試合レポート

習志野vs千葉日大一

2016.08.23

習志野 好投手・吉崎を攻略!2011年のようなチームを目指せるか?

習志野vs千葉日大一 | 高校野球ドットコム

2安打を放った吉野海都(習志野)

 一次予選で注目カードとも言っていいカード。この夏、成田戦で好投を見せた吉崎圭亮、夏の経験者が多い習志野。吉崎がどこまで習志野打線にどこまで通用するか、注目されたが、勝負は序盤で決した。

 習志野は1回裏、いきなり1番藤田の中前安打、2番小安 泰雅(2年)の四球、3番石田瑛平(2年)の三塁内野安打で2無死満塁のチャンスを作り、4番吉野海都(2年)が左前2点適時打を放って2点を先制すると、5番菅谷友紀(2年)の適時打で3対0.さらに2回裏にも二死から2番小安の左中間を破る三塁打。3番石田の四球で二死一、三塁のチャンスを作ると、そして4番吉野が甘く入ったスライダーを捉え、適時二塁打が飛び出し、5対0とする。そして3回裏には押し出しで1点を追加した。

 ここまで見ての習志野打線の印象だが、
・吉崎の速球、変化球をしっかりと見極め、ファールで球数を稼いでいること
・ヘッドスピード、打球速度の速さが新チームとは思えないほど高いレベルに達している
 吉崎だが、130キロ~135キロ前後のストレートを意図的にシュート回転させたり、スライダー、カーブを投げたりとこの時期にしてはハイレベルな投球を見せていた。だが習志野はストレート、スライダーなど徹底的に粘る。吉崎は上手く打ち損じを誘って打ち取るタイプなのだが、習志野打線は吉崎の持ち味を消す打撃ができていた。

 後半、吉崎は早めに追い込んで、スライダーを投げて打ち取るパターンで立て直しを見せていたが、横の変化が中心なのが課題であり、まだストレートの走りが今一つなのを習志野打線が見逃さなかったということだろう。


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吉崎圭亮(千葉日大一)

 そしてどの選手も体つきがしっかりしており、腰周りが太い。強い打球を打てる選手はまず下半身がどれだけしっかりしているかであるが、習志野の選手は体つきが他校と比べてもがっしりしており、好打者タイプの選手がしっかりと振れるのだからチームとして徹底できるということだろう。

 最後は無死一、三塁から3番石田の中犠飛でサヨナラ勝ちを収めたが、攻撃面でまさに隙がない。

 打者で目立ったのは2番小安 泰雅と4番吉野海都。小安はキレの良い内野守備と好打者とは思えないぐらいの打球速度を誇る。習志野らしい強い打球を打てる俊足巧打の内野手で、今後、ますます注目が集まる選手だといえる。吉野は4打点を記録したように、勝負強さが戻ってきた。投手が投げ込むボールに対して、しっかりとコンタクトできるようになり、2回裏に甘く入ったスライダーを見逃さず、左越え二塁打を放った打球速度はやはり県内屈指の右打者として推していいものであった。

 そしてエース石川水都は1番海野に2本の二塁打を打たれたのみで、130キロ前後の速球、カーブ、スライダーをきっちりと投げ分け、2安打完封。コントロールが抜群で、直球と変化球のコンビネーションは見ていて隙がなく、何より外角へ狙い通りに投げるコマンド能力が素晴らしい。三振は12個を数え、秋の段階ではなかなか打ち崩しにくい技巧派右腕であった。甲子園で勝てる投手はコントロールが良く、そして強気に攻める姿勢が備わった投手だったが、今日の石川はまさにそれが備わっていた。これで夏に背番号1をつけていた関口諒、侍ジャパン入U-15代表経験のある佐藤 将聖も今後、浮上するだろう。

 投打で圧倒した習志野。このままいけば、県内でも上位ランクに入るチームだが、そう簡単にいかないのが千葉県である。どんな相手が来ても寄せ付けない圧倒的な力を付けることが夏までの課題となるだろう。

 カムバック2011年。そんなチームを目指せる潜在能力は持っている。

(文=河嶋 宗一

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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