試合レポート

実践学園vs創価

2011.04.08

実践学園vs創価 | 高校野球ドットコム

久保嶋を迎えるナイン

堅守が呼んだ逆転劇! 

実力校同士の対決。桜美林、早大学院を破った実践学園とマックス146キロ右腕・吉本祥二を攻略した創価高校の対決だ。今日は強風が吹き荒れており、打球判断が難しくなっている。この強風が吹き荒れるようにこの試合も荒れる試合になるのではないかと予感させた。

そして試合は1回から動く。
1回の裏、創価高校を実践学園の先発三竹を襲う。二死から3番小松、4番井上の連続四球から5番柿沼の左中間を破るツーベースで創価が先制。6番篠原が歩いて満塁となって7番鷹家が振り抜いた打球はレフトスタンドへ飛び込むグランドスラム! 一挙に5対0とした。
ここまでは創価高校は持ち前の打撃力を見せ付ける。コンパクトなスイングからライナー性の打球を飛ばす打撃を見ると吉本を打ち崩せたのも頷ける。創価の打撃が三竹の投球を上回っているのではという思いになった。しかし三竹は二回以降に立ち直る。

3回の表、実践学園が反撃。3番久保嶋がストレートをフルスイング。打球は左中間スタンドへ飛びこむホームラン! 
逆風をものとせずスタンドへ打ちこんだ。さらに4番田村がセンター前ヒット。5番鹿嶋がライト前ヒット。鹿嶋の打球をライトが弾き、打球はフェンス際まで転々。この間に田村が還り5対2とする。

 しばらくは試合がこう着。実践学園の堅実な守備が要所で光り、創価打線に追加点を与えない。創価先発の小松もテンポの良い投球で実践学園打線を抑え込んでいた。
 そして7回の表、ワンアウトから2番下村がショートへ内野安打。3番久保嶋が死球で歩き、ワンアウト1,2塁となって4番田村が空振り三振に倒れ、ツーアウトから鹿嶋が右中間を破る三塁打で二者生還し、5対4の1点差に。続く新村のショート内野安打で同点に追いつき、7番信太のライト前ヒットで1,3塁と勝ち越しのチャンス。8番宮地の場面で創価バッテリーが痛恨のパスボール! 新村がホームインし、実践学園が勝ち越し!最大5点差から逆転した。


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試合シーン

点を取った後の7回の裏。両チームにとっても大事なイニングだ。
創価は8番篠原が死球で出塁。9番安藤はバント。強い当たりとなり処理にいった三竹は二塁へ送球したが、送球は逸れてオールセーフ。無死1,2塁となる。創価は大チャンス。1番の河村がバントを試みるが、三竹が反応よく処理し、三塁へ送球。フォースアウトとなりワンアウト1,2塁となる。創価にとっては痛いバントミスだが、それ以上に三竹の動きが素晴らしかった。これも勝利による執念と日頃の鍛錬の成果か。創価は2番鈴木がレフト前ヒットを放ち、ワンアウト満塁という絶好の場面で3番小松にまわる。しかし小松は打ち上げてファーストファールフライに終わり、二死満塁。しかし4番井上が打席に入り、実践学園は苦しい場面が続く。

実践学園は井上と勝負をしなかった。打者をアウトするのではなく、ランナーをアウトにする事を選択した。三竹は二塁へ牽制。虚を突かれた二塁ランナーは戻ることができずにタッチアウト! 創価は同点のチャンスが潰える。創価の反撃を封じた実践学園ナインは大喜び。試合が終わっていないのに抱き合っている選手もいる。そして9回の裏、実践学園創価の反撃を振りきりゲームセット。逆転勝利で準々決勝に進出した。

またも堅守が逆転劇を呼んだ。先日の早大学院戦で実践学園の守備力の高さを評価したが、この試合でも随所に堅守が光り得点を防いだ。
内野手は全員の肩が強い。だから深い位置に守ってもアウトにすることができている。そして前の打球には攻撃的に。
外野手は風を計算しながら動くことができており、惑わされることもなく捕球することができている。もちろん外野手の肩も強い。
驚かされるのはレギュラー選手の多くは160センチ後半~170センチ前半。180センチに達しているのは鹿嶋、堀江、田村の3人だけ。
でも肩が強くてパワーもある。どんなトレーニングを積んでいるのか想像できないが、小柄な選手が多いからといって舐めないほうが良い。
まさに「山椒は小粒でもぴりりと辛い」という表現がぴったりだ。


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久保嶋 光希(実践学園)

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ショート久保嶋 光希(右/右 165センチ65キロ 遊撃手)は堅守の実践学園を支えるショートストップだ。
ここ2試合から実に動きの良いショートだと思っていたが、この試合でバックスクリーン横の本塁打を放つなど打撃面でアピールしたので取り上げていきたい。スタンスはスクエアスタンス。グリップはやや下げて構えている。トップを深く取っていき、振り出していく。深くトップを形成することにより強い打球を生み出しているのだろう。腕が伸びきったところに入るととにかく飛ばしていく。ただグリップが入りすぎるのでインコースは捌きづらいか。
そして守備である。彼の守る位置は人工芝の位置にいる。普通のショートに比べて守る位置が深い。だが彼は刺せるのだ。矢のような送球がファーストに突き刺さる。
そして動きも抜群で、打球に対する反応も速いし、クイックスローもできている。小柄であることを気にさせない守備力の高さで間違いなく上のレベルで続けられる技量を持っているだろう。守備センスの高さは東京都でも5本の指に入るのではないだろうか。

創価のエース小松 貴志(右/右 173センチ74キロ 3年生)は昨年から130キロ後半を記録し、更なる上積みを期待していたが、本日の球速は135キロ前後と少し物足りなさを感じた。打撃も弧の大きいスイングから繰り出す打球は魅力的だが、この試合では不発。彼が本格化するのはいつなのか。楽しみな選手である。

(文=編集部:河嶋宗一

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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