試合レポート

獨協埼玉vs越谷西

2019.04.16

最後まで手に汗握る一戦!獨協埼玉が4年ぶりの県大会へ

獨協埼玉vs越谷西 | 高校野球ドットコム
襟川直樹(越谷西)

【熱戦の模様をギャラリーでチェック!】

 獨協埼玉越谷西の一戦は地区予選とは思えないぐらいレベルが高い試合だった。獨協埼玉の野手陣の体つきはしっかりとしていて、強く振れる選手が多く、守備を見ていても動作にキレがある。こんなに獨協埼玉の選手が大きいのは、オフシーズンに計画的な体作りをしたことが大きい。まずウエイトトレーニングを中心に、食事トレーニングではご飯を1キロ食べたり、あるものは食べない、飲まないなど食事制限をして、専用のプロテインを摂取しながら、体づくりを行ってきた。すると多くの選手が5キロ、10キロ増量した選手もいるという。

 一方、越谷西もねっちこさがあり、執念強い。エースの襟川直樹は中々の好投手で、右スリークォーターから常時125キロ~131キロのストレート、120キロ前後のスライダー、100キロ台のカーブを投げ分ける投手で、獨協埼玉の打者も速く感じていた。

 力量はほぼ同格で、最後まで手に汗握る一戦となった。お互い走者を出すが、なかなか1本が出ない試合展開。しかし3回裏、二死二塁から4番佐藤大志がレフトへ適時二塁打を放ち、1点を先制。さらに5番井福 孝晴もレフトへ鋭いクリーンヒットを放ち、佐藤が生還し、2点目を入れる。

 しかし5回表、二死二、三塁から4番襟川は打球が弱い遊ゴロ。遊撃手は一歩目のダッシュが遅れ、踏ん張る形のスローイングに。そうなると、弱い送球となり、内野安打に。二塁走者は一気に本塁へ。いわゆる2ラン内野安打で同点に追いつく。


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サヨナラ打の加藤(獨協埼玉)

 しかし5回裏、獨協埼玉は1番井上が甘く入ったスライダーを逃さず三塁打。2番加藤がライト前へ鋭い適時打を放ち、勝ち越しに成功。さらに一死三塁から4番佐藤が2本目の適時打となる中前適時打で4対2とする。

 佐藤は180センチ84キロと恵まれた体格をしたスラッガーで、佐藤も一冬超えてから10キロ増量に成功した。佐藤はパワーアップに成功したことで、打撃の幅が広がった。「秋までフルスイングをしていたのですが、体が大きくなったことで軽く振っても強いスイングができますので、対応力は広がりました」と成長を実感している。地区大会初戦では3ランを放つなど、今年に入ってホームランは3本打っている。獨協埼玉の木暮大樹監督は「一冬で大きく成長してくれました」と成長ぶりに目を細める。

 さらに井福は3安打の大活躍をしたように、攻守ともにバランスが取れた好捕手だ。180センチ90キロと大型捕手と形容してもいいプレーヤー。まず打撃。ポイントが広い打撃を見せてくれたが、これは事前の準備が生きている。越谷西の襟川に対策として、配球パターンを絞り、3安打はすべてストレートを打った。

 そして本人が自信にしているのはスローイング。イニング間の送球はワンテンポおいて全力送球。すごい勢いでベースカバーに入った野手のグラブに収まる。さらにところどころでポジショニングを指示しながら、周りを引っ張っている。木暮監督は「秋と比べると余裕が出てきて周りも見えてきていると思います。ストッピングもだいぶ良くなりました」
 木暮監督の言葉通り、井福は投手にワンバウンドを投げてもらってストッピングの練習をしてきた成果を発揮していた。

 リードしたままで迎えた9回表、越谷西は7番衣川が左中間を破る三塁打を放ち、8番田中が四球で出塁し、無死一、三塁となって代打・大野が右中間を破る適時三塁打を放ち、同点に追いつく。

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サヨナラに沸く獨協埼玉

 しかし9回裏、獨協埼玉は一死一、二塁のチャンスを作り、打者は2番加藤。前の打者が敬遠されたことに燃えていた加藤は「絶対に打ちます」と気持ちを燃やして打席に入った。木暮監督はバントの指示を出さず、強攻を決断。木暮監督の方針で2番打者でもバントをさせず、強攻させるという。
「今、プロ野球流行りのバントをしない2番打者ではないですけど、加藤も5回裏に勝ち越しの二塁打を打っていましたし、彼の打撃を信じて送り出しました」
加藤は前進守備のセンターのグラブをはじく長打を放ち、サヨナラ勝ちで4年ぶりの県大会出場を決めた。

 打撃面の活躍が光ったが、エースの岡田 瞬の力投も光った。5回には足をつってしまい治療を受けたが、その後も粘り強い投球で抑え続けた。今年に入って完投は練習試合・公式戦に入って初めて。特に9回のピンチは「気力を振り絞って投げました」と振り返る。苦しんで、公式戦に勝利した経験は大きく生きるだろう。

 多くの選手が打撃の状態が上がっていると実感している。果たして4年ぶりの県大会では一泡吹かせる活躍を見せてくれるのだろうか。

(取材・記事:河嶋宗一

 

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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