試合レポート

辻vs美馬商

2010.07.14

2010年07月13日 オロナミンC球場  

辻vs美馬商

2010年夏の大会 第92回徳島大会 1回戦

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重田剛志(辻)

監督と選手の「夢」重なった12年ぶりの歓喜

辻が毎回安打、毎回得点となる16安打18得点で5回コールド勝ち。2回の7得点、5回の6得点はいずれも2死からあげるなど、追い込まれた状況においても平常心のプレーが光った。一方、選手10人の美馬商は現状の実力を全力で出し切ったが、先発・重田剛志(3年)から2安打を奪うに留まった。

試合後、歓喜に沸く選手たち。そして彼らの横で「小学校、中学校で野球経験のない選手も入る中、生徒がよくやってくれた」と話す・高井正善監督は様々な想いのこもった感慨深げな表情を見せていた。

高井監督は高校時代、小松島西のエースとして第60回選抜高等学校野球大会に出場。その後も駒澤大学で活躍し、社会人でも徳島県庁の徳島サーティーズのエースとして国体優勝など15年間軟式野球界で数々の栄光を手にしてきた。そんな彼が「高校野球の監督をどうしてもやりたい」と一念発起して実習助手採用試験を受験、監督就任2年目にしてはじめての公式戦1勝だった。

そして選手たちの側にもどうしても勝ちたい理由があった。実は大会前、高井監督は頚椎ヘルニアの症状がノックを打てない状態にまで悪化し20日間にわたり入院。それでも無理をおして大会前に復帰した「厳しいときもあるが、人のためになることを教えてくれる」(3年生エースの重田剛志)人生の師に報いるには、「後悔なく思いっきりやってこい」と送り出してくれた高井監督の期待以上の結果を残す必要があったからである。

かくして美馬商に集中打を浴びせ12年ぶりに夏1勝をあげた。ともすれば強豪校、ドラフト候補選手ばかりがクローズアップされがちな高校野球ではあるが、その傍らではこのような小さな歓喜が全国津々浦々で生まれているのだ。

(文=寺下 友徳


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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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