試合レポート

三島vs帝京第五

2011.04.09

三島vs帝京第五 | 高校野球ドットコム

サヨナラ勝ちに歓喜の三島ナイン

“「レーザービーム」輝いた三島、26年ぶり四国大会を手に!”

10回裏1死1・2塁。女房役の谷口洋平(3年)が「試合前のブルペンから魂が入っていた」と語ったサウスポー・井上和紀(3年)が投げ込む気迫の投球。
これに対し、「絶対打ってやると思った」奥定宏章(3年)が捕えた打球がセンターへ抜けていった瞬間、一塁側の三島ベンチは蜂の巣を突いたような大騒ぎとなった。

これまで132球を投じ、帝京第五打線の前に立ちはだかったエースに「男の勝負」のご褒美として与えられたサヨナラヒット。
それは同時に三島を26年ぶり2度目の春季四国大会に導く貴重な一打となったのだ。


三島vs帝京第五 | 高校野球ドットコム

石川翔太(三島)

そしてその歓喜の輪の中にあったのが、「背番号20」の石川翔太(3年)である。
伊予三島リトルシニア3年時は3位に輝いた関西夏季大会で優秀選手に選出されるなど、中学硬式野球界にその名を知られていた石川翔。今大会においては俊足巧打の1番ショートストップ・髙橋正龍、4番主将の三好智大、5番センターの野崎太一、6番左翼手として大当たりの仁野智貴ら多くのチームメイトと共に進んだ三島では、主に「1番・右翼手」として定位置を確保しつつも、やや輝きを失っていた彼であったが、この試合では鈴木一宏監督が「守備のヒーロー」としてあげるほどのビックプレーを連発した。

まずは3回、2点タイムリーと思われた2点目をバックホームで阻止して傷口を最小限に留めると、1点リードで迎えた7回にはタイムリーを阻止するバックホームで帝京第五の攻勢を同点止まりに。
さらに圧巻だったのは10回1死満塁、絶体絶命のピンチの場面だった。
7番・嬉野智哉(3年)が自分の前に落とした打球を拾うや否や、彼は一目散にホームへ返球。ボールが直前に来るまでキャッチャーミットを下げていた泰泉寺大地(3年)による「アドリブ」(石川翔・談)の名演技も手伝い、3塁ランナーはホームフォースアウト。この『ライトゴロ』はその裏、冒頭に紹介したサヨナラヒットに直結していったのである。

「練習からいつも連携をノーミスにして、ライナーで強いボールでのストライク送球をすることを心がけている」と石川翔。正に彼の真骨頂を発揮した3捕殺「レーザービーム」。それは「映画『書道ガールズ』からの学校の勢いに乗った」指揮官の謙遜とは異なる確かな努力の賜物であったと言えるだろう。

(文=寺下友徳

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.05.27

【鹿児島NHK選抜大会】出水工が延長に及ぶ激戦を制して、サヨナラ勝ち

2024.05.28

春の福岡地区を制した沖学園(福岡)、勝利のカギは異例の「決勝直前沖縄合宿」だった

2024.05.28

【鹿児島NHK選抜大会】川内商工が2試合連続逆転サヨナラ勝ち!雨のため2試合が継続試合

2024.05.27

【鹿児島NHK選抜大会】樟南vs鹿児島商 かつて「御三家対決」は、樟南が逆転勝利!

2024.05.27

【鹿児島NHK選抜大会】鹿児島実が大島に完封勝利

2024.05.22

【春季関東大会】センバツVの両エース打ちで勝利に貢献!逆転タイムリー放った池田翔吾(常総学院)は指揮官も絶賛の打棒の持ち主!

2024.05.25

【関東】白鷗大足利が初、逆転サヨナラの常総学院は15年ぶり決勝<春季地区大会>

2024.05.26

【春季関東大会】常総学院・中村虎汰郎が二刀流の活躍で決勝進出に貢献!9回にはサヨナラに繋がるヒット!投手としてはセンバツ後に再転向で連日の好リリーフ!

2024.05.25

【熊本】九州学院、熊本工が決勝へ<NHK旗>

2024.05.22

【愛知・全三河大会】三河地区の強豪・愛知産大三河が復活の兆し!豊川を下した安城も機動力は脅威

2024.04.29

【福島】東日本国際大昌平、磐城、会津北嶺、会津学鳳が県大会切符<春季県大会支部予選>

2024.05.21

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?

2024.04.29

【岩手】盛岡中央、釜石、水沢が初戦を突破<春季地区予選>

2024.05.15

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.05.13

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在29地区が決定、愛媛の第1シードは松山商