国分vs奄美
昨夏のリベンジ、果たせず・奄美
昨夏に2点差で敗れた国分に挑んだ奄美だったが、1点差で惜敗だった。
初回の3失点が重かった。連続四球とフィールディングミスで招いたピンチを、しぶとくものにされた。2回以降はエース藤﨑叡（3年）が立ち直り、打線も3、5回と好調の2番・森下大（2年）がセンター前タイムリーを放って１点ずつ返したが、得点した直後に失点し、3点差がなかなか縮まらなかった。
「辛抱だぞ！」と前園昌一郎監督はベンチで言い続けた。
ナインも誰一人あきらめなかった。その想いは9回に結実する。先頭の代打・板垣倫平（3年）がレフト前ヒットで出塁すると、泊順也主将（3年）の意表を突くセーフティーバントがエラーを誘い、無死二三塁のビッグチャンスを作った。
泊主将が「ここでバントしたら面白い」と直感できたのは、これまでの練習試合や練習で何度もやってきたプレーだったからだ。好守で再三のピンチをしのいできた9番・本田政博（2年）が2点タイムリーを放つ。どんな劣勢でも、終盤粘って見せ場を作る奄高野球の真骨頂だった。
昨夏の2点差が、1点差に縮まったところに奄高ナインの成長がある。立ち上がり雰囲気にのまれて劣勢を強いられても、気持ちを切り替えて最後まで野球をやり切れるたくましさを身につけた。だが「追いつき、追い越すことができなかったのは何かが足りなかった」と前園監督。目をそむけてはいけない現実があることも思い知らされた。
(文=政 純一郎)
