試合レポート

錦城学園vs中大附

2017.10.19

錦城学園・星、ノーヒットノーラン(7回参考)で3回戦進出

錦城学園vs中大附 | 高校野球ドットコム

星天太(錦城学園)

 1回戦では打撃戦の末、都立雪谷を破った錦城学園と、投手戦の末、都立片倉を破った中大附の一戦は、錦城学園のエース・星天太の力投が光る試合になった。

 錦城学園の先発、エースの星は身長170センチ、64キロ、中大附の先発、背番号3の中村和喜は身長174センチ、61キロと、ともにやや細身の左腕の対決になった。

 錦城学園の星は、体全体を使った躍動感のあるフォームから力のある球を投げ込み、3回を終わって1人の走者も出さず、奪三振5と中大附の打線を完全に封じる。

 一方中大附の中村は、球威がさほどあるわけではないが、「スピンがかかっていて差し込まれました」と、錦城学園の玉木信雄監督が言うように、3回までは安打1本に抑えられる。

 試合が動いたのが4回表錦城学園の攻撃。一死後3番・園田小哲が内野安打で出塁すると、4番・塚田光咲はライトへの二塁打で園田が還り1点を先制する。さらに右翼手の返球がそれる間に塚田は三塁に進み、6番・星の二ゴロで、塚田も生還する。

 5回裏中大附は、一死後5番岡本海知の強い打球はセンターへ。打球は中堅手のグラブに当たりながらも、捕球できず、岡本は二塁へ。中大附にとっては初の走者であるが、安打か失策か、観客の視線がスコアボードに集まる中、「E」の表示。ノーヒットノーランの記録はまだ続いた。

 中大附は6回表から、投手を背番号1の横手投げ、足立岳に交代する。錦城学園打線は足立に襲いかかる。この回錦城学園は安打2本と四球で一死満塁とし、8番・佐藤寛太の左前安打でまず1点。続く上澤孝太郎は四球で押し出し。さらに1番・児玉東太の左犠飛でこの回3点を加える。

 7回表には4番・塚田の二塁打、5番・千明駿平の死球、6番・星の犠打、前の回から7番に入っている福田隼大の二塁打で2点が入り、コールドゲームが成立する7点差がついた。

 錦城学園の星は、5回に中堅手の失策で走者を出した以外は、走者を出さず、7回を投球数79、奪三振9で、参考記録ながら、ノーヒットノーランを達成した。

 星は、最速は130キロ強だが、スライダーのキレ良く、体全体を使いテンポよく投げ込むため、球速以上の威力を感じる。好投の星は、「外中心で、テンポよく投げることができました」と語る一方で、この日の投球の自己採点は、65点。
「初球のカウントをとる変化
球が浮いてしまいました」と冷静に語り、浮ついたところがない。

 これで錦城学園は3回戦に進出。と同時に春季都大会のシード校にもなった。「シード校になるのは初めてです」と玉木監督は語る。シード校になるのはひとつの目標であったが、ベスト16とベスト8では、意味合いが違ってくる。しかも次の相手は、日大三出身の内田和也監督率いる立正大立正。錦城学園の助監督の中島健人も日大三出身で、内田監督の後輩にあたる。それだけに、「中島のためにも勝たせてあげたい」と玉木監督は、3回戦に向けての意気込みを語った。

 一方敗れた中大附であるが、序盤好投した中村や、この試合では打ち込まれたが、横手投げの足立など、投手陣の頑張りもあって、2回戦に進出できたのは、一つの成果である。ただもう一段ステップアップするには、打線を中心としたパワーアップが必要になる。

(文=大島 裕史

錦城学園vs中大附 | 高校野球ドットコム
注目記事
2017年秋季大会 特設ページ

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.05.20

【春季京都府大会】センバツ出場の京都国際が春連覇!あえてベンチ外だった2年生左腕が14奪三振公式戦初完投

2024.05.20

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在31地区が決定、宮城では古川学園、仙台南、岩手では盛岡大附、秋田では秋田商などがシードを獲得

2024.05.21

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在33地区が決定、岩手では花巻東、秋田では横手清陵などがシードを獲得〈5月20日〉

2024.05.21

いまも3人が現役で奮闘中! 200勝達成したダルビッシュの同期生

2024.05.20

【秋田】横手清陵と本荘が8強入り、夏のシード獲得<春季大会>

2024.05.15

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.05.17

「野球部や高校部活動で、”民主主義”を実践するには?」――教育者・工藤勇一さん【『新しい高校野球のかたち』を考えるvol.5】

2024.05.16

【宮城】仙台一、東北、柴田、東陵がコールド発進<春季県大会>

2024.05.19

【東海】中京大中京がコールド勝ちで17年ぶり、菰野は激戦を制して23年ぶりの決勝進出<春季地区大会>

2024.05.18

【秋田】明桜がサヨナラ、鹿角は逆転勝ちで8強進出、夏のシードを獲得<春季大会>

2024.04.21

【愛知】愛工大名電が東邦に敗れ、夏ノーシードに!シード校が決定<春季大会>

2024.04.29

【福島】東日本国際大昌平、磐城、会津北嶺、会津学鳳が県大会切符<春季県大会支部予選>

2024.04.22

【春季愛知県大会】中部大春日丘がビッグイニングで流れを引き寄せ、豊橋中央を退ける

2024.04.22

【鳥取】昨年秋と同じく、米子松蔭と鳥取城北が決勝へ<春季県大会>

2024.04.23

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?