試合レポート

都立昭和vs都立芦花

2014.07.19

昭和逆転で5回戦へ、中盤以降に底力

 [stadium]昭島市民球場[/stadium]の7月18日の第2試合は、シード校・都立昭和と、2年連続して4回戦進出の都立芦花という都立校同士の対戦。都立昭和は[stadium]昭島市民球場[/stadium]から道一本隔てた所にあるいわば、ホームだ。スタンドの応援席も、都立昭和の方が多く入っている。

 そんな状況をものともせず、都立芦花は立ち上がりに攻勢をかける。

 1回表都立芦花の1番神柾盛が左前安打で出塁。2番野口修人が送り、3番は3回戦の都立清瀬で本塁打2本の水越佳太朗都立昭和の先発、背番号10の右腕・長尾春基は、慎重に投げて歩かせる。そこで打席に立つのは、エースで4番の飯野仁志。飯野は遊撃手の頭上を越える左前適時打を打ち、まず1点。続く5番で捕手の橋本瑛祐は左中間を破る長打。2人が還り、都立芦花は初回に3点を入れた。ただ、橋本は一挙に三塁を狙ったが中継プレーに阻まれた。

 それでも、バッテリーが打って得点を入れたのだから、気分上々で守りに入れる。飯野は打てるものなら打ってみろと、ばかりに、内角を攻める強気の投球をし、3回までは安打を許さなかった。

 ところが、4回裏に先頭打者の2番武本龍が初安打となる中前安打で出塁すると、状況は一変する。続く加藤和輝のバントは内野安打になり無死一、二塁。続く4番井梅光希もバントし、一死二、三塁。続く池田紘之がしっかりとミートした打球は右中間を抜ける三塁打となり、2人が還って1点差。さらに続く山田一貴はレフトへファールフライ。これを都立芦花の左翼手・大黒ケビン ディロンが倒れ込みながら好捕したが、その間に池田がタッチアップして同点に追いついた。


 6回裏から都立芦花の投手は左の岸田航太に代わる。この回都立昭和は、運も味方にして勝ち越す。一死後加藤が死球で出塁し、続く4番井梅の打球は、右翼手、中堅手、二塁手の間のデルタ地帯に落ちる安打で一死一、三塁。続く池田の中前安打でまず1点を勝ち越す。さらに山田のスクイズは、一塁のライン上に転がる。これを都立芦花の内野陣が見送る。ところがボールはファールになる気配は全くない。結局一塁線上に転がる内野安打となり、2点を勝ち越した。

 地力で上回る都立昭和が勝ち越すと、もう流れは止められない。8回裏都立昭和の攻撃は、あっさり二死になったものの、そこから死球、右前安打、左前安打、中前安打、四球、四球と続き、3点が入り、あと2点でコールドゲームが成立するという場面で4番の井梅が打席に入る。井梅はレフト線の二塁打を打って、10対3。コールドゲームが成立した。

 中盤以降は都立昭和が底力を発揮して、最後はコールドゲームとなったが、序盤は、都立芦花のペースであった。2002年に開校したばかりの都立芦花は、2年続けて4回戦に進出し、都立の新しい強豪となる可能性を示した。都立芦花としての歴史は、わずか12年だが、もともとは都立千歳都立明正が統合して創立した学校だ。元の学校の先輩たちの思いも受け継ぎつつ、新たな伝統を築いていってほしいものだ。

 なお勝った都立昭和は、次は20日に駒場学園と対戦する。勝てば2007年以来の準々決勝進出となる。

(文=大島裕史

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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