試合レポート

津東vs高田

2010.08.18

2010年08月18日 高田高校グラウンド

津東vs高田

2010年秋の大会 中勢地区1次予選 2回戦

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川崎貴弘(津東)

三重に注目度抜群の逸材右腕現る!川崎貴弘(津東)に惚れぼれ

 各校「新チーム」のメンバー、特に2011年度に3年生になる世代(=現2年生)を考えてみたとき、東海3県の中でも特に三重県は「当たり年」だと思う。投手のレベルの高さは著しく、方田健斗菰野)、岡部直人いなべ総合)、村木優馬海星)、山崎正衛近大高専)、江川将太宇治山田商)、中川誠也伊勢工)・・・。すぐに思いつくだけでも、優に片手を超える。

 そして、彼らを差し置いて、注目度なら三重ナンバーワンになりそうなのが、いわゆる「無名の公立校」に現れた長身右腕・川崎貴弘津東)だ。

 川崎は全国的には無名だが、その突出した素質で、県内では既に知られた存在である。練習試合でのノーヒットノーラン、夏の大会初戦での完全試合(5回参考記録)で一躍名が知れ渡った。186センチの長身から140キロを超えるストレートを投げるとなれば、筆者はこの秋の地区大会、最優先で見に行くことに決めていた。

 津東にとっても新チーム初の公式戦。先発投手はもちろん川崎だったが、本当に素晴らしかった。モノが違う。伊藤準規(中日)の高校時に匹敵する、と言っても過言ではないくらいだ。

 やや細身のスラリとした体型で、投球動作に重々しさやクセがないのがいい。グラブを大きく掲げて、かつ右腕は深くテークバックを取るフォームは豪快。しっかりとヒジを前に出し、打者寄りでスナップを利かせて長い腕を振ってくる。球の走りが抜群で、並の打者ではまず手が出ない。スイングにいっても、振り遅れての空振りが目立ち、バットに当たらないのだ。奪った三振は当然二ケタ台を数えた。力まずに、体がぶれずに放って、きれいに伸びる快速球に惚れぼれする。

 3番打者を務めるバッティングでも川崎は大活躍。打った瞬間の左越え本塁打や、重厚な打球音をとどろかせての中越え三塁打など、とかく非凡であった。

 川崎は試合を振り返って、「調子はそこまで良くなかったが、途中からエンジンがかかってきました」と話す。たしかに、フォームに躍動感が増した7回裏の三者三振は圧巻だった。中学時代はクラブチームではなく学校の部活動(軟式)でプレー。「ストレートで押すタイプのピッチャーでしたが、コントロールが悪く、大会での大きな実績はありませんでした。いくつかの高校から誘いはありましたが、家が近いので、津東に進学しました」とのことだ。

川崎について福森正文監督は、「元々バランス感覚をもった子で、体重移動もできる。狙って三振をとれるピッチャーです。左手のグラブを出して体を抑え込む動きをすることで、体が開かなくなりました。最近になって緩急をつけられるようになったのが、一番大きいんですよ」と解説してくださった。エースが力投し、チームも堅守で無駄な失点を与えなかった快勝に、まずはこの先の見通しを感じていらっしゃる様子だった。

 川崎貴弘、2011年のドラフト戦線に間違いなく名前が挙がってくるであろう投手だ。

【第1試合】津東 6-1 三重高田
【第2試合】津西 7-2 津工

 せっかくなので、津東以外にこの日登場したチームについても是非紹介したい。

 三重高田の先発・柏木は、5イニングで4点を許したものの、決して悪いピッチャーではなかった。むしろ、1年生と後で聞いて、驚いたくらいだ。1年生でこれだけ投げられれば、まずは及第点。カーブが良かった。

 津西のエース・芳田翔太はアンダースロー。下手投げらしい球筋のボールをうまく高低に配し、打たせて取る巧さ、まとまりが光った。4番打者の稲垣勇樹もチャンスでタイムリーを放つ働きをした。

 津工の先発・市川和磨は、球威はあるだけに、外角への制球力を今後高められれば。打線は比較的ガッチリした選手が主軸に座り、中でも4番打者の加藤翔太の長打力(9回表に本塁打)と強肩は期待できそうだ。

(文=尾関 雄一朗


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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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