試合レポート

三郷北vs草加西

2022.07.09

三郷北が草加西相手に秋のリベンジ成功!

<第104回全国高校野球選手権埼玉大会:三郷北5-2草加西>◇8日◇1回戦◇[stadium]県営大宮[/stadium]

 埼玉の夏が始まった。今年の開幕式は雨も降らずかと言って猛暑でもなく曇天。今年から入場行進が3年ぶりに復活した球児にとっては絶好のコンディションである。なお、今大会からブラスバンドの演奏が再開し、保護者や観客の入場も3年ぶりに認められ、先進的な埼玉県独自のローカルルールである給水タイムも例年通り取れる。

 開会式直後の開幕試合は草加西vs三郷北である。この2校は昨秋の4市(草加、三郷、八潮、吉川)大会決勝でも対戦しており、その時は草加西が10対3で勝利している。三郷北にとってはリベンジマッチであり、さらに三郷北・大熊監督は草加西・井上監督の教え子という因縁もある。

 先発は草加西が2年生左腕・伊藤拓海、一方の三郷北
「練習試合の最終戦で調子が上向いていた」(大熊監督)
ということで背番号4の増田悠人(3年)が登板し試合が始まる。

 試合は序盤から激しく動く。

 初回、草加西三郷北・増田の立ち上がりを攻め立てる。先頭の毛利夢(2年)が一塁内野安打で出塁すると、すぐに二盗を決めると、続く石井燎馬(3年)もセーフティーバントを決め無死一、三塁とする。続く石井も二盗を決め無死二、三塁とチャンスを広げると、3番・遠藤芳仁(3年)も四球を選び無死満塁と絶好の先制機を迎える。

 だが、ここは三郷北・増田が踏ん張りを見せ、内野ゴロの間による1点のみで初回を切り抜ける。

 2回裏、今度は三郷北が反撃を開始する。

 三郷北は、この回先頭の増田が左翼線へ二塁打を放ち出塁すると、続く深道朋樹(3年)も四球を選び無死一、二塁、さらに6番・石井強太(3年)も中前へポトリと落ちる安打を放ち、無死満塁とチャンスを広げる。2死後、9番・佐藤優空(3年)がフルカウントから中前へ2点適時打を放ち、まず2点、さらに続く木村翔梧(3年)もフルカウントから右前適時打を放つなど、この回一挙3点を奪い逆転に成功する。

 対する草加西も3回表、2死から3番・遠藤が中前安打を放ち出塁すると、続く下畠世男(3年)が左越えの適時二塁打を放ち、すぐに3対2と1点差に追い上げる。

 だが、三郷北は4回裏、2死から9番・佐藤が三塁ゴロエラーで出塁すると、続く木村が右越えの適時二塁打を放ち4対2とする。

 ここまで順調であった三郷北は5回表の守備でやや誤算が生じる。無死一塁で相手の盗塁でベースカバーに入った際に、本来であれば終盤リリーフ予定、エースナンバーで遊撃を守る木村の足が攣ってしまう。この日開会式後、徐々に晴れて気温が上昇していただけに三郷北投手陣に暗雲が立ち込める。

 一気に突き放したい三郷北は、5回裏にもこの回先頭の冨永涼介(3年)が右前安打を放ち出塁すると、すぐさま二盗を決め無死二塁とする。二走・冨永は続く増田の三塁ゴロでランダウンプレーに誘い出されるが、その際相手の送球が乱れ無死二、三塁とチャンスが広がる。ここで5番・深道がきっちりと犠飛を放ち3点差をつける。

 投げては三郷北・増田が、序盤のピンチを最少失点で凌ぐと、徐々に落ち着きを取り戻し、気迫を全面に出す投球を見せる。4回以降は相手打線に変化球を交え的を絞らせない投球を披露し最後まで投げ切った。


 結局、三郷北が5対2で草加西に勝利し初戦を突破、昨秋のリベンジを果たした。

まずは三郷北だが、
「佐藤と木村がチャンスで打ってくれたのが大きかった。始まる前は継投を考えていましたが、増田は直球が通用していたので、木村が足を攣らなくても代えないつもりでした。前任の白岡時代はコールド負けだったので、正直当たりたくなかった。恩師孝行だと思って開き直って戦って良い結果になって良かった」
と、大熊監督も試合後選手達の頑張りに目を細めていた。
 安打数では同数、草加西同様に得た無死満塁のチャンスで、連続三振により2死満塁まで追い込まれながら、組み合わせ抽選の時からのリベンジに燃えていた主将が値千金の一打を放つなどチャンスを確実に物にした。投げては増田が嬉しい誤算で最後まで投げ切り、投手陣のピンチを救った形だ。

 一方の草加西は、とにかく初回の無死満塁での攻撃に尽きる。あと1、2点奪えていれば状況も変わっていた可能性があるだけに悔やまれるところであろう。また、守備面もこの日は序盤から外野守備を中心にやや硬さが見られ、3失策。これには井上監督も
「特に外野手は緊張で足をセメントに打ち込んだような状態になっていて、普段の動きの半分も出せていなかった。グラウンド整備中に『今までやってきたことの10%も出せてないよ。このままで良いの?』と発破をかけたんですが返って気負っちゃったかな」
と、苦笑い。頼みの伊藤もこの日はいつもに比べまとまっていたそうだが、2回裏に痛打された場面は共にフルカウントにして痛打された。だが、伊藤はまだ2年生。この日も10奪三振と良い球は投げていただけに秋以降は制球力が課題となるであろう。

(取材=南 英博

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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