神村学園vs鹿屋
照屋和輝(鹿屋)
負けた経験を生かすために
今春、九州大会が、地元・鹿児島で開催されるため、準決勝進出を決めた4校が、すでに出場権を獲得している。
神村学園(串木野市)、鹿屋、鹿屋中央(鹿屋市)、鹿児島城西(日置市)(※順不同)と今年は珍しくその顔触れの中に鹿児島地区の高校が見当たらない。
そして、その4校のなかでも唯一の公立である、鹿屋の躍進が目覚ましい。
昨年11月に行われた1年生大会では優勝。しかもその決勝の相手が、神村学園だった。
ちなみにその時は、鹿屋が延長11回という熱戦をサヨナラで制している。
今大会の準決勝では、鹿児島南の好投手・笛田怜平を攻略した神村学園に対し、2年生右腕・照屋和輝を中心にスタメンのうち5名が2年生という鹿屋がどう挑むかが、一つの焦点となった。
昨秋、そして一冬越えた3月上旬には140キロ台のストレートをバンバン投げていたという182センチの大型右腕・照屋。徐々にできてくるタイプというだけあって課題は立ち上がりであった。
その初回、照屋は2安打と四球で1死満塁のピンチを迎える。
5番・大迫将也に死球を与え、いきなり押し出しの1点を献上した。
3回に同点に追いついた鹿屋だが、神村学園は6回に安打と四球で1死満塁。ここで1番・白澤隼人、2番・児玉洸が連続で2点適時打を放ち、その差を一気に広げ、試合を決定付けた。
久保(神村学園)
終わってみれば、7対1。6点差をつけ、神村学園が決勝進出を決めた。
しかし、安打数は両校ともに11安打。
試合後、鹿屋の山内昭人監督はこう語った。
「うちはチャンスでフライ、相手はそこでキッチリとゴロを転がしていた。その差があります。そして、うちは、もっとしぶとい野球をやらないといけない」
それを課題に“ゴロを転がす、四球をださない”という野球の原点を再確認するという鹿屋は、明日、3位決定戦に挑む。
「負けてもう1試合できるという機会は滅多にないことなので、(今日)負けたあと、明日はどういう試合をするのか。それをしっかりとやっていきたい」(山内監督)
昨秋の1年生大会優勝で、上級生にもいい相乗効果になったという鹿屋。そのバランスが整ってきただけに、まずは明日の3位決定戦、その機会を決して無駄にしないつもりだ。
(文=PNアストロ)