国士舘vs開成
コールド勝ちにも厳しい表情の永田監督。清水と常盤を軸に都大会に臨む。
好投を見せたリリーフの常磐育弘(国士舘)
国士舘グラウンドで行われた秋季東京都大会一次予選。国士舘と開成の代表決定戦は、国士舘打線が力を見せて13対0の5回コールドで都大会進出を決めた。
2回に先制点を挙げて、その後も着実に追加点を重ねて14得点。投手陣も3人の投手が登板して5イニングで計1失点と、表面的な試合内容だけをみれば盤石の戦いのようにも思えるが、永田監督の表情は厳しい。
記録に残らない守備のミスや走塁のミス、また打撃でも強引に引っ張るような打撃や意図の見えぬ打撃も見受けられ、現時点での完成度は経験豊富な選手たちが多かった前チームよりも大きく劣るだろう。
「守備は35年やってきて一番悪いです。都大会3連覇が懸かっていますが、正直そんなレベルではありません」
その中で永田監督が要として期待する選手が、捕手の清水武蔵だ。元々内野も守れる選手で、前チームでも試合に出場していた清水。
この日は4番として2打数2安打をマークし、捕手としても冷静なリードと指示出しを見せた。スローイングには課題を残すが、永田監督も「野球をよく知っている」と評価しており、チームを牽引する活躍が求められる。
また3回から登板したエースの常盤育弘も、チームを牽引する活躍が求められてくるだろう。
この日は開成の奇襲により、ホームスチールで1点を失ったが、投球自体は危なげないもので2イニングをしっかりと投げきった。
4番・捕手の清水武蔵(国士舘)
永田監督は「調子はまあまあです。クセ球が特徴で、強豪が相手でも7回くらいまではしっかり抑えてくれると思います」と話しており、都大会でも好投が期待される。
常盤自身も「今日はスライダーの時に腕が振れていませんでした。3連覇が懸かっているので、都大会までに修正したいと思います」と語り、次戦に向けて気持ちを引き締めた。
都大会ではどんな投球を見せるのか注目だ。
一方、敗れた開成。
青木監督も、永田監督と同様に「例年と比べるとチームの力が無いことがわかりました」と厳しい状況を口にしたが、それでも試合の中で開成らしい工夫が随所で見られ、決して悲観する試合内容ではなかった。
打席の中では、多少ボールでも「どんどん振っていけ」と青木監督の指示が飛び、また4回表には、一死二、三塁の場面で三塁ランナーの吉田大祐がホームスチーム決めて、奇襲を見事に成功させる。
青木監督は「点差がついた中で、国士舘さんのようなチームから点を取ろうと思えば、普通でない方法でやるしかありません。じっとしても何も起こらないので、選手にも『自由であること』を強制しました」
それでも、守備の乱れから失点を重ねる中で、投手陣は我慢強く投げ続けたことは収穫だろう。これから春にかけてどこまで成長を見せるのか注目だ。
(記事=栗崎 祐太朗)