試合レポート

健大高崎vs東農大二

2013.04.29

健大高崎vs東農大二 | 高校野球ドットコム

先制スクイズを決めた健大高崎・高橋洋君

“機動破壊”健在、健大高崎与え続けたプレッシャーで攻略

 高崎市の有力私学同士の対決となった試合。
伝統校で古豪と言ってもいい東京農大二は、近年新たにグランドを増設して改めて強化体制を取っている。

これに対して健大高崎は、創部10年目の2011年夏に悲願の甲子園初出場を果たすと、翌春も出場を果たしベスト4に進出し、春季関東大会も制するなどすっかり強豪校の仲間入りをした新鋭校である。
そんな新旧の対決だけに、古くからの県内の高校野球ファンだけではなく、興味深い対戦となった。

すっかり、“機動破壊”という言葉とともに定着してきたのが健大高崎の機動力を生かした攻撃野球だ。この試合でも、それが十分に生かされていた。6盗塁という数字だけではなく、それ以上に走者が出ると相手守備陣に対するプレッシャーが強烈である。それは、先制点の入った2回にも示された。

この回先頭の5番大河原君が死球で出ると、走るぞ、走るぞ」ということを示していたのだが、東農大二の吉田君は次打者に初球を投げるまでに五度の牽制を投げた。それでも初球に盗塁を決め、バントで三塁へ進んだ。これだけでも、守備側としては非常に厭な気になるとともに、ダメージも大きかったはずだ。

そこを見透かしたかのように高橋洋君はスクイズを決めた。まさに、“機動破壊”でもぎ取った先制点だった。

さらに、4回にも4番宮下君がレフト前ヒットで出ると、バントで二塁に進み、二死となってから高橋洋君にライト前ヒットで本塁へ還った。これも、投手がやや打者に対しての集中が切れるくらいに塁上で牽制していたこともあった。こうした積み重ねが相手チームの守りを徐々に崩していくのである。


健大高崎vs東農大二 | 高校野球ドットコム 

健大高崎・高橋和君

それでも東農大二は5回、二死二塁から1番大河原君の二塁打で1点差とした。試合の流れそのものも分からなくなってきたのだが、終盤になって、再び健大高崎の機動力で与えてきたプレッシャーがボディブローのように効いてきた。

7回、健大高崎は先頭の高橋洋君がバントヒットで出ると、この試合で初めて公式戦先発出場したという田村君とのエンドランが決まって一、三塁となった。これも、プレッシャーがもたらしたものともいえるのだが、青柳博文監督が、「高橋和が投げると内野ゴロが多くなるので、守備がいいからということで起用した選手ですけれども、あそこでよくエンドランを決めてくれました」と言うように、起用に応えたことを喜んだ。

その後、四球で満塁になったところで、1番梅山 悟君がレフトへクリーンヒット。野手のファンブルもあって走者が一掃され、梅山君も三塁へ進み、その後スクイズで生還した。これで4点が入り試合そのものの行方もほぼ決する形となった。

健大高崎は、左腕の高橋和君が7イニング投げ、中山君、松野君とつないで抑えた。

敗れた東農大二は、6回までは何とか競り合って食い下がっていったのだが、7回のビッグイニングがあまりにも痛かった。前日には、1年生大会でやはり両校の対戦があったというが、その試合でも健大高崎が逆転で競り勝ったという。

今、群馬県の高校野球は健大高崎が作りあげた“機動破壊”野球が確実に核となっているという印象を改めて強烈にアピールした。青柳監督も、「昨年、春季関東大会で優勝しているので、とにかく優勝旗を全員で帰しに行こうということは、この大会の目標でしたから。あと一つは何としても勝ちたい」と、早くも次を見据えていた。

東農大二では、3番ショートで入っていた主将の周東佑京君のシュアアな打撃とフットワーク良いフィールディングが光っていた。

(文=手束仁

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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