岐阜第一vs県立岐阜商
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0対0のままの延長戦は11回、岐阜第一がサヨナラで県岐阜商を下す
延長11回を投げ切った岐阜第一・弘川君
東海4県の中で、コロナ対策のために県大会の開幕が遅れていた岐阜県。ここへ来て何とか4強が決まり、前日に準決勝。そして、この日で東海地区大会出場校を決める3位決定戦などで何とか翌週からの東海地区大会に間に合った。既に組み合わせは決まっており、この試合の勝者は3位校として初戦は愛知県2位校の至学館と当ることが決まっている。
近年、岐阜県の上位4校はほぼ安定しているが、この秋も定番と言っては何だが、結果的には常連の4校が残った。そして準決勝で敗れた岐阜第一と県岐阜商が3位決定戦を争い、岐阜第一は2年連続17回目、県岐阜商は3年連続37回目の東海大会進出を賭ける戦いとなった。
岐阜第一は弘川君、県岐阜商は井上君と、ともに背番号1の右上手投げ投手が先発。まずは無難な立ち上がりを見せた。弘川君は、タテの変化を巧みに使いながら緩いボールを巧みに使い分けながら、上手に打たせて取っていく。弘川君は140キロ近いストレートと変化球を駆使して緩急で抑えていく。こうして序盤は、両投手の投げ合いで試合は進んでいった。5回を終えて、県岐阜商は無安打、岐阜第一も2安打でチャンスらしいチャンスもなかなか作れていないままだった。
県岐阜商は6回、先頭の9番井上君が左越二塁打して、初安打を放ちこれで先制機になるかと思われたが、岐阜第一の高橋翼捕手が鋭い牽制で飛び出した井上君を刺して県岐阜商の攻撃の芽を摘み取った。打順が一番に回ったところだっただけに県岐阜商としては痛い牽制死でもあった。
どちらも、なかなかチャンスさえも作り切れないという展開のまま、スコアボードには14個の0が並んだ。8回には、県岐阜商が先頭の6番小林凛人君の安打で出るも、またしても牽制死。しかし、村木君も左前打し四球もあって二死満塁とする。何らかの形で1点がほしい県岐阜商だったが、岐阜第一の弘川君は何とか凌いだ。そして、その裏の岐阜第一も3人で終わり、0行進は続く。
結局、0対0のまま延長戦に突入。9回を終わって共に4安打で、三塁へ進んだのは県岐阜商が2回の二死二、三塁のみ。岐阜第一は二塁へさえも進められていなかった。試合の流れとしては、わずかに県岐阜商がリードしているような印象でもあったが、ほぼ互角と言っていいであろう。攻撃としては、どちらも決め手を欠いているとも言えようが、それよりも両投手の踏ん張りが評価されていい内容だった。
こうして迎えた10回、県岐阜商を三者凡退で抑えてその裏の岐阜第一。四球と、一死後7番今井君の中前打で一死一三塁。岐阜第一は、この試合で初めて三塁まで走者を進めた。ここで、岐阜商鍛治舎巧監督は、申告敬遠で満塁として後続勝負を選択。それが功を奏して、井上君が140キロのストレートなど、渾身の力で2人を打ち取った。スコアボードには20個の0が並んだ。
11回、今度は県岐阜商が死球と右前打で二死一三塁という場面を作る。しかし、ここは岐阜第一の弘川君が気迫の投球を見せて三振で切り抜ける。
そしてその裏、岐阜第一は先頭の2番熊谷君が右中間へ二塁打を放つ。岐阜第一ベンチはすかさず代走を送って勝負を賭ける。小澤君は申告敬遠で無死一二塁。4番福井君はきっちりと送るがこれが相手失策を招いて、岐阜第一としては願ってもない無死満塁。ここで、5番高橋君が内角の球を狙い打つかのようにスイングして三遊間を破り、サヨナラ打となった。
緊迫の1点差試合。何とか制した岐阜第一の田所孝二監督は、「なぜか、これで3位決定戦は負けなしで、東海大会へ行かせてもらえることになりました」と安堵していた。「弘川が、あと1イニング投げたらおそらく球数制限に引っかかるだろうというところだったんですけれどもね。だから、11回はここで決めェと言ったら、本当に何とか勝ちきれました。本当は10回で決めたかったんですが、スクイズ空振りしたりしましたからね。ただ、それがあったんで11回に高橋に対して初球ウエストしたと思うんです。それがあって、1球余裕ができて、11回の高橋の一打に繋がったかな」と苦しい展開の試合を振り返っていた。
県岐阜商の鍛治舎監督は、「よく頑張ったと思う。お互いがベストを尽くして、高校生らしいいい試合だった」とまずは、緊迫の試合を戦ったことを評価した。そして、「確実にプレーしていかないといけないところは、きちんとやっておかないとね。特にこういう試合では」と、若干のミスを悔いた。それでも、「ケガ人が多い中で、起用した1年生が、これを経験としてまた成長していって欲しい」と、早くも意識を来季へ向けていた。
(取材=手束 仁)
延長で敗れはしたものの、力の投球を展開した県岐阜商・井上君
岐阜第一・小澤侑二郎君
岐阜第一・福井一颯君