試合レポート

岡崎工科vs杜若

2022.08.18

岡崎工科が辛抱の試合を堪え切って、杜若に1対0の辛勝

岡崎工科vs杜若 | 高校野球ドットコム
4安打に抑え完封勝利した岡崎工・永井君

<秋季愛知県大会西三河地区1次トーナメントBゾーン敗者復活戦:岡崎工科1-0杜若>◇19日◇3回戦

 この夏は期待されながらも、誠信に思わぬ大敗を喫して初戦で姿を消してしまった岡崎工科。県内の公立校としては最大の部員数を誇っているが、新チームとしては、新たな思いでこの大会に挑んでいるはずである。

 対する杜若も、この夏は初戦で長久手に屈しており、不本意なままだったことは確かであろう。この春から、OBでもある元ヤクルトの田中佑貴監督が就任して、チームとしての強化立て直しも進めていこうというところである。そういう意味では、非常に見どころのある対戦でもある。また、県大会進出を得るためには、どちらも負けられない戦いである。

 杜若は左腕深田、岡崎工科は永井の先発で始まった試合は、投手戦の様相で進んでいった。深田はスリークォーター気味で、ボールの出処も見にくく、やや変則フォームから繰り出すクセ球が見た目以上に効果がありそうだ。永井は、力のある回転のいい球を投げ込んでくる。長身でもあり直球も角度があるので、球速以上にスピードがあるように感じられる。

 両投手の投げ合いは、5回まではお互いに2安打のみしか許さず、ともにチャンスらしいチャンスもほとんどないくらいだった。秋の新チームは、投手優先になっていくので投手戦になりやすいと言われるけれども、まさにそんな典型の試合となった。

 果たして、均衡をいつ、どちらが破るのかといった展開になったが、6回に岡崎工科が破った。

 この回、1死で四球後に二塁へ進めて2死二塁となったところで、6番木林が左越え二塁打して二塁走者がかえり、岡崎工科が貴重な先制点を挙げた。これで、杜若の田中監督は、ここまで粘って好投してきた深田を下げて、3番右翼手で先発出場していた金原をマウンドに送った。金原は、その後を抑え、7回も2四球と中谷の安打などで満塁のピンチを迎えるが、何とか踏ん張った。

 こうして試合は最少得点のまま9回を迎える。9回の杜若は四球と福田凛空の安打などで1死一、二塁まで攻めるが、岡崎工科の永井投手は最後まで自分の投球をし続けて崩れることはなかった。結局、杜若打線を4安打完封で抑え込んだ。見事な投球だった。

 この日の岡崎工科は平松忠親監督が欠場となったため、小笠原渉部長が代行して指揮を執ったが、「夏の大敗のことは、新チームとしてはそんなには意識はしていないと思う。メンバーもすっかり入れ替わっているので、新チームとして何をどうしていくのかということを確認していきながら、ここまでやってきています」ということで、県大会進出へ向けて何とか敗者戦で残ったのはさすがである。

 永井に関しては、「今日は、コントロールを意識していたので、それがいい形になった。今まではスピードに頼りすぎて制球を乱して自滅していくことも多かった」と言うが、まさに投手はスピードよりもコントロールということを証明したと言ってもいい投球だった。

 杜若の田中監督は、「そんなに力のあるチームではないので、予想していた展開よりは、よく戦えたと思う。ただ、チャンスを作っても、あと一本が出ないというところは、チームとしての力不足です。結局、数少ないチャンスで下位に回ってきて、そこで一本でなかったということが試合を分けてしまった」と分析していた。

 田中監督としては、就任してまだ間もないということで、このチームから着実に作り上げていきたいという考えである。この秋には、智辯和歌山など全国的な強豪校との練習試合も組んでいる。この秋を経て、来春以降への飛翔を期待したいところである。

(取材=手束 仁

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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