試合レポート

東海大相模vs静岡

2018.03.30

小さなミスを逃さなかった東海大相模がベスト8一番乗り

 第90回選抜高等学校野球大会の7日目。第3試合は今大会最初の3回戦。初戦で聖光学院(福島)を12対3で下した東海大相模(神奈川)と、7対0で駒大苫小牧(北海道)を下した静岡(静岡)が対戦した。

 初戦は12安打12得点で大勝した東海大相模と13安打で7得点を奪った静岡。どちらも打撃が好調のなか、初戦で4安打完封劇を演じた静岡のエース・春 翔一朗(3年)と今大会初登板となる東海大相模の左腕・野口 裕斗(2年)の両先発が、どこまで相手打線を封じられるのかが焦点となった。

 1回表、静岡の先発・春はスライダー、チェンジアップといった得意の変化球を低めに集め、小松 勇輝(3年)をファーストファウルフライ、山田 拓也(3年)をセカンドゴロ。そして、注目の強打者・森下 翔平(3年)は内角寄りのストレートでセカンドゴロに抑え、無難な立ち上がりを見せた。
 しかし、2回表、梶山 燿平(3年)に四球を与えると、犠打と盗塁で二死三塁。ここで7番・渡辺 健士郎(3年)に対し、外角を狙ったチェンジアップが甘く真ん中に入ってしまい、ライトへポール直撃の2ランホームランを浴びてしまう。さらに、4回表には4番・上杉 龍平(3年)にセンター前、6番・後藤 陸(3年)にはレフト前にヒットを打たれると一死一二塁から、またも渡辺に一二塁間を破るタイムリーヒット。その後、内野手にエラーも出て4対0とリードを広げられ、春はこの回で降板となった。

 東海大相模の野口は初回、内野ゴロ2つで2アウトを取ると、3番・齋藤 來音(2年)には得意のカーブをアウトローに決めて空振り三振。2回裏は4番・成瀬 和人(3年)のセンターに抜けようかという打球を遊撃手の小松が難しい体勢からのスローイングでアウトにし、続く木下 将吾(3年)のサード強襲安打に対しても小松が素早くバックアップに入って二塁を狙った打者走者を刺すなど、好守に助けられ3人で片付けた。

 しかし、5回裏、レフト前ヒットの小林 晃輝(3年)に盗塁を決められるなど、二死二塁とされた場面で急に制球を乱してしまい14137(3年)、山本 貫太(3年)に連続四球。そして、1番・村松 開人(3年)にも3ボール1ストライクからストレートがアウトコース低めに外れて押し出し。さらに2番の黒岩 陽介(3年)に対しても、ボールが2球先行するが、そこからストレート2球で2ボール2ストライクまでカウントを戻すと5球目のスライダーで黒岩をサードゴロに打ち取り、追加点は許さなかった。

 中盤は静岡の二番手・鈴木翔に対し、チャンスを作りながらも得点できなかった東海大相模は8回表、エラーで出塁した梶山を盗塁と送りバントで三塁へ進めると、この試合の打のヒーロー・渡辺がライトへ犠牲フライ。さらに、佐藤 暖起(3年)、小松にも長打が出て、この回3点を挙げ、ダメ押し。9回にも後藤のタイムリーで1点を追加した東海大相模が8対1で静岡を下し、ベスト8、一番乗りを決めた。

 東海大相模は先発の野口が大きなカーブとキレのあるストレートで7回途中まで4安打1失点に抑えると、二番手の浅海 大輝(3年)も1回2/3を無失点。初戦は登板機会がなかった2投手で9回途中までつなぐと、最後はエースの齋藤 礼二(3年)で締める磐石のリレーで投手層の厚さを見せつけた。打線は森下がノーヒットに終わったが、4打点の渡辺の活躍もあり12安打8得点の快勝。2試合連続の2ケタ安打も記録した。

 静岡は初戦ノーエラーだった守備に綻びが出て3失策。その他にも記録に表れない細かなミスもあり、東海大相模につけこまれてしまった。攻撃面を見ると打線は散発6安打。盗塁は2つ決めたが、持ち前の機動力を使う機会も少なく、攻守共に精彩を欠いてしまった。そして、最も痛かったのは5回裏の1点を返した直後、さらに二死満塁のチャンスを生かせず、制球に不安を見せていた野口を捕まえきれなかったこと。あの場面でもう一押しできていたら、終盤の展開が変わっていた可能性もあるだけに静岡としては悔いが残る。

(文=大平 明

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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