試合レポート

熊谷商vs三郷北

2016.07.18

熊谷商が先制、中押し、ダメ押しといい形の試合で快勝

 熊谷商工時代を含めると春1回、夏は6回の甲子園出場という歴史のある熊谷商下関商と両校合わせて38安打で12対11という乱戦を制したなどの戦いを残した81年夏を最後に甲子園から遠ざかっている。時代の流れの中で、商業校が高校野球で実績を残していくのが厳しい時代になってきている。さらには、私学の有力校が野球部強化を前面に掲げて積極的に選手獲得をしていく時代でもある。そんな中で公立商業校がそれなりの成果を示していくことは、かなりハードルは高い。

 それでも、3年前に新井 茂監督が母校監督に就任して、熊谷商は着実にチーム力を上げていっている。その熊谷商が5回戦進出をかけて三郷北との戦いとなった。

 初回、続く2回とどちらも走者を出しつつも得点に結びつかなかったが、熊谷商は3回の守りを初めて3人でピシャリと抑えると、その裏は二死走者なしから3番水野君が四球で出ると、森本君が安打してつないで田島君の左翼線二塁打で先制した。さらに4回にも連続の死球でチャンスを貰ったところで、9番の佐藤 佑樹君が左中間を破って帰して、なおも死球押し出しがあって追加した。

 5回にも安打で出た走者が刺されて一旦は二死走者なしとなりながらも、死球と盗塁で進め鈴木 健介君の左前打で二塁走者が帰った。

 熊谷商は、新井監督がアグレッシブに攻めていく姿勢を示したいという意図を明快にするために、三塁コーチャーには、ある程度はアウトOKでもGOを優先していこうということを徹底してきた。そんな姿勢が、結果的には3度、二死走者なしから得点できたという形にもなったのではないだろうか。8回も、二死走者なしから栗嶋君が一二塁間を破って出ると、続く水野君が右越打を放って、一塁走者はクロスプレーになるかなと思われたたが、思い切って本塁を狙って、結果的には送球もややそれてセーフとなり貴重なダメ押しとなった。これで5点差となり、熊谷商としては余裕の守りに向かえることとなった。

 三郷北は走者は出していたものの、なかなか攻めきれないまま9回を迎えてしまった。この回先頭の樋口君は安打で出塁して、この日は4打数4安打と気を吐いた。しかし、投直併殺で二死となってしまう。それでも、三郷北はその後に萩原君、7回途中から登板して6番に入っていた新納君、先発して4回二死まで投げて、その後はセンターに入っていた丸山君が3連打して1点を返して、最後の意地を示した。

 30度を超す暑さの中、グラウンドは蒸すような感じだったであろうが、そんな中でスタンドの雰囲気も両校応援団がフル回転して、高校野球のムードを盛り上げていた。熊谷商の遊撃手三浦君は、守備範囲も広くいい動きをしていたが、その佇まいは何となく昭和のいい時代の高校野球を思わせるものがあった。そのあたりも伝統校の熊谷商が醸し出すものなのかもしれない。

(文=手束 仁

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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