早稲田実業vs都立武蔵丘
手探りの早稲田実業 主将・壽田の二塁打2本などで7回コールド
2回本塁打を放ちベンチに戻る大野郁徳(左)
<春季東京都高校野球大会:早稲田実業11-4都立武蔵丘(7回コールド)>◇5日◇1回戦◇府中市民
2日間続いた雨の影響で試合開始時間は1時間延ばされた。早稲田実業は7回コールドで勝利したものの、どうもスッキリしない試合であり、都立武蔵丘はよく戦ったが、扇原進監督が「もっとやれました」と言うように、もう少しやれたのではないかと思わせる試合だった。
早稲田実業は背番号と守備位置が一致しているのは、石島光騎、江崎大燿のバッテリーの2人だけ。コロナでチーム作りが遅れた影響は、背番号にも表れていた。
1回表武蔵丘は、内野安打で出塁した1番・柳澤珀斗がワイルドピッチなどで三塁に進み、4番・根本照はボテボテの投ゴロであったが、不規則な当たりであったことが幸いして内野安打になり、1点を先制した。
嫌な出だしを払拭したのは、前主将の清宮福太郎から、「お前が引っ張らないと」と言われていた、現主将の壽田悠毅だった。2死一塁から右中間を破る二塁打を放ち同点に追いついた。
2回裏は、1点を追加した後、なお続く1死二塁の場面で、9番・大野郁徳が右翼席に入る2ランを放ち、早稲田実業がリードを広げる。3回裏も壽田の2打席連続の二塁打などで1点を追加した。
流れを止めたい都立武蔵丘は、5回表この回先頭の1番・柳澤が中越えの三塁打を放つ。2番・小北哲大はバントを決め、スクイズ成功かと思われたが、三塁走者の柳澤はスタートを切っていない。セーフティースクイズのような形で、遅れてスタートしたが、三本間に挟まれてアウトになった。「普通のスクイズです。ランナーがサインを見ていませんでした。あれで流れを持って行かれました」と都立武蔵丘の扇原監督は言う。柳澤は足も速く、野球センスのある選手だ。ただワンプレーの重要さを、今後の教訓にしてほしい。
早稲田実4番・壽田悠毅
その裏、早稲田実業は、安打5本を集める打者一巡の猛攻で5点を奪う。あと1点で5回コールドという場面であったが、ここは都立武蔵丘が踏ん張った。都立武蔵丘は6回表に1点を返して2―10。それでも、7回コールドは避けられない状況だった。
7回表、都立武蔵丘は、四球と安打の走者を4番・根本が内野ゴロで送った形となり2死二、三塁。ここで5番・掛川大広の中前安打で2人が還り、4対10となり、7回表でのコールドは免れた。
しかしその裏、2死一、二塁から4番・壽田を申告敬遠で満塁となり、5番・石島の中前安打で1点が入り11―4で7回コールドが成立した。
敗れた都立武蔵丘の扇原監督は、都立城東を甲子園に導いた有馬信夫監督が都立保谷に赴任していた時代の教え子だ。扇原監督は有馬監督について、「負けるのが嫌いでした」と語る。その気持ちが乗り移り、早稲田実業相手に立ち向かったが、もう一押しが足りなかった。
勝った早稲田実業の壽田主将は、夏場に続きこの冬も負傷し、打撃練習は十分にできなかったが、走り込みなど、できる練習をしっかりして、存在感を示した。1年の秋は遊撃手、2年秋は一塁手、そして今回は背番号5で中堅手として出場している。「ショートにこだわりはありますが、チームが勝つためならどこでもやります」と語った。2回戦は、和泉実監督にとって、高校時代、2年先輩の弓田悦彦監督が率いる豊南と対戦する。「一生懸命やっている姿はみせたい」と和泉監督は語った。
(取材=大島 裕史)