野球普及のモデルケースに!中学野球部顧問が取り組んでいる「野球人口増加プロジェクト」とは?
彩球野球学校の様子。この活動も野球振興活動の一つ
いずれは野球普及のモデルケースに!中学野球部顧問が取り組んでいる「野球人口増加プロジェクト」とは?
現在、野球人口拡大のため、NPB、高野連など各団体が中学生以下の子どもたちに野球教室などを行い、普及活動に務めているが、その中で画期的な活動を行っているのが、埼玉県川口市の中学野球部の先生方が取り組んでいる「野球人口増加プロジェクト」だ。毎年2月11日に埼玉県で行われている彩球野球学校の運営に携わっている中学軟式野球部の指導者を中心に今年度からスタートした。
今回、このプロジェクトにかかわっている川口市立領家中の野球部顧問・武田尚大先生に発足のきっかけを伺った。きっかけは、川口市の中学の野球部が廃部したことがきっかけだという。
「野球部を一度廃部することは簡単なのですが、また部を復活させることは本当に大変な作業なんです。川口市は野球処で有名な市なのですが、その川口市にある中学の野球部が1つなくなるということにかなり危機感を感じましたし、川口市内にある公立中の野球部の平均部員は12人。1学年だとチームが組めません。本当に大変な状況ですが、このままではさらに危機的な状況になってしまう。それをなんとかしたい思いでスタートしました」
野球人口増加プロジェクトの主な取り組みは
・サークルベースボール
・坊主の禁止
・父母会のお茶当番の廃止
の3つだ。
武田先生は野球は初心者にとって敷居が高く、気軽に取り組めない難しいスポーツだと思ったという。そのため子供たちにとっても、大人にとっても障壁となるものをなくしていったが、武田先生がその中でこだわっているのはサークルベースボールだ。サークルベースボールの対象者は小学生。
このサークルベースボールは、3人でできるもので、9人がいなくても楽しめるものとなっており、投手は打ちやすいボールを投げるなど、子供たちに打つ喜びを覚えてもらって、野球を始めるきっかけを作るのが狙いだ。
「こういう遊びの中で、少年野球に入るきっかけとなったり、また中学野球をやるきっかけになれば」と武田先生は語る。大人世代では9人揃わなくても、野球を遊びとしてごく自然とやっていたものだが、今の子供たちにはそれをやるきっかけもないのが実情で、そのことに危機感を覚えた武田先生をはじめとした川口市の中学の先生方が小学校へ呼びかけているのだ。
武田先生はこういう取り組みが全国にも広まってくれればと期待する。
「サークルベースボールのように独自にルールを決めてもらって、ぜひやっていただきたいですし、こういう取り組みによって少しでも野球が好きになる小学生が増えて、いずれ先のステージまで続けてほしいですね。今の子供たちに気軽に野球ができて、楽しめる環境が増えてくればと思います」
小学校、中学校の野球部員の減少はそのまま高校野球にリンクするだけに目を向けなければならない問題である。
今回、川口市の中学校の先生方を中心に取り組んでいる「野球人口増加プロジェクト」が、野球普及活動のモデルケースとなることを期待したい。