試合レポート

東海大菅生vs二松学舎大附

2018.10.20

優勝候補同士の緊迫の投手戦!東海大菅生、石井の犠飛で勝ち越す

東海大菅生vs二松学舎大附 | 高校野球ドットコム
東海大菅生・中村晃太朗

 優勝候補同士が早くも3回戦で激突した。ともに強力打線の両チームだけに、「点の取り合いになると思っていました」と東海大菅生の若林弘泰監督が言うように、打ち合いが予想された。

 しかし、東海大菅生中村晃太朗二松学舎大附海老原凪と、ともに湘南ボーイズのチームメートであった先発の左腕が、「中学の時、同じチームだったから、絶対に負けなくなかったです」と、東海大菅生の中村が言うように、2人が火花を散らした、白熱の投手戦になった。

 1回表二松学舎大附は、今大会当たっている右田稜真が三振するなど三者凡退で終わった。東海大菅生ベンチは、これで手応えを感じた。しかし二松学舎大附の海老原も、東海大菅生の強力打線に対し、5回までは1安打1四球に抑えて、付け入る隙を与えない。

 まず先制のチャンスをつかんだのは、二松学舎大附であった。6回表この回先頭の9番、好投の海老原が中前安打で出塁すると、1番・野村昇太郎のバントは内野安打になった。

 しかし続く有馬卓瑠が初球を見逃すと、二塁走者の海老原が飛び出しており、東海大菅生の捕手・小山翔暉の素早い牽制で刺された。二塁走者が投手ということもあったが、小山は肩が強いうえに、送球の動作が素早かった。

 二松学舎大附はチャンスがついえたかと思われたが、有馬の打球は、右翼への低い打球。東海大菅生の右翼手・石井拓夢がダイレクトで捕球したか微妙であったが、判定はノーキャッチで、二塁打となり一死二、三塁。

 3番・右田の二ゴロで野村が生還し待望の1点を挙げた。ただ、小山が二塁走者を刺したこともあり、二松学舎大附の得点が1点止まりであったことが、東海大菅生にとっては幸いした。

 二松学舎大附・海老原の好投で、攻撃の糸口を見いだせないでいた東海大菅生であったが、7回裏この回先頭の3番・小山が四球で出ると、4番・杉崎成の中前安打、5番・成瀬脩人の左前安打と続き、同点に追いつく。さらに6番・中村洸星の送りバントで二死二、三塁とした後、6番・石井がしっかりと右犠飛を打って、東海大菅生が一気に逆転した。

 2回戦の桜美林戦では、四死球を多く出し、不本意な投球であった東海大菅生中村晃は、「前回、情けないピッチングをしたので、この1週間、しっかり調整してきました」と語るように、伸びのあるストレートに、カーブ、スライダーなどの変化球を効果的に決めて、二松学舎大附打線を抑える。中村晃の好投とともに、この試合では、捕手の小山のリードも光った。

 「今日は褒めました。これまではバッターやピッチャーを見ないで、ワンパターンのリードをしていました」と、東海大菅生の若林監督は語る。



東海大菅生vs二松学舎大附 | 高校野球ドットコム
二松学舎大附・海老原凪

 中村晃は、9回表も二松学舎大附打線を三者凡退に抑え、2-1で東海大菅生が優勝候補対決を制した。試合時間はわずか1時間35分。
 二松学舎大附の安打は7本、東海大菅生の安打は5本という、最近では珍しい非常にコンパクトな試合であったが、両チームの守備も素晴らしく、中身の濃い試合であった。それだけに3回戦で当てるのは、あまりにもったいなく、二松学舎大附も、甲子園を目指す力は十分にあるチームであった。それでもこの敗戦が、二松学舎大附をさらに強いチームに導くのではないだろうか。

 新チームになってから、自慢の打線で打ち勝ってきた東海大菅生であるが、こうした守り合いでも勝てたことは大きな収穫であった。これで東海大菅生は優勝候補の筆頭に躍り出た感じだが、「次の岩倉はピッチャーの宮里君もいいし、侮れません」と若林監督は、気を引き締めていた。

(文=大島裕史

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.05.13

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在29地区が決定、愛媛の第1シードは松山商

2024.05.13

大阪桐蔭、山梨学院、慶應義塾…強豪校・名門校の昨年度卒業生はどの進路を歩んだのか?【卒業生進路一覧】

2024.05.13

【仙台六大学】“投手王国”にまたひとり…リーグ戦初登板初先発の東北福祉大・柴田由庵が史上15人目ノーヒットノーラン達成!

2024.05.13

【首都大学】14季ぶりリーグ戦優勝の帝京大のエース左腕・榮 龍騰は「絶対にマウンドを譲りたくなかった」ストレートを軸にした投球で前回対戦の悔しさ晴らす11奪三振快投!

2024.05.13

「その指導で、子どもは本当に野球を楽しむことができていますか?」――教育者・工藤勇一さん【『新しい高校野球のかたち』を考えるvol.3】

2024.05.08

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.05.13

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在29地区が決定、愛媛の第1シードは松山商

2024.05.09

プロスカウトは190センチ超の大型投手、遊撃手、150キロ超右腕に熱視線!この春、浮上した逸材は?【ドラフト候補リスト・春季大会最新版】

2024.05.09

【熊本】九州学院は城北と文徳の勝者と対戦<NHK旗組み合わせ>

2024.05.09

「指導者はどこにいる?」九里学園(山形)が 選手主体の”考える野球”で成果着々

2024.04.21

【愛知】愛工大名電が東邦に敗れ、夏ノーシードに!シード校が決定<春季大会>

2024.04.22

【春季愛知県大会】中部大春日丘がビッグイニングで流れを引き寄せ、豊橋中央を退ける

2024.04.29

【福島】東日本国際大昌平、磐城、会津北嶺、会津学鳳が県大会切符<春季県大会支部予選>

2024.04.22

【鳥取】昨年秋と同じく、米子松蔭と鳥取城北が決勝へ<春季県大会>

2024.04.23

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?