板となったエース・大塚が尻上がりに調子を上げていった。糸を引くような伸びのあるストレートと変化球を織り交ぜて東北打線を寄せ付けなかった。
 7回以降は1アウトを取るたびに一塁側スタンドの歓声が大きくなり、ボルテージが上がっていった。

 勝利の瞬間は、まさに歓喜。の勝利は〈番狂わせ〉でも〈波乱〉でもない。春には、エース・大塚を中心に久々の県大会出場を果たし、1983年以来の8強入り。実力通りの勝利である。

 敗れた東北は現実を受け止められない様子。捉えた打球はことごとく野手の正面をつき、走者を出してもホームは遠かった。甲子園出場は春夏通算40回。佐々木主浩氏やダルビッシュ有といったメジャーリーガーや高井雄平など活躍するプロ野球選手も輩出。名門校として、その歴史を作ってきた。

 しかし、近年は思うような成績が出ていない。「最近の東北はどうした?」「東北は何をしているんだ」という声は県内のみならず、よく聞こえてくる。勝利を求めるあまり、心ない声を耳にしたこともある。東北は強くなければならない、ということを理解した上で、選手たちの高校野球を否定する声は出してほしくないと願う。


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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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