試合レポート

大阪桐蔭vs大阪商大堺

2018.05.07

大阪桐蔭が大阪商大堺に完封勝利、8強進出!

大阪桐蔭vs大阪商大堺 | 高校野球ドットコム
先発 横川凱(大阪桐蔭)

 今春のセンバツで全国優勝を果たした大阪桐蔭の5回戦の対戦相手は、昨秋8強の大阪商大堺。背番号1の横川は四球を出しながらも要所を締めて完封、打線は序盤に先制して中盤、終盤に追加点を挙げる盤石の攻撃で、危なげなく準々決勝へと駒を進めた。

 両校の対戦としては2015年度秋季大会の決勝戦が記憶に新しい。同試合で大阪商大堺はエースではない変則投手を先発させる奇策を用いて大阪桐蔭と観衆を驚かせたが、今日の先発は正攻法で背番号1の田中心。球速はそれほど出ないが、低めに集めてコースを投げ分ける制球力があり、変化球も切れる。今日も全国トップレベルの大阪桐蔭打線を相手に2ストライクまで追い込む場面は多々あったのだが決め手に欠け、粘投するが四球や被安打により失点を重ねる結果となった。

 まずは1回表。1番・青地斗舞、2番・宮本涼太を打ち取った2死から、強打者の3番・中川卓也は右安。4番・根尾昂、5番・山田健太に連続四球を与えて満塁となったところで、6番・石川瑞貴の打球は遊撃手正面への強いゴロ。これが走者と重なり難しい処理となって遊撃手・古川が後ろへ逸らしてしまい、2点を先制された。2回表にも先頭の8番・飯田光希の三塁打、9番・横川凱の右安と続き1点追加。さらに5回表には、3番・中川、4番・根尾から連続三振を奪いながらも、四球と6番・石川の適時二塁打で1点を失う。

 大阪桐蔭の先発は今大会で背番号1を背負っている横川。大柄で左上手投げから勢いのある直球を投げ込む、潜在能力抜群の投手であり、ここに緩い変化球を織り交ぜることでさらに効果を増す。課題があるとすれば制球力で、今日も9回を投げて7奪三振完封したものの7四球。独り相撲と言えば言い過ぎかもしれないが、得点圏の走者にはほとんど横川の四球が絡んでいる。これ以上に強力な打線を相手にしたら自滅していた可能性も否めない。


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大阪桐蔭ナイン

 試合結果は、両校とも大きなミスがあったわけではなく、実力差が反映された5対0だったのではないかと思う。

 大阪桐蔭はやはり強い。完封勝利の横川をはじめ、センバツで背番号1を付けていた柿木もいれば、ユーティリティプレイヤーの根尾もいる。打線は今日も3番・中川、6番・石川、8番・飯田は複数安打を放っており、本来ならば藤原恭大宮崎仁斗といったセンバツを湧かせたメンバーも加わることになる。大阪桐蔭のヒットエンドランには定評があるが、8回表の7番代打・石井雄也、8番・飯田の連打は、二遊間が二塁に寄らなくてはならない状況での三遊間を突いた左安であった。8強に進出した残り7校には、攻守ともに大阪桐蔭を攻略できるかどうかが問われる。

 

 一方の大阪商大堺は、昨秋と比べて走攻守ともにかなり強化されている。グラウンド整備後の6回表に、大幅な選手交代があったが、背番号2桁の選手も含めて、いわゆる「二軍」ではなく、違ったタイプの正選手なのだという印象を受けた。例えば、強打の5番・三好に代わった背番号13の田尾。6回裏の犠打こそ失敗したものの、1盗塁、1安打の結果を出している。また9回裏に代打で出場した牧野は二塁打を放っている。個々の能力よりもチーム全体で勝ちにいく野球が、今年の大阪商大堺には感じられる。

 課題があるとすれば、一つはエース田中心の決め球。打者を追い込んでから三振か凡打に仕留められる球が一つは欲しい。攻撃面で目立ったのは走塁のミス。1回裏の大飛球は、捕球したのか落球したのか判断できなかったので仕方ないが、7回表の中安のとき一塁走者・大林は三塁を陥れるべきだった。さらに、9回裏無死満塁からの一塁走者・田中健は明らかに暴走である。また格上の投手と対戦した場合に本塁打で勝負を決めることは難しい。一発のある打線であることは今大会でも証明されているが、場面に応じて逆方向への単打など、もう少し巧みな攻撃ができるようになれば、今日も無得点という結果にはならなかったかもしれない。

 大阪桐蔭は春夏連覇に向けて、大阪商大堺は悲願の全国大会出場に向けて、夏までの限られた時間を勝てるチーム作りに捧げ、選手権大会では一つも二つも成長した姿を見せてくれることに期待している。

(文=西村結生/写真= 中谷明

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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